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【日記】落ち込んだ時思い出す本
気がついたら気持ちがずどーんと落ち込んで、暗闇の中這いつくばって状況を打開するきっかけを手探りで探さなきゃいけなくて、でも私には何もなす術がなくて、ただうずくまって時が過ぎるのを待つしかない。
たまにそんな気分になる。
こういう気持ちが私に訪れるようになったのは、数年前に仕事のせいで病んでからだ。
今回も先週の金曜に忙しい日を乗り切ったぞとウキウキしていたら、その時のハイな気分のツケでもあるかのようにガックリと落ち込みが来ている。
仕事が始まる前に働いたらまた病むんじゃないかと心配していたけれど、その予想が当たったことになる。
でもそんなの全く嬉しくない。
外れてほしい予想だった。
私は江國香織の『ウエハースの椅子』を思い出す。
あるいはトルーマン・カポーティの『ティファニーで朝食を』を。
『ウエハースの椅子』では、主人公の元に繰り返し「絶望」が訪れる。やあ、と言ってやってきて、主人公に様々なこと(嫌だったり苦しかったりする子供時代)を思い出させて去っていく。
『ティファニーで朝食を』では、それは「いやったらしいアカ」と呼ばれている。「いやったらしいアカ」に心が染まるとき、怖くってしかたがないけれど何を怖がっているのか自分でもわからなくなる。
私は、今の私の状態がそれなんだと思っている。
私の元に「絶望」が来ているところ。
「いやったらしいアカ」に心が染まっているところ。
だからと言って何も解決はしないのだけれど、それでも本の中に仲間がいるのは良いことだ。
こんな気持ちになるのは私ひとりじゃないと思わせてくれる。
『ティファニーで朝食を』では、そんな時はティファニーに行くと気分がすっとすると登場人物のひとりは言う。
そして彼女は、いつかそんな気持ちにさせてくれる場所が見つかれば何かを所有したり猫に名前を付けたり出来ると言う……。
そんな彼女こそ、『ティファニーで朝食を』の最重要登場人物ホリー・ゴライトリーだ。
私はホリーの、自分の世界をきちんと持っているところが好きだ。彼女は彼女なりのやり方で世界と戦って生き抜いている。
例えば彼女は好きな男からの手紙はすっぴんでは読めないと言って、メイクして香水やアクセサリーも付けるのだ。相手がその場にいるわけでもないのに。
私は彼女のそういうところが好きだ。
自分のやり方で生きているところ。
私も自分のやり方で生きたいと思う。
自分のやり方で、「いやったらしいアカ」と戦って、生きていきたいと思う。