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黒人差別とアメリカ公民権運動

【ブログの過去記事】

●ジェームス・М・バーダマン著『黒人差別とアメリカ公民権運動』<集英社新書>(07)

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https://books.shueisha.co.jp/items/contents.html?isbn=978-4-08-720392-9&fbclid=IwAR1lc5P8RC1xE2izhoQsUbynArROd59RJ8tInaoxbYtymYZ6PYmG8vH4taU


黒人音楽を趣味とする私は、黒人文化や人種差別問題等に関しても気にはなっている。ジム・クロウ法、ローザ・パークス、バス・ボイコット、NAACP、キング牧師、KKK、アーカンソー州リトルロック、シット・イン、フリーダム・ライド、ジェイムズ・メレディス、ウィー・シャル・オーヴァーカム、アラバマ州バーミングハム、教会爆破、ケネディー大統領暗殺、長く暑い夏、ワシントン大行進、ミシシッピ・バーニング、マルコムX、アラバマ州セルマ・・・などなど知識としては捉えていた。
しかし、本書を読んで、各事柄の把握が不十分なのを痛感した。もちろん一読して完璧に把握できたとは言い難いが、丁寧に描かれている事でより深く理解できたのは事実だ。「名もなき人々の戦いの記録」と副題にあるように、大局的な、歴史的政治的流れを背景にしながらも、一般の社会人や学生の言動を主体に描かれている為リアリティーを感じたのも一因だろう。
さらに、各事案のあらましは、学術的考察というよりストーリーテリングの感触で語られる。その為映画のような衝撃を伴う。闘争というより戦争であり、悪役の底意地の悪さは、フィクションでは逆にやり過ぎと言われそうな非情さを生み出している。
これらが実際に起きた事であると改めて気づくと、怖ろしさとやるせなさに包まれる。人種差別についてはある程度改善されてはいるものの、日本でも話題になっているヘイト問題などを合わせて考えると人間の醜い部分を見せつけられ、逆に、光明が見える箇所では人間の果てしなき勇敢さも感じる。

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