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狐の嫁入りとともに出た虹

それは不思議な光景だった。

夕方、ランチに出ると冷房で冷え切った体が心地よいくらいにあたたかさを感じることはなく、暑い、と思わず口に出るほど。

ビルの合間から見える空にはいかにも夏っぽい青さが広がる。

予定通り回鍋肉定食だなと思いながら、ぼんやり前を見ていたそのとき、虹に気づく。

雨降ってないけど。むこうの空も晴れてるけど。

本当に虹?

とりあえずTG-7で撮り、あ、そうだとカメラを取りにいったん職場に戻ることにする。

エレベーターを待っている間、バイトの綺麗系のJGがちょうど出社。

虹だよって指をさすが、しばらく気づかず。

さっきよりも薄くなっていた。

90mmマクロレンズがついているカメラで撮りなおす。

虹はわずかな変化だが、薄くなったり濃くなったりを繰り返していたような気がする。

電柱などの地上から出た棒が邪魔なところが多く、よい場所を探してランチ取る予定のお店より先にも進んだが、虹も薄くなっていき、あきらめて踵を返した。

お店で落ち着いてからツイッターを検索すると、狐の嫁入りがトレンドにあがっていた。

不思議な空だったが、それですべて納得した。

虹の出来た方角、確かに雨が降っていたのだ。


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