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ターゲットを選定しよう(1)

こんばんは。コウイチです。
本日のテーマは「ターゲットを選定しよう(1)」です。

マーケティングのプロセスでは、消費者や競合、自社などの環境分析を行った後で、ターゲットを選定します。

ターゲットを絞ってマーケティングを行っていくことで、限られた経営資源を有効に活用し、特定の顧客や市場セグメントのニーズに柔軟に対応していくことが狙いです。

これには3 つのプロセスがあります。最初に顧客や市場を細分化する「セグメンテーション」を行います。次に、標的とするセグメントを決める「ターゲティング」を行います。最後に、自社をどのように差別化するかを決める「ポジショニング」を行います。この一連のプロセスを「STP分析」といいます。

STP分析とはアメリカの経済学者フィリップ・コトラーによって提唱された、マーケティング戦略における基礎的なフレームワークです。

STP分析は1970年代に編み出された手法ですが、モノやサービスの過剰供給で消費行動やライフスタイルが多様化した現代社会においてこそ有効な手法だといえます。

最初のステップである「セグメンテーション」はターゲッティングやポジショニングを有効に機能させる上での「前提」となります。そして「前提」である以上、策定するマーケティング戦略の成否を左右する、極めて重要なプロセスであるといえます。

本記事ではSTP分析の中での「セグメンテーション」に絞り、意味や具体的な分析方法や成功事例等をまとめていきたいと思います。

1,セグメンテーションとは:細分化のこと

セグメンテーションは、顧客や市場をある基準に基づいて、小さい集団に細分化することです。

例えば、年齢層という基準で細分化すれば、年齢層別のセグメントができます。この場合、それぞれの年齢層のセグメントには、異なるマーケティング・ミックスでアプローチする方が、効率的なことが多いのです。このように、セグメンテーションを行うことで、効率的なマーケティングが可能になります。

顧客や市場を細分化する際の軸は消費財(B2C商品)と生産財(B2B商品)で異なります。例えば、消費財であれば以下のような軸があります。

⚫︎地理的変数(Geo-graphic)
・気候、人口密度、行政単位
・ オフィス街/住宅街、沿線・最寄駅など

⚫︎人口動態的変数(Demo-graphic)
・ 年齢、性別、所得、学歴、職業、人種など
・既婚/未婚、子供の有無、ライフステージ

⚫︎心理的変数(Psycho-graphic)
・ライフスタイル、パーソナリティ(旅行好き、外食好き等)
・ 高級志向/安さ重視/機能志向/流行に敏感/無関心など

⚫︎行動変数(Behavior)
・利用頻度 : ノン/ライト/ミドル/ヘビー
・ 利用用途 : 例)歯磨き粉(虫歯予防、歯周病予防、口臭予防、白さ)
・どのSNSを使っているか/どのOSを使っているか、等

もしあなたが梅農家て梅干しを展開しようとしていたなら、顧客をどう細分化できるでしょうか。人口動態で分けるとしたら性別や年齢層で分ける、あるいは地域で分けるとしたら、日本・海外で分けるなどが考えられるでしょう。さらには、味の好み(酸っぱい、甘い等)など心理的変数やデパ地下食品売り場の利用頻度などの行動変数で分けることもできるでしょう。

2,細分化の要件

このように細分化の基準には様々なものがありますが、通常は幾つかの基準を組み合わせて、試行錯誤をしながら意味のある細分化の基準を見つけていきます。

コトラーは、細分化したセグメントが役に立つためには、次の 4 つの要件を満たしている必要があるとしています。
⚫︎測定可能性
細分化したセグメントの規模や購買力が測定できるということです。
⚫︎到達可能性
細分化したセグメントに、チャネルなどを通じてアプローチができるということです。
⚫︎維持可能性
細分化したセグメントが十分な利益を上げるぐらい大きいということです。
⚫︎実行可能性
効果的なマーケティング・プログラムを実行可能だということです。
セグメンテーションでは、このような要件を満たすセグメントの基準を発見していくことがポイントです。

3,事例紹介

パナソニックの「レッツノート」というノートPCは、セグメンテーションで成功した有名な事例です。

1990年代の終わり頃、生活者向けの「hito」というブランドを立ち上げるも、大失敗に終わり、PC事業の存続か撤退かという岐路に立たされていたパナソニックは、ターゲットを法人、それも外回りの営業担当に絞り、商品開発を行いました。

独自のセグメンテーションにより、当時のスペック競争を回避

このセグメンテーションを起点にターゲッティング・ポジショニングを設計し、オペレーションまで一貫して事業を組み立て、レッツノートは以下の様な意思決定をしていきました。

・軽さを実現するために「薄さ」を捨てた。
 →当時、各社のノートPCは20ミリメートルを切るような薄さで競っていたが、初代モデルは一番厚みがあるところで、37.8ミリもあった。
・外回りの営業に求められる機能にこだわった
 →長時間バッテリーや野外の太陽光の下でも見える高輝度モニタ、防水性、セキュリティ、アンテナ技術などを重視し、全体のバランスの悪さや拡張性のなさ、小さくて見難いという不満には耳を貸さなかった。
・販売後の関係性を重視した
 →PCコンファレンスやアドバイス会議など、売って終わりとせず、売った時が関係の始まりという施策を実施した。流通コストを削減するため量販店やネット販売に注目していた時期なので逆張り。

LISKUL「セグメンテーション|3つの有名事例から5分で活用法を身に付ける」より

パナソニックのレッツノートはコモディティ化の進む市場において、独自の存在感を示し、絶大な支持を得ています。

4,まとめ

ここまでセグメンテーションについての意味や分類方法、成功事例などを解説しました。 

どのようなセグメンテーションの軸で分類すれば戦略上意味のある分類になるのかを念頭において進めることが重要となります。
次回以降はターゲッティングについて解説したいと思います。

お読みいただき、ありがとうございました。

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