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【映画】『私はあなたのニグロではない』
【過去記事です】
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黒人作家ジェイムズ・ボールドウィンをキーパーソンに、人種差別問題について深く考えさせられる作品だ。彼が強く主張しているのは「現実を直視せよ」の一点。確かに、差別主義者は差別の実態を正確に把握していない。知ろうとせずに、自分の立場を変えたくない為多数派の論理を主張する。その論理に基づく暴挙を正義と信じている。
象徴的な映像がある。ボールドウィンもその映像を観て移住先のフランスから戻ってきたという。南部の高校に初めて黒人として入学した女性徒を取り巻く白人高校生の群衆。その表情が薄気味悪い。侮蔑や嘲笑とも微妙に違う。もはや人間の表情ではない。悪魔だ。何が彼をそうさせているのか。闇は深い。
人種差別にもっとも効果的なのは、社会制度の改善ではない。差別者側の意識改革だ。しかも、自分自身で気づかなければならない。黒人でも白人でもアメリカ人でもない私らより、当事者の方が難しいだろう。悲劇の歴史を知り、自分の意識や生活をどう変えていくかだ。
それにしても怖いのは、自分自身も世の中の何らかの当事者である事。気づいていないどこかで、間違った意識や行動を取っているかも知れない。多角的な知識と熟考は重要である。映画の中に引用されていたアメリカのTVバラエティー番組のように、過剰な派手さと明るさに翻弄され、人として大事な部分を麻痺させてはならない。