経営戦略策定の2つのアプローチ〜位置取りか能力か〜
こんばんは。コウイチです。本日のテーマは「経営戦略策定の2つのアプローチ〜位置取りか能力か〜」です。
以前、経営戦略策定上、重要な環境分析であるSWOT 分析について書きました。そこには内部環境(強みと弱み)と外部環境(機会と脅威)の分析がありました。
このように、経営には企業の「内部」と「外部」という考え方があります。
企業が戦略を立てる際に、この内部、外部どちらを重視するか、異なる2つのアプローチがあります。
今回は戦略の必要性と戦略策定におけるの2つアプローチについて書いていきたいと思います。
1,経営において戦略が必要な理由
そもそも何のために戦略が必要なのでしょうか、改めて考えてみましょう。
多くの場合、市場には競争が存在します。一方で自社の経営資源(人、モノ、カネ等)には限りがあります。このようなことから、効率的に資源配分し優位に競争を進めていくため、戦略を策定して仮説検証を繰り返していく必要があるのです。
そして戦略を策定する上での戦略論を大きく分けると、「ポジショニングベース型」の戦略論と「リソースベース型」の戦略論に整理することができます。
それでは、この2つのアプローチの違いを見ていきましょう。
2,「ポジショニングベース型」の戦略論
経営戦略の目的は、企業が外部環境に適応しながらビジョンを達成することでした。競合や市場、技術、経済といった外部環境は常に変化します。
そのため、戦略を作成する際には「外部環境の変化に対応することが重要だ」と考えられます。このように、外部要因を重視するのが「ポジショニングベース型」の戦略論です。
「ポジショニングベース型」の戦略論を提唱している代表的な学者には、マイケル・E・ポーター がいます。ポーターは、競争戦略論という本の中で、有名な ファイブフォース※やバリューチェーンという考え方を提唱し、外部環境の中で、自社がいかに有利なポジションを占めるかが重要だということを示しました。
※ファイブフォース分析について以前記事にしました。
ポジショニングベース型戦略論の考え方によれば、まず外部環境を緻密に分析することが重要となります。その分析結果を踏まえて、自社を有利な位置に置いたり、なるべく熾烈な競争を避けていくことが戦略のポイントとなります。
例えば、製薬業界では先発医薬品市場と後発医薬品(ジェネリック医薬品)市場がありますが、自社をどの市場に位置を置くかで、収益構造や競争環境がまるで変わってきます。
ポジショニングベース型では、企業の収益性は、基本的にその企業の位置するポジションによって決まるという考え方になります。
一方で、同じ業界で、同じようなポジションに位置する企業でも、収益性に差があるのはなぜかという疑問がわいてきます。
そこで、登場してきたのが、次に挙げるリソースベース型のアプローチです。
3,「リソースベース型」の戦略論
ポジショニングベース型が、企業の外部環境を重視するのに対して、リソースベース型では、企業の内部の資源を重視します。
代表的な経営学者はジェイ・B・バーニーです。リソースベース型の戦略論では、経営資源の質的な差が収益性を決める大きな要因になると考えます。特に経営資源のうち、自社固有の能力やノウハウなど、簡単に真似できないものが重要です。以前、書いたトヨタ生産システムは、まさにこの「自社固有の能力やノウハウ」に当たるものです。
リソースベース型戦略論は、企業独自の経営資源を常に磨いていき、簡単に真似されないようにするのが戦略のポイントになります。
その際、どのような経営資源が競争優位につながるのか。それを分析するフレームワークとしてVRIO分析というものがあります。VRIO分析については次回以降で詳しく書いていきたいと思います。
[2024年3月29日補足]
今回紹介した二つのアプローチはどちらの方が大事なのか、ということではありません。
先述した製薬業界の例にもありますように、どの市場を選択するかで、収益性や競争環境がほとんど決まってしまいます。そこで最初にポジショニングベースのアプローチで自社に有利となる市場を選択し、そしてその市場に合わせて競争力を獲得するためにリソースベースのアプローチで戦略策定する、という考え方になります。またその際の市場の分析には5フォース分析を用いることで収益構造について精査することが重要です。
まとめ
今回は戦略の必要性と戦略策定におけるの2つのアプローチについて書いてきました。
<ポイント>
・戦略を策定する理由は、効率的に経営資源を配分し競争を優位に進めていくため
・ポジショニングベース型戦略論の考え方によれば、外部環境を踏まえて、自社を有利な位置に置いたり、なるべく熾烈な競争を避けていくことがポイント
・リソースベース型戦略論は、企業独自の経営資源を常に磨いていき、簡単に真似されないようにするのが戦略のポイント
お読みいただき、ありがとうございました。
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