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一日一文まとめ

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ほぼ毎日一文ずつ更新される小説『一日一文』がまとめて読めるマガジンです。
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2017年8月の記事一覧

Take Me Out to The... 第9週

 自分の興味を掴んで離さないホットな女性と、同じ時を過ごせる千載一遇のチャンス。この機を逃してなるものか。透はその日一日を、やたらと鼻息荒く気合いに満ち溢れて過ごした。だがしかし、その後の講義にはまるで集中できなかった。

――――――
 そしてその日が訪れた。透は決意を胸に駅の改札を抜けた。往来を歩く人の数はまばらで、どこか妙に閑散としている。

Take Me Out to The... 第8週

 クラスメイトに促され、千尋が席を立つ。

「それじゃあね……青山君」

 去り際に、千尋が透に声をかけた。

「はい! た、楽しみにしていますです!!」

 完全に声が上ずってしまった。言葉遣いもさらにおかしくなってしまった。だが、そんなことには構っていられない。

つづく

Take Me Out to The... 第7週

 そう答えたクラスメイトが、透の方を振り返る。

「青山君、来週の月曜日なんだけど――」

「空いてます、俺も行かせてください!」

 思わず妙にかしこまった言葉遣いになってしまった。話を聞いていたのもバレバレだ。だが透は、このチャンスを逃すわけにはいかなかった。

「おおっ、ノリノリだね。じゃあ、詳しく決まったらまた連絡するから。そろそろ行こうか、結城さん」

続く

Take Me Out to The... 第6週

 この奇妙な「お休み」のような日が、透にとって半ばストーカーじみた観察から前進する一助となった。

「月曜日なら大丈夫。空いてるよ」

 千尋はそう言って朗らかに微笑んだ。彼女を遊びに誘ったクラスメイトが、嬉しそうに手を叩く。

「良かった~。いつも予定が合わなかったけど、これでようやく結城さんも一緒に集まれるね!」

「ごめんね。私、週末はいつも忙しくて……でも、本当に月曜日で良いの?」

「大

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