虫嫌いを克服させる千本ノック 84本目 スズキクサカゲロウ(鈴木臭蜻蛉)の幼虫
見出し画像は浦沢直樹『PLUTO』を意識した。
カゲロウというと儚い命の象徴として、ときに引っ張り出されるけど、カゲロウとクサカゲロウは全くの別物。
カゲロウは不完全変態だが、クサカゲロウは完全変態で、分類上も大きく異なる。
以下の昆虫の分類を参照してもらえば、全然違うことがなんとなくでもわかるでしょう。
クサカゲロウが属するアミメカゲロウ目で一番有名なのは、アリ地獄でしょう。
アリ地獄の巣をつくるのはウスバカゲロウの幼虫で、巣の写真は以前撮ったものがあるけど、幼虫自体は巣から引っ張り出さないと撮れないので、今後の課題だな。
(実は弟がつかまえてきて、家で飼ったことはある。30年以上前)
さて、今回撮ったのは、以下。大晦日、フユシャク探していたら、偶然発見。
歩き回っていたので撮りづらいこと、撮りづらいこと。
ちょっとピントがずれたけど、一番大きく撮れたものをトリミング。
アリ地獄の中にいるのも、大体似たような形してます。特にあごの形がね。ちっちゃいクワガタみたいでかっこいいよ。
もう1枚、ちょっと小さくなるけど、よりピントの合ったものを。
茶色っぽいボディに白い線模様が特徴的で、初めて見た(と思う)。
これならば同定できるかなとGoogle画像検索かけると、スズキクサカゲロウで一発。
しかしネット情報だけでは怪しいので、ダメもとで『日本産幼虫図鑑』を開く。
出ていたあ。
他に似たようなのもないので、スズキクサカゲロウ、これで大丈夫でしょ。
スズキクサカゲロウは鈴木さんの名前なのかちょっとググっただけでは出てこないが、学名調べたらChrysoperla suzukii(←noteは現時点でイタリック表記できねぇ)なので、やっぱり発見者の名前あたりだろうな。
そして今回漢字を改めて調べて驚いたことがある。
冒頭のカゲロウとクサカゲロウの違いについてに戻るのだが、カゲロウは漢字で蜉蝣。クサカゲロウの方は蜻蛉なんだ。
蜻蛉は別の読み方するとトンボだよ。
クサカゲロウが属するアミメカゲロウ目にはトンボとよく間違えられるヘビトンボ(これをヘビトンボ目とする分類もあり、実は私もそれを採用している)がいる。ここからカゲロウに蜻蛉の字を当てているのかもしれない。
しかし皮肉なことに、カゲロウ目と蜻蛉目は近縁なのだ。
(昆虫の分類参照)
ところでクサカゲロウの漢字表記についてもう一つ。
上ではあえてクサ蜻蛉と、クサの字をカタカナにした。
クサカゲロウは成虫は緑色の葉のような色のものが多いので、私は長らく草カゲロウだと思っていた。
あるとき何かの本で、クサカゲロウは種類によっては触ると臭いからクサカゲロウというのだと読んで、衝撃を受けた。
それ以前にイシガメに対して、クサガメは草亀かと思っていたのが、やはりくさい臭いを出すからクサガメというのを読んでいたので、まだ衝撃は減じたほうだが。
しかし、臭いからなのかあ、ネーミング、どうなの?と今でも思ってる。
ネットでは草カゲロウと臭カゲロウと二説あるというのを複数見たが、少なくとも私は商業出版されている本でそれを見たことはない。
私が知らないだけかもしれないけど。
寒い夜にフユシャク探ししている中、成虫にはしばしば会う。
フラッシュ撮影すると、レース状の翅がそれはそれは美しいこと。脈翅目とはよく言ったものだと感心する。
成虫の同定がまた困難で、よく私はあきらめてしまうんだけどね。
幼虫と違い成虫はなよなよして弱々しいのだが、なんとあれで幼虫同様肉食なんだよね。いったい何食ってんだか、いつも疑問に思っている。
なにか食べているところを撮ったことがあるような気もするが記憶違いかも。
幼虫もちょくちょく見るので、今後も色々観察して、調べていきたい注目の昆虫である。