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はじまりのうた

きたによしこさんの絵本『夜のおたんじょう会へ』から生まれたTheWorthlessさん『はじまりのうた』をカバーしました♫

『はじまりのうた 8ビートMIX』ぜひ聴いてくださいね!

歌詞コード譜です。ぜひ弾いて歌ってみてください。

カラオケ & ギター演奏用に歌やコーラス、リード・ギターを外したマイナスワンのトラックも作りました。歌ったり、好きなギターのフレーズを弾いてみてください。

なんと!早速このカラオケ&マイナスワントラックを使って原作者のザ・ワースレスわしみごうさんがギターを弾いて歌ってくださいました!ギター・ロックの歴史を変えたあの偉大なバンドへのオマージュを感じるアレンジに!

※ © 著作権はザ・ワースレスの作詞・作曲者わしみごうさんに帰属します。

本題に入る前に、
今年も9/1〜9/30まで
みんなの力でがんを治せる病気にするプロジェクトdeleteC大作戦2024」が開催されています。期間中の投稿やいいねの数だけ活動に賛同する参加企業・団体を通じてがん治療研究費用として寄附されるプロジェクト。

あなたの「投稿」が応援になります!

投稿方法など詳しくは下記の公式サイトをご覧ください。

私も投稿しました(過去の投稿画像でもOKなんですって!)


さて、記事内で名前が登場するザ・ワースレスのメンバー紹介を。

うたうひげとおどるマリオネットのジャグバンド ザ・ワースレス
メンバー紹介 ※ 敬称略
わしみごう a.k.a. ミスター 歌 & コーラス、ギター、ダンス
sunny a.k.a.SandalSoul 歌 & コーラス、カズー、ウクレレ、ダンス
ぴーひゃらん 歌 & コーラス、バンジョー、ダンス
のんしゃらん 歌 & コーラス、洗濯板、シンバル、太鼓等、ダンス
※ 文中の双子のおふたりは(ぴーひゃらん & のんしゃらんのことです)
なかたくん おどるマリオネット(トートン、ロバオ、パンダのおさじetc.)

うたうひげとおどるマリオネットのジャグバンド ザ・ワースレス

ザ・ワースレスの2024年からはじまった楽しい企画

2024年は!!!【ラバーズの一月一曲】 ◎ザ・ワースレスのあの曲を!ギターやウクレレやピアノやダンスや歌でカヴァーしてみよう!

引用元:ザ・ワースレス公式インスタグラム

この企画の9曲目となる9月の課題曲は『はじまりのうた』

作詞・作曲者のわしみごうさん a.k.a. ミスターが綴られたこの曲の制作秘話がこちら。以下が原曲のコード進行 ▼ です。

ザ・ワースレスの原曲『はじまりのうた』で私が好きなところ

● 生歌 & 生演奏
● ハネてるリズム
● sunnyさんの歌声!
引用歌「ハッピーバースデイ」はもう聴き惚れてうっとりしてしまいます。
バックのコード進行 = △7 → m7 → △7 → m7の下降ラインが美しい。
この企画の1曲目のリハモカバー『君に会いに行こう feather MIX』のイントロでこのコード進行を知らずに使っていたのでコード表を見てびっくりしました。「ミスターのリハモアレンジすごっ!」と思いました。
● 双子のおふたりのコーラス「アーアーアーアーアーアーアーアー🎵」
耳をすませばいつだって聴こえるよ」の後に入るところが特に好き。
※ ジャグ・バンドのザ・ワースレスはコーラス・グループでもあり、ミスター、sunnyさん、ぴーひゃらん&のんしゃらんの双子のおふたり、楽器隊のそれぞれがなんと!メイン・ヴォーカルをとれてしまうという奇跡的な編成
● のんしゃらんがたたく洗濯板のリズム・ソロ
● ぴーひゃらんが弾くバンジョーの裏メロ(リフ?)
● ミスターの最後の最後の最後の「(すー)うぃっと!
スーダラ節』の植木等さんへのリスペクトとオマージュを感じます。

こうしてあげていくときりがないのですが、
● 特上幕内弁当なの!?というアイデアの宝庫ぶり!
ミスターが制作秘話で触れてらっしゃったように、この曲にはたくさんのやりたいことがこれでもかと盛り込まれているところ。さりげなく忍ばせている転調の数々などは下のリハーモナイズの備忘録で分析しています。
The Beatles『ホワイトアルバム』もしくはトッド・ラングレン『魔法使いは真実のスター』、フランク・ザッパ『'』が脳裏に浮かんでしまうほど、1曲の中にさまざまな表情が見える曲だと感じました。
● 「落ち込んだ時には声をかけてくれよ 」からの歌詞がじんわり染みます!





ここからは個人的な今回のカバーの制作過程での思考の流れや気づきを自分のための備忘録として書き留めた文章です。
※ 文章に出てくる音楽は下記のプレイリストにまとめてみました
ご興味のある方はぜひ音楽を聴きながら目を通してみてください。


『はじまりのうた』リハーモナイズのプレイリスト


ブリッジの引用歌「ハッピーバースデイ」を聴いて、ロック・バンドのThe Birthdayを思い出し、『なぜか今日は』(2011)を聴き、今回のアレンジは「エイトビート」がいいかもとアイデアが浮かびました。

ちょうど曽我部恵一BAND『永い夜』(2012)の曽我部恵一さんによるセルフ・カバー『永い夜(2024 Version)』を聴いたのも影響しているかもしれません。「戦争はやく終わってほしいね。もっとましな世の中になってほしいね。明るい未来を描きたいよね」って気持ちを音にぶつけたくなりました。

8月の『やきあがりのパーン パンはパンでもMIX』のカバーでは疾走感をテーマにしていたのですが、今月はさらに加速したい気持ちが湧きあがります。

運良く台湾の友人からFenderストラトキャスターを借りていました。今年めでたく結婚される運びとなり招待状のデザインの打ち合わせで「最近忙しすぎてギター弾けないのでコナツさん弾きます?」と。「じゃあアイデアが浮かんだらワースレスさんのカバー企画で弾いてみますね」と伝えていました。

さらに今夏、妻の実家から1986年生まれのシンセサイザー(CASIO CZ-1)が発掘されうちにやってきました。少し音が本調子ではないのですが、せっかくのご縁なのでこの子の音も録音してみたいなと考えていました(録音後はシンセサイザー好きな私のバンドメンバーが譲り受けて可愛がってくれることになったので手放す前の記念に)。

リズムは疾走感のある「エイトビート」
2つの楽器を録音する
・Fenderストラトキャスター
・シンセサイザー(CASIO CZ-1)
ということだけ先に決めて、リハーモナイズをはじめます。

「エイトビート」

80年代終わり。封印された思春期の記憶を呼び覚まします。
バブルに浮かれる日本。空前のバンドブーム(BARBEE BOYS、BOØWY、BUCK-TICK、THE BLUE HEARTS、TM NETWORK、FENCE OF DEFENSE、PSY・S、PERSONZ、ZIGGY、UNICORN、プリンセス プリンセス、REBECCA、米米CLUB、DREAMS COME TRUE、etc...)、HR/HM(ハード・ロックとヘヴィ・メタル = X、聖飢魔II、SHOW-YA、海外のバンドを入れるときりがないので etc...)もテレビやラジオから流れて、楽器屋のギターコーナーにはIbanezやFERNANDES(先日破産を発表)がずらりとならんだあの頃。私は人生ではじめてエレキギターをお迎えしました(YAMAHA B'z松本孝弘モデル MG-M 黒)。

「ギターソロをスキップする若者が多い」という話題がバズってしまう令和の世からは想像できないくらい歪んだギターが鳴っていた時代。

最近の曲を聴かなさすぎて本当にいまのギターは歪んでいないのか、ギター・ソロが死んでしまったのかも気づけないまますごしていて(なんなら君島大空さんや西田修大さんのご活躍で歪んだギター復権の機運すら感じていますが)2010年代中頃からのネオ・ソウル、シティ・ポップのリバイバルの流れもあってかギターはクリーン・トーンでソロはなし。なんならギター入ってませんよって曲が増えている気配も感じていました。

そんな2024年に80年代後半〜90年代中頃の「エイトビート」しかもギター・ソロ入りのアレンジを発表してしまうだなんて…と複雑な心境を抱えながらも三つ子の魂百までかほぼ半自動的にアレンジが進んでゆきます。

くるり岸田さん、King Gnu常田さんの言葉を胸に進みます。

リハーモナイズ

ミスターの制作秘話の「新しい人が生まれ、育って宝物がふえてゆく」
そして台湾の友人が新たな船出を迎えるタイミングに、その人が「大人になり結婚して新しい家族が増えるうれしさと親元を離れてしまうさみしさ」。

「おお!出会いと別れはぐるぐるまわる!」と思考がつながります。

ぐるぐるまわる出会いと別れがテーマの7月の課題曲『OverCare FUNK MIX』のリハーモナイズと逆のアイデアが浮かびます。

今回は旅立ちを見守る視点に立って、切なさ(トニックからサブドミナントへ)の方向でリハーモナイズしてみよう。

ツバメの巣立ちを見届ける日、いまはもう会えない人が夢に現れてくれたときの「とてもとてもうれしいんだけどもちょっと切ないような気持ち」も裏テーマに、めでたく空がひらけていくようなイメージが浮かんできました。

イントロ

原曲
E → A → B → E → A → Am → E → A → B → E → A
リハーモナイズ
G → A → Bm7 → F#m7 → G → A → Bm7 → A → G → A → Bm → D/F# →
Em7 → Em7 → G/A → G/A

『はじまりのうた 8ビート MIX』リハーモナイズ

ミスターが制作秘話で明かされているように原曲では大瀧詠一さんへのオマージュが捧げられています。
「なんの曲だっけな?」と思い出せずにいてスーパーで買い物してたら突然流れた『君は天然色』。しかもなんとお肉売り場から品出しに出てきた従業員のおじさんが口ずさんではるんですよ。「これまで大瀧さんなんて流れたことなかったやん…」とキツネにつままれつつも、「わーっ!これだー!メモれコピれー!」ってなったんですが、あまりの偶然にちょっと鳥肌が立ってしまう出来事でした。

そんな原曲のイントロ。
本編のKey=Dメジャーの1音上のKey=Eメジャーではじまっています。
聴いても自然すぎて全然気づかないさりげなさで突然の転調。
にくい!にくすぎる演出での幕開けです。
冒頭からシャッフルのリズムがハネていて心地良いですね!

打って変わって私の『はじまりのうた 8Beat MIX』の8小節のイントロ。
のっけからギターが炸裂!3本も重なっています…
リフ?というか冒頭のメロディーを弾いていて「まさかこんなフレーズが自分の中から出てくるなんて…」とびっくりしながら弾いていました。
自分でも元ネタっぽい存在がわからないのですが、LUNA SEA『END OF SORROW』(1996)やL'Arc〜en〜Cielのようなヴィジュアル系初期の曲を若かりし頃にカラオケで歌っていたからかもしれません…
「どっから出てくるんや…」学生時代にヴィジュアル系バンド、パンクバンド、コミックバンド(私と友人のユニット)で対バンした若き日のライブハウスでの影響がそのまま音に出てきているような感じがしてきました…
スクエアな「エイトビート」でリズムはハネていません。

バッキングのリズムで浮かんだのは当時スウェディッシュ・ポップと呼ばれていたクラウドベリージャム『This And That』(1995)。

エレキギターを弾いて…すっかりエレキギターの弾き方を忘れていました。そういえばYoung GuitarやGuitar Magazineやバンドスコアを買って満足し、曲をコピーせず生きてきた人生。弾かないギターの保管人だったことが判明しました。これを機に弾いてみようと初心に帰ります。

ヴァース(Aメロ)

原曲
D → Bm7 → D → G → A → D → A → G → F#m → Em7 → A → D x2
+ Dsus4 → Dsus4 → D → D 
リハーモナイズ
G → A → Bm7 → F#m7 → G → A → Bm7 → A → G → A → Bm7 → D/F# →
Em7 → Em7 → G/A → G/A x2 + Dsus4 → Dsus4 → D → D

『はじまりのうた 8ビート MIX』リハーモナイズ

原曲ではsunnyさんのハイトーンボイスからはじまってびっくりしますね。サビよりも高く歌われていて、曲の構造がおもしろいなと感じました。

ミスターが「はじまりのうた」ラバーズの一月一曲Q&A配信で「sus4ってちょっと加えるだけで劇的に雰囲気変わるんでぜひみなさん覚えてください」と語ってらしたので、最後の Dsus4 → D をわかりやすく強調。

プリコーラス(Bメロ)1

原曲
F → G → D → Bb → C
リハーモナイズ
F△7 → G△7 → D△7 → Bb → C

『はじまりのうた 8ビート MIX』リハーモナイズ

サボテンもタヌキも」で突然 Key = C に一瞬転調し 「宇宙人たちも〜」で Key = D に戻っています!宙に浮いている感じを演出したく F△7 → G△7 → D△7 とそれぞれのコードに長七度 = M7の音を足しています。M7の並行移動です。リズムも半テン(半分のテンポ BPM = 87 にし、ゆったり感じる)で空気感を変えます。

踊らにゃソンソンぴーひゃらら」では倍テン(元のBPM = 174 に戻し)「サビに突入するぞ!」感を演出。
歌詞をみて私はちびまる子ちゃんの主題歌B.B.クイーンズ『おどるポンポコリン』(1990ですがリンク先は2023の〜Funk Version〜)を思い浮かべましたが、どうしてこんなキャッチーな言葉が出てくるのか不思議でしょうがないです。歌ってハモって楽しかったフレーズ。

双子のおふたりのコーラス「アーアーアーアーアーアーアー🎵」にMr.Children『シーソーゲーム 〜勇敢な恋の歌〜』(1995)が聴こえたのは私だけでしょうか?(といいつつきっとたぶん他にオマージュを捧げる素敵な元ネタがありそうな気も)サビ前にぴったりの心ときめくコーラス。

原曲ではKey = F Ⅳ → Ⅴ = Bb → C → Key = D Ⅰ = Dへ転調 というロックなコード進行となっています。ゲーム作曲家のキノコ国本剛章さんが「ガッチャマン進行」と名付けられている進行だと今回検索してはじめて知りました。
ガッチャマンの歌」(1972)歌:子門真人 作曲:小林亜星
最後の「オー!ガッチャマーン!ガッチャマーン!」のコード進行で「つらい事に立ち向かい、困難を乗り越えるとその先に明るい未来が待っている」ように感じるとおっしゃっています

私にはThe Beatles『With a Little Help from My Friends』の冒頭「Billy Shears」(リンゴ・スター演じる架空の歌手の名前が歌われる部分。私はイギリスのラジオ局「BBC」のジングルなのかと勝手に空耳していました…)が聴こえてきます。いつからこのロックな進行は使われはじめ、ミスターはどの曲にオマージュを捧げてたのでしょうか。とても気になりますね。

コーラス(サビ)1

原曲
D → G → D → G → D → G → D → G x 4 + D → G → D → G → D → G → D
リハーモナイズ
G → A → Bm7 → D/F# → G → A → Bm7 → D/F# → G → A → Bm7 → D →
Em7 → Em7 → G/A → G/A x 2 + G/A → G/A

『はじまりのうた 8ビート MIX』リハーモナイズ

原曲は Ⅰ → Ⅳ = D → G の循環進行=アーメン進行(『きょうはいい日』でも使われていましたね!名曲がたくさん生まれているコード進行)。
私は4-5-6進行にリハモしたのでBメロからの流れが bⅥ → bⅦ → Ⅳ = Bb → C → G(サビ頭)で偽終止となり、めくるめく進行を妨げてしまいましたが、リズムの変化で「サビに突入するぞ!」〜サビへの開放感は生まれているのではと。

ここでようやくシンセサイザー(CASIO CZ-1)が登場!
まわるまわるまわる」の歌詞にあわせて染之助・染太郎師匠ばりに L ⇄ R をくるくるとトランジスタが発する80年代の電子音が回ってくれています。
TM NETWORK / TMN小室哲哉さん、PSY・S松浦雅也さん(『GIMMICK』(1990)を参考にしました)、SOFT BALLET森岡賢さんに憧れていた私はギターよりシンセサイザーで打ち込みをしている時間の方が長く「演奏よりも作曲よりも編曲に興味を持っていたのだな」と今振り返ると思います。「サウンド・プロデューサーは誰だろう?」とかCDのブックレットのクレジットばかり見ていましたしね。

サビで歌の音域が下がるこの曲で、sunnyさん不在で男性の声だけで「サビの高揚感を出すにはどうすればいいかしら?」と悩んでいた部分を、1986年生まれのシンセサイザーのきらびやかな音色が解決してくれました。

ソロ

原曲
F → F → F → F → A
リハーモナイズ
G → A → Bm → F#m → G → A → Bm → A → G → A → Bm → D/F# →
Em7 → Em7 → G/A → G/A

『はじまりのうた 8ビート MIX』リハーモナイズ

原曲ではのんしゃらんのリズム・ソロが聴けるうれしいソロ・パート。
後ろの伴奏はここでもさりげなく転調してFコードへ。

「エイトビート」のリハモではもう私の頭は「ここはギター・ソロでしょう」という流れに自然と向かっていました。そう…令和の世では▶︎▶︎スキップされてしまう噂のギター・ソロを弾くのです!

「どうか8小節、10秒だけ私にお時間をください 」

エディ・ヴァン・ヘイレンヌーノ・ベッテンコートスティーヴ・ヴァイ、Char『Smoky』(1976)、そして君島大空『笑止』(2020)とマイ・ギター・ヒーローたちの曲を聴き返しますが、一朝一夕で彼らのように弾けるわけはなく、私の中から気の効いたトリッキーな音や流麗なフレーズは出てきませんでした!無難にペンタトニックのソロに落ち着きます。これまでまったくギター・ソロを弾いてこなかった人生でしたので、36テイク目でようやくOKテイク。ソロ入り前にフィードバックっぽい音(ハーモニクスの逆再生)を入れて気分を盛り上げていきます。

ブリッジ

引用歌『ハッピーバースデートゥーユー』はPD楽曲(パブリックドメイン=知的所有権が消滅した楽曲)で『Good Morning to All』(1893)の替え歌だとはじめて知りました。
原曲では4拍子にアレンジされていますが、元ネタにあわせて3拍子に戻して空気感を変えてみました。sunnyさんみたくソウルフルにかっこよく歌えなかったので、オクターブで下に声を重ねてみました。
3回目の『ハッピーバースデー』のメロディ。『デー』がBbM7(Key=Fからのモーダルインターチェンジ)のコードにあわせて F = ファに半音下がるラインがとても美しく素敵です。
前述のコード進行 = △7 → m7 → △7 → m7と下降していくラインは、小沢健二『流動体について』の「意思は言葉を変え〜」の転調でも使われているコード進行(この曲はギター・ソロもかっこいい!)。

プリコーラス(Bメロ)2

原曲
Bb → C → D x 3 + Bb → C
リハーモナイズ
Bb → C → D → Gm7 → Am7 → D → Bb → C → D + Bb → C

『はじまりのうた 8ビート MIX』リハーモナイズ

落ち込んだ時には声をかけてくれよ 」は
1回目のBメロ「サボテンもタヌキも宇宙人たちも〜
のメロディを踏襲しているように思えます。が!
Key = C Ⅳ → Ⅴ = F → G → Key = D Ⅰ = D の転調からまた変化していて
ロックな「ガッチャマン進行」でさりげなくメロディも変わっています。
2回目のBメロ「落ち込んだ時には声をかけてくれよ
Key = F Ⅳ → Ⅴ = Bb → C → Key = D Ⅰ = Dの転調です。
そうです!「踊らにゃソンソンぴーひゃらら」と同じ進行ですね。
自然に聴こえるのに、1回目のBメロと2回目のBメロでちがうキーで転調していて、メロディも少し変わっているという心にくい演出ですが、アレンジしたり歌っている時にはまったく気づかず、この備忘録を書いているときにはたと気がつきました。音域が少し高めになったのでコーラスのメロディを変えて下に重ねてみました。

楽しくない時は」はBbにベース音Gを追加しGm7、Cにベース音Gを追加しAm7に変化させ、歌詞にあわせた切ない響きにしました。「そのままでいいんだよ」のDでより開放感と安心感が出せるように。
ミスターはこうしたそっと心を励ましてくれる歌詞を曲に忍ばせるのが本当に上手いですよね。この曲でもいちばんじんわりくるところ。

コーラス(サビ)2

原曲をよく聴いていただくと1回目のサビでは下がっていたミスターのコーラスが、2回目では上がっています。さりげなく気持ちがふわっと上向く工夫がされていて、さらに終盤ではコーラスが積み重なっていきアウトロへと向かいます。私もミスターに倣って最後の最後にさりげなく「(すー)うぃっと!」と歌ってみたのですがあまりにさりげなさすぎたみたいで、トラックの陰に埋もれてしまいました…

私はコーラスが重なっていくところをG/A = A9sus4(omit5)のセブンスにしてちょっと切ない響きのアレンジの最後に祝祭感と拓けていく未来への高揚感を演出できるといいなと考えました。めでたく空がひらけていくイメージ。

ここでの聴きどころはベースです。
心の中から「いつも愉快な小西康陽さん」に登場していただき、「エイトビート」なアレンジにソウルフルなベースラインをぶっこんでもらいました。
というのも、きたによしこさんの絵本『夜のおたんじょう会へ』でピチカート・ファイヴのロックなナンバー『メッセージ・ソング』が浮かんでいたからです。そのことも今回の「エイトビート」へのアレンジにつながていた気がします。
もう会えない人といつかまた会える。もう会えない人からのメッセージが歌になり届く。「そしてぼくはいつかきみときっとかならず逢える
「そうならいいな」「そう信じて生きていきたいな」と願いをこめて最後は明るく締めくくりたいと思いました。

そうだ。絵本からはこの曲も浮かびました。空気公団『ねむり
会えなくなった大好きな人たちがずっと見守ってくれているとしたら。
お誕生日をまたみんなで祝えたらとても幸せだろうなと思いました。

アウトロ

『はじまりのうた 8ビート MIX』リハーモナイズ

アウトロは「ガッチャマン進行」Bb → C → Dからギターのアルペジオへ。

上が原曲(耳コピしてみました)
D ⇄ Dm7 のループがぐるぐるとまわっています。
私は初聴でThe Beatles『Dear Prudence』が浮かびましたが、コード進行がぜんぜんちがっていました。ほかにオマージュを捧げる元ネタがあるのでしょうか。気づかれた方は教えてください。

下が私のリハモ
sus4(サスフォー)が4回連続で出てきて Dsus4 から Dsus4 へ巡ります。
「はじまりのうた」ラバーズの一月一曲Q&A配信でミスターが「sus4のありがたみ」について語ってらっしゃったと前述しました。「楽器知らない方でもsus4だけは覚えてください」その理由は「終着点を見据えたコードを体感できるから」。「少しの労力で劇的に曲の良さが出るんでsus4」と。

ただし…sus4はここぞという時に使うのが効果的。
「使いすぎはダメです!sus4の使い過ぎ、お酒の飲み過ぎは厳禁!」ともおっしゃっていたにも関わらず、今回のリハモのアウトロでは sus4 数珠繋ぎという禁じ手を使ってしまいました。
というのもこのQ&A配信を観る前にフレーズを思いつき、忘れないうちにと先に録っちゃってたんですよね。ミスターのメッセージを聞いて「4回も連続していろんなsus4ならべて弾いちゃってるやん…」と爆笑しました。

原曲のアルペジオにこめられた「まわるコンセプト」だけは継承したくPanで L ⇄ Rをくるくるまわしています。

制作中も久々に歪んだギターが聴きたくなり、スマパンSRIRAL LIFEMO'SOME TONEBENDERブランキーeastern youthBUMPサンボマスターRadiohead羊文学などその時々で胸をゆさぶってくれた曲たちを「エイトビート」にこだわらず節操なしに聴いていました。「オルタナ以降のバンドとか全然聴いてこなかったなぁ」と反省しました。きっとまだまだ知らない感動的な音楽たくさんあるんだろうな。

エグゼクティブ・プロデューサーの妻からは「今回はどこか懐かしいアレンジだね!」というお言葉をいただきました。個人的には封印していた古い記憶を呼び覚ましてしまった感があり、これまでリハーモナイズに取り組んできた中でいちばん気恥ずかしいアレンジに仕上がりましたが、今回も原曲とはまたちがった曲が持つ一面を表せていればいいなと祈るきもちでいます。

と締めくくりつつ、いつも好き勝手なリハーモナイズを快くゆるしてくださるミスター & ザ・ワースレスのみなさまに心からの感謝を。
ワースレスラバーズのみなさんの #ラバーズの一月一曲 今月もとても楽しみにしているので、またぜひたくさん投稿して聴かせてくださいね!
ミスターの盟友村田食堂のむらたぬき師匠。今回こそは新しいカバーをアップしてくださらないかしら。密かに心待ちにしているのはきっと私だけではないはず!

最後の最後の最後に私のギター・ヒーローでジャズ・ギタリストのカート・ローゼンウィンケルさんの至宝のギター・ソロをお聴きください。

今回も長い長い備忘録となりましたが、最後までお読みくださりありがとうございます。


「太字」部分は文章内でご紹介している楽曲から歌詞を引用しています。
  歌詞の © 著作権は各作詞者に帰属します。
※ 登場するアーティストは呼称を敬称略としていたりしてなかったりしていますが、すべてのアーティストに敬意をこめて紹介しています。
※ 私はいま音楽理論を勉強中ですが、音楽学校等は出ておらず独学の最中の知識だけで記事を書いているため、楽理的におかしなことが書いてあるかもしれません。どうぞ参考までにお読みいただければ幸いです。