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2019年9月の記事一覧
プリンセス・クルセイド 第3部「ロイヤル・プリンセス」#1 【波乱を呼ぶ来訪者】 4
魚を穿つ銛のように聖剣を構えながら、ルチルは静かに海を潜行していた。聖剣の持つ水のエレメントの力で、彼女は空を飛ぶかのように水中を泳ぐことができる。加速に減速、旋回までもが思うままだ。それに対し、彼女を待ち構えるイキシアのほうはといえばーー
(無様なものだな)
ルチルは思わず口角を上げた。彼女の視線の先には、手足を動かしながらなんとかしてその場に留まろうとするイキシアの姿があった。
(自
プリンセス・クルセイド 第3部「ロイヤル・プリンセス」#1 【波乱を呼ぶ来訪者】 3
「大丈夫かなあ……」
テーブルの上に置いた水晶玉を、アンバーは不安げに眺めていた。映し出されているのはイキシアのプリンセス・クルセイド。熾烈を極める海上での一戦だ。
「大丈夫ですよ、アンバーさん。姉さんに心配は無用です」
アンバーの向かいに座るジャスティンも、同じように水晶玉を覗き込んでいた。だがアンバーと違い、彼は余裕綽々としている。
「どうしてですか? このプリンセス……ルチルさん