何のためにヨガをするのか 『トラウマをヨーガで克服する』より(2)

ヨガを習うことで、身体の痛みを何とかしたかった。硬い身体をほぐしたかった。股関節の動きがよくなれば、太極拳の上達につながるかもしれないという期待もあった。三年ほど通ううち身体の状態は改善してきた。ただ、わたしという人間にふさわしく、変化は目にみえづらく、とても遅いものだった。
『トラウマをヨーガで克服する』という本を読み終わって気付いたことがある。
わたしはどうやら無意識のうちに、ヨガをすることで普通に、人並みになりたいと考えていたようだ。今までできなかった動き、アーサナができるようになる、体力筋力がつく、痩せてきれいになる、そういう表面的なところだけを求めていたのかもしれない。でももし、身体の表面的な症状だけではなくそれを引き起こす根本的な原因を改善、克服できるとしたら?
わたしはヨガの可能性をすごく小さく見積もっていたのではないか。
そう思うと、今まで平面的だったヨガのイメージが、立体的に、しかもモノクロからカラーになったくらいに一変した。他者との比較の上にたった「人並み」を目指せば、どこまで行ってもまた苦しくなるのは自明のこと。誰が決めたのかわからない世間並みの「普通」になるためにヨガがあるのではないだろう。本来の自分を取り戻すためにヨガをすればいいのだ。そしてそこからさらに、よりよい自分になるためにヨガをするのだ。

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