マガジンのカバー画像

米栗カレンダ

232
米栗久三郎による、1日1絵の、日めくりエッセイ。 3歳の「彼」の今日を綴ります。 こどものありようって、哲学だなあ…と思うのです。
運営しているクリエイター

2020年10月の記事一覧

2階からポップコーン【weekly 米栗カレンダ 20201027】

■早すぎる、がちょうどいい砂場にて。せっせとトラックに砂を積んで遊んでいたかと思ったら、ふいにごろんとうつ伏せになって「ねてるの〜」と宣言した3歳の彼。 思い立ったらすぐに走るし、思い立ったらすぐに寝てみる。 これほどに感情と行動が連携できていたらきっと、病まずに生きていけるだろう。 周りを見すぎて身動きが取れなくなっている自分を思う時、いつも思い出すのは、京都・東山の永観堂のみかえり阿弥陀様だ。 この阿弥陀様は、後ろを振り返るという珍しいお姿をしているのだが、それに

日暮れ時の幻のようなできごとたち【weekly 米栗カレンダ 20201020】

■馬頭琴「これはモンゴルの楽器だよ」 公園に向かう途中にある、細いトンネル。その出口で、珍しい楽器を奏でていたおじさん。その様子をじっとみつめた彼、三歳。 「馬頭琴(ばとうきん)って言うんだよ。」 おじさんにそう教えてもらって、父親と一緒にしばし演奏に見入った彼でした。 ■手つなぎ騎士この日、ばあば宅から、自宅に戻る道はすっかり日が暮れていた。 「暗くて怖くない?」とオヤが尋ねると、「怖くないよ」という彼、三歳。 そしてオヤと手をつないだまま、 「まもってあげる

ああ、いい一日だった【weekly 米栗カレンダ 20201013】

■シュレッダーばあばが、溜めに溜め込んだ書類を、一気にシュレッダーにかけた。 それはそれは大量の「シュレッダー済の紙ふぶき」ができた。 ばあばがゴミ袋にまとめたそれを、ざーーーーーっと床にぶちまけた3歳の彼は、それを雪に見立てて傍若無人の遊びっぷり。 片付けが…と白目になっているオヤ。部屋中が…いや、家中が紙ゴミの館と化したのでした。彼が寝たあとの片付けは、果てしなく大変だったのでした。 ■風船近所のおじさんが「薬屋からもらってさ」と、風船(まだふくらませていないゴム

いつも歓迎されているとは限らない【weekly 米栗カレンダ 20201006】

■家族会議久しぶりに行った、府中の祖父宅。 大人6人に子供一人の親戚が集まった。 3歳の彼は、久しぶりに会う(一年以上のブランク)祖父母と叔父叔母に内心とまどいつつも、彼らをよく観察していた。 そう、子どもは意外なほどに周りをよく観察している。 だから、大人同士の関係や(夫婦仲とか、親子間の感情とか)、彼らが自分をどう思っているのかも、かなり敏感に察知している。 だから和気あいあいとした食事も、そのあとの家族会議も(ちょっと子どもはお呼びじゃないな)と感じ取ると、ベ