読了のおっさん 銀の匙 Silver Spoon(荒川弘/少年サンデー)
今日も、おっさんが全巻読んで面白かった漫画をご紹介です。
個人の感想であり、感じ方はそれぞれなれどご参考に。
概要的なネタバレは含みます。
銀の匙 Silver Spoon(荒川弘/少年サンデー)
2011年〜2019年 全15巻 完結
① タイプやテーマなど
現代劇、ノンフィクション、少年漫画、ウンチク系、学園系
農業、自然、動物、食、北海道、地域、専門学校、スポーツ(マイナー)
② 簡単な内容
主人公の少年が農業高校に入学するところから始まる。主人公は、学歴至上主義の競争社会で生きてきた過去や、親と意思疎通がうまくいっていない家庭といった背景を持っていて、農業高校で農業等の体験を通じて、世の中の別の側面や価値観を学んでいく。
教育、食育、経済、農家の抱える問題、進路、働き方、生き方、起業と言った、現代的なテーマを多く含んでいる。
③ 読みどころ
全巻に渡って、非常に純粋な学びが多い。もろウンチク系漫画という訳ではないが、例えば一般的なサラリーマン家庭で育った人間であれば、と畜、農業経営、食品製造、公衆衛生など、新鮮な内容も多いと思う。
学園ものでもあるので、多彩な登場人物との交流も描かれている。集団生活、価値観の違い、協力することの大切さなどが感情移入しながら沁みてくる。
心情の描写に少々大袈裟な部分もあるかもしれないが、そこはあらゆる物語全般に言えることで、分かり易さの故でもある。少年誌ではあるが、良い内容なので是非大人も読んでおきたい。当然子供の情操教育には良いと思う。
④ 雑多な感想
作者の荒川弘先生は女性である。最初は驚いたが、女性とは思えない(よい意味である)程、男性読者の心を掴む要素があちこちに入っているように思う。
例えば「農業機械について登場人物の男の子がオタクさながらに語ったり目を輝かせる」といった類の描写がたくさん入っている。お色気に心動かされて暴走したり、男だけが集まって楽しむ会合のシーンがあったり、恋愛もしっかり少年漫画の枠を外さないような描かれ方で、畑の広さを「マ○ロス」で例えるなど、おっさんが読むとつい口角が上がってしまう。
巻末の4コマなどからも分かるが、作者とスタッフのみなさんが、非常に多くの実地を研究されていて、その裏話や、本作に反映された内容などを見ると、モデルとなった農業高校などにも興味が湧いてくる。
⑤ その他
作者は「鋼の錬金術師」で有名。こちらもおっさんほぼ読み終えているが、どちらの作品でも、女性キャラが自然体でかつカッコ良い性格のキャラが多いなと思う。ドロドロしないし、無駄に感情的でもない。作品自体が男子に優しい印象。