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ミシシッピ川物語

【ブログの過去記事】

●ジェームス・М・バーダマン著、井出野啓貴訳『ミシシッピ=アメリカを生んだ大河』<講談社選書メチエ>(05)


https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000195298


アメリカ全土の地図を眺めると、ほぼ真ん中を縦に走る亀裂のように存在するのがミシシッピ川だ。


著者曰く、アメリカ東海岸と西海岸は話題に上る事が多いが、ミシシッピ川周辺で起こった事柄もアメリカ史を語る上で重要である。むしろ「アメリカの心臓部」と呼ぶべき地域であると。


流域面積でいけば、アマゾン川、コンゴ川に次ぐ世界第三位のミシシッピ川は、曲がりくねりの厳しい部分があったり、川底の深さもまちまちだったりする難敵である。探検の時代から、水上交通に必要な船の研究、橋の建設などの開発史から話は始まる。


次に、ジャズの発祥地ニューオーリンズや、ブルースの重要地域であるデルタ地帯を詳説。


南北戦争や、奴隷解放の歴史を交えて、マーク・トゥエインやフイッツジェラルドといったアメリカ文学の柱となる作家たちの話。他にも興味深いアメリカの歴史が語られている。


私は黒人音楽が好きなので、ニューオーリンズやミシシッピ・デルタ、更にはメンフィスやシカゴの音楽史におけるポジションは興味はあり、ある程度ミシシッピ川の存在意義とともに理解はしている。本書によって、更にその興味の範囲は広げられた感じだ。

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