アンソーシャルディスタンス ネタバレ感想
金原ひとみさん、初めまして。
一見、自分の生活とはかけ離れた主人公(狂ってる、依存症、希死念慮)や状況設定と思いきや、
いきなりリアル感を出してきて
いやいやこれはどこかの世界線の私??
と恐怖のどん底に突き落とすタイプの作家さん
でした。
怖いったらありゃしねー
さぁ、そんなホラー小説こと
アンソーシャルディスタンスの感想いってみましょー
1.Strog Zero
あらすじを端的に言うと、
イケメン彼氏が鬱って、
支えるのに必死な「私」が
同僚の彼氏と浮気しながら
アルコール依存症になってしまったお話。
普段酒飲まない私としては、
ストゼロって
「某猫が現実逃避のときに使いがちアイテム」
って認識。
ここで普段酒をあまり飲まない私含め解説すると、
度数9%で350ml120円だから、ビール(5%)の約半額でコスパがいい。
そして、人工甘味料が糖と誤認して酔いやすいアル中向けの安く酔えるアルコールの代名詞になっている。とな。
なるほどね。
さて、今回の主人公はイケメン彼氏いて浮気してアル中って役満なので
私とはかけ離れた人物設定だから共感はできんなぁすまんすまん
って思いながら読んでたら、
は???
…
私なんだが!????
日常の私なんだが???
ノンアルで日常な私なんだが!?????
はい、シラフでストロングもゼロな日常の私はアル中でしたー!!
アハハハッ…ハッハー…ハハ…
ハァ。
他にもハッとするような表現が随所にあって
怖いよ!日常の切り取り方怖いよ。
そうだよ!気づかないふりしてるけど、
我々は常に死、人生のエラーその他もろもろ
と隣り合わせで、
たまたまラッキーなだけ。
ってすぐ死ににいく生き物こと3歳児育ててたら嫌ほど実感する。
あと、
何?、このアル中によるアル中のためのアル中マニュアル??
読めば読むほど金原さんは仕事中酒飲んでんの?だからこんな狂った小説書けんの?
2.debugger
debugger とは…
開発中のゲームのデバッグ作業を主に行う職種
整形依存症のことを
デバッカーって、言い得て妙。
整形依存症で有名な小説といえば、
『モンスター』by百田直樹
ですが、
今回は結構序盤で失敗しちゃうところがリアルでいい!
トンデモ医療の代名詞こと血液クレンジングさんを登場させることで主人公が
いかに情報に振り回されているか
客観視できてそこもとても良い。
3.Conscientia
conscientia【意味】意識
化粧品会社に勤める主人公は
獰猛な欲望(=幸福になりたい)を
抱えていて、手綱(意識)をいろんな男に
握らせようとする。
ディスコミュニケーションな夫、
お前本当に男か?なナイーブな奏、
ジャンプ主人公のようなワンコ系龍太
結局この3人誰も手綱を握れなかったから、
最後は憧れていたデザイナーへ。
結局誰も主人公の欲望の手綱は握れなかったというオチが見事。
ちなみに序盤に出てきた見知らぬ単語
“コントゥア” 笑
コントゥア【意味】輪郭
要は、フェイスラインにシェーディング、
鼻筋にハイライト入れることで、
陰影をつけて彫り深めな顔立ちにすること。
アン、ドゥー、トゥアー
コントゥア!!!!!
4.Unsocial Distance
希死念慮抱えた主人公と
自己嫌悪を隠してなんでもそつなくこなす彼氏幸希の心中旅行。
コロナに多くの人がかかり、「コロナ明け」なんて言われた今だから言えるけど、
コロナ禍初期の感染防止を文字面にすると
改めて映画の中の出来事のような少し大袈裟な印象。
いろいろなものがコロナによって奪われた。
が、一番ダメージを受けたのは学生なんじゃないかなと勝手に私は思っている。
人の気持ちなんかお構いなし、
自分の目的のために強大な力で他者を圧倒するコロナを羨ましい、
コロナになりたい、、、、って気持ち
わかるわぁあああ。
5.Technobreak
セックス依存症&
おわりに
今作読むきっかけは
推し作家の朝井リョウが雑誌で推してたから。
生きづらさやどうにもならなさ、閉塞感の
言語化能力はんぱねェええええぇ。
展開が気になるから、とかではなく
ただ純粋にこの人の言語化能力に
圧倒されるために読む本。
感想で
「性表現多いの苦手な人は…」
とか言ってんじゃねえよ!
人間の3大欲求なんだよ!
豚カツ美味しそうと同列に語るべきなんだよ!
人々の営みなんだよ!!!!
ってぶん殴られるの気持ちいいね。