福本伸行作品、次にアニメ化するのは?~候補を考える
ギャンブル漫画家でよく知られる福本伸行先生の作品はたくさんあります。
その中でも『アカギ』と『カイジ』はアニメ化されたこともあってか、非常にメジャーな存在となりました。
一番新しくアニメ化されたのはスピンオフ作品の『中間管理録トネガワ』で、賛否はありつつもまずまずの評価を得ました。
では、次にアニメ化される・アニメ化するのに適している福本作品とは一体なんでしょう?
いくつかの作品はドラマ化などもされていますが、やっぱりアニメで見てみたいものです。
数ある福本作品の中から、適性が高いと思われる三作をピックアップしてみました。
最強伝説 黒沢
この作品はギャンブル漫画ではなく、人情コメディといった感じの漫画です。作中、ちょっとしたバトル要素もあるのも特徴です。
アカギ、カイジのアニメを作ったプロデューサーは、「黒沢もアニメ化してみたい」というコメントを発していることから、一番実現する可能性が高いと言えるのではないでしょうか?
ちなみに黒沢自体は全11巻となっていますが、続編として『新黒沢』があります。
しかし、アニメとしてキリが良いのは無印版までとなるでしょう。
新黒沢自体も無印版と違って福本先生の作品の欠点である冗長さが非常に強かったりと評判は良くないので、そちらのアニメ化は厳しいと思われます。
銀と金
カイジシリーズを始める直前まで連載していた作品。
こちらも正確にはギャンブル漫画ではなく、裏社会に生きる悪党たちの駆け引きやバトル等、様々なバラエティ溢れる対決を描いた作品です。
一応、ギャンブル自体も麻雀と競馬をやっています。
多くのファンからは福本先生の作品の中でも、「カイジより面白い」「福本作品最高傑作」という好評を得ているほどで、人気の点で言えばカイジやアカギにも引けを取りません。
人気作ではありましたが、カイジを連載するために打ち切りになってしまったものの、この作品もアニメ化するにはかなり適している部分が多く、
作風や雰囲気的にはカイジシリーズ初期=アニメのカイジ1期に近い
ストーリーのテンポが良い
一応、ラストは余韻を残すものにはなっている
福本作品の中でもぜひアニメ化して欲しい作品の筆頭で、間違いなくカイジやアカギに匹敵……下手をするとそれ以上の好評を得るのは間違いないはずでしょう。
しかしながら、連載を多く抱えてマルチタスクになってしまうと、打ち切り含めて色々と不都合が起きてしまうのは悲しいもんです。
無頼伝 涯
冤罪を着せられた中学生が無実を晴らすために脱獄を行うアクション漫画。
この作品は連載当時は話のテンポが中盤まで非常に悪く、故に人気が得られず一年足らずで打ち切りになってしまいました。
福本先生自身も「失敗作だった」とコメントしており、次に同じ雑誌で連載された『賭博覇王伝零』は本作の反省をもって製作されているともされています。
ところがこの作品は打ち切りになりはしましたが、上記二作に並んでアニメ化するのに適している作品なんです。
実はこの作品、作者こそ失敗作扱いしていますがファンからは隠れた名作として支持されています。
確かに連載中こそ不人気ではありましたが、物語の起承転結自体はしっかりしているんですね。
打ち切りが決まってからの怒涛の展開は逆にテンポが良くなっており、色々な駆け引きもあってむしろ面白くなっているんです。
主人公の涯は最後に無実を晴らし、悪役も懲らしめられたことを示唆する余韻のある結末になっています。
黒沢や銀と金が、2クールで作れるとするならば、涯は1クールのアニメとしては最適な長さの作品と言え、アニメ化するに適しているんです。
しかも漫画の方では描写不足だった以下の点、
悪役が涯に擦り付けた殺人事件の動機
涯の他に収容所に連れてこられた仲間の動機
ラストで涯を助けにやってくる刑事の空白期間の出来事
悪役が逮捕され、その後罪が世間に暴露される
といった部分をアニメで補完すればまさに打ち切りながらもさらに完成度が上がった作品として昇華されることでしょう。
あとがき
福本先生の作品は全体的に見ると、『引き延ばしすぎて話のテンポが悪い』『話が中途半端に終わって長期休載してしまう』といった負の一面があります。
実の所、最初にアニメ化したアカギもラスボスの鷲巣戦がそもそも原作すら当時はまだ途中であり、「俺達の戦いはこれからだ!」のような幕引きになってしまいました。
しかも、肝心の原作は鷲巣との戦いだけで20年もの月日を費やしたほどです。いくら何でもテンポ悪すぎですね……。
よって、アニメ化しようにも上記のような難点もあって難しいのでしょう。
その点、以上の三作に関しては福本作品の中ではまだアニメ化する題材としてはマシな方なのだと思います。