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映画「罪の声」~エンタメとして消費される人生

身代金要求、そして毒物混入など数々の犯罪を繰り返す凶悪さと同時に、警察やマスコミまでも挑発し、世間の関心を引き続けた挙句に忽然と姿を消した謎の犯人グループによる、日本の犯罪史上類を見ない劇場型犯罪。
「正義」とは何か?「罪」とは何か?
事件の深淵に潜む真実を追う新聞記者の阿久津と、脅迫テープに声を使用され、知らないうちに事件に関わってしまった俊也を含む3人の子どもたち。
昭和・平成が幕を閉じ新時代が始まろうとしている今、35年の時を経て、それぞれの人生が激しく交錯し、衝撃の真相が明らかになる ――

私が映画を観たいと思う基準は気になる演者さんが出ているかどうか。
でもこの「罪の声」は演者さん云々より物語に呑み込まれた。
142分もあったはずなのにあっという間に終わった。

実際にあったグリコ森永事件をモチーフとした原作の映画化。
グリコ森永事件は自分の記憶の中にもあり、
実際の事件と同じエピソードも散りばめられていたので、
どこまでが現実でどこからが物語なのかがわからなくなった。

自分の知らないうちに犯罪に巻き込まれていたという事実。
見て見ぬふりもできたけど、やはり知りたいのは真実。
そして物語は進んでいく。

結局、犯罪に関わった人たち、
巻き込まれた人たちには幸せは訪れていない。
まだ6歳だった曽根俊也だけでも
穏やかな日常を送れていることは救い。

途中新聞記者阿久津が
なぜ社会部から文化部に異動したのかを語る。
「事件をエンタメとして扱う」
ことへの疑問や苦悩を口にする。

ここ連日の伊藤健太郎報道(これを書いたのは2020年11月1日)
に嫌気がさしていただけに、彼の言葉は突き刺さる。

事実を伝えることは大切な報道活動だけど、
人の人生を一種の娯楽として消費するのは報道ではない。

大きな未解決事件の裏にあった人間模様をつづる。
事件推理ものかと思ったけど、語るものは報道の在り方、
理不尽に人生を巻き込まれた人の哀しみと社会に対する人の怒り、
いろいろなものを伝えようとしている。

そしてそれがバラバラに散逸することもなく、
一本の道の中にある。
すばらしい映画だと思う。

ちょっとした役で出てくる方々も、
人生経験を積んだ味のある俳優さんばかり。
小栗旬さん、星野源さんも十分中堅俳優なのに、
まだ若手に見えてしまうレベル。
これが大作というものなんだろうな。
何十年後かに、伊藤健太郎にもこういう深みのある俳優さんになってほしい。

話は逸れるけど、
ここ最近の伊藤健太郎報道がどうしても結びついてしまう。

伊藤健太郎くんのやってしまったことは過ち。
若いからといって許されるものではない。
一瞬の判断の誤りが彼の俳優人生に大きな影響を与えてしまったことが本当に悔しい。
大きな影響を与えてしまったことが本当に悔しい。

ただ彼のラジオを聴いたり、メイキングを見たりしてきた身としては
今報道されている彼の人格までを否定する報道は過剰すぎると思う。
1ヶ月以上前に出た出どころもハッキリしない中傷記事を焼き直して、
人格否定を執拗に繰り返している。
裏付けのない話をどうしてそこまで自信満々に繰り返すことができるのだろう。

実際に、彼と接したことのある人たちが彼の人柄は報道されているものとは違うと話始めている。
みんな聖人ではないでしょう。
間違うこともあるよ。
事実を伝えることは大切だけど、言葉は人を傷つける武器にもなるということをもう一度考え直してみたい。

彼を非難できるのは、
彼が怪我をさせてしまった人、
仕事で迷惑や損害を与えられた人、
家族、友人、彼を信じて応援してきた人ぐらいじゃないかな。

そしてこうやって報道が過熱することによって、怪我をされた方は今本当に怖いのではないかと。
事故のショックや怪我の痛みに加えて、連日の報道合戦、これからの示談の行方も注目される。
一般の人がこんなことに突然巻き込まれたら正気でいるのも大変だと思う。
結局は加害者として伊藤健太郎を非難しているようで被害者も追い詰めている。

誰もが自分の発する声に責任を持てる社会でありますように。

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