家族伝説〜気持ちが悪いなら〜
「俺は運転してたんや。だから車から突き落とすのは無理や。あいつが喧嘩の中で勝手に飛び降りたんや。」
パパが走行中の車から浮気相手を突き落とす化け物じゃなくてよかった…ヤバいのは浮気相手だったんだ…。
「石切りってわかるか?」
「川に石ころ投げて跳ねさせるやつやんな?」
「ああ、そうや。あいつ、車から飛び降りた時、石切りみたいに、ぴょーん、ぴょーんと跳ねよったんや。」
ああ、ダメだ、パパは化け物かもしれない。
「俺は車をサッと止めて、あいつのもとにかけよったんや。そしたら、血の海の中で倒れててな。人だかりや。」
「え、ええ、えええ、ええ、えー!」
「俺の中ではまだ喧嘩中や、気がたってたんやろうな…」
「ええ、なにしたん、、、」
「あいつが気持ち悪い…なんて言うから、気持ち悪いなら吐かんかいっ!!って言ってもたな。」
「なるほど…」
なるほどってなんだ…。
家族伝説の有無を確認したら、本当にあった怖い伝説だった。この人の血が俺にも流れている。
スペースドッグ!のtaku kawaharaが「木村くんはDNAと戦っている」と口にしたことを思い出した。
#あの選択をしたから
(note × マイナビのキャンペーンハッシュタグ)
あの選択をしなければ家族4人で平和に暮らせていたのだろうか?いいや、平和なんか待ってない。
パパがあの選択をして家を出たから、誰も最悪の最悪を味合わずにすんだのかもしれないと思えてしまった。
パパの話を聞き終え息を吹き返すことのない冷たくなった母を見た。うっすら笑ってるように見えた。俺も内心は笑い話で聞いてしまっていた。
だから、
だからこそ、
DNAの手綱をしっかり握りしめて生きていこう。