ジェニーナ・フィッシャー著『サバイバーとセラピストのためのトラウマ変容ワークブック トラウマの生ける遺産を変容させる』を読む
ジェニーナ・フィッシャー著『サバイバーとセラピストのためのトラウマ変容ワークブック トラウマの生ける遺産を変容させる』という本を読んだ。本当は書き込んだり練習したりしながら「使う」本なのだが、解説文を読むだけでも気づくことがあったので、以下、感想のメモを交えながら引用してみる。
トラウマ的な出来事やトラウマ的な人生の後では、サバイバーは何が起こったかについて断片的にしか話せない、もしくは明確な物語がまったくないこともあります。たとえ「何も覚えていない」と言っても、突然驚いたり、恐怖を感じたり、身体を強張らせたり、引っ込んだり、恥や自己嫌悪を感じたり、震え出すということは、覚えているということなのです。
わたしは昨年、いくつかの本を読んで、脳ではなく身体が虐待の記憶を持つ=記録しているという考え方を知った。身体の記憶は言語化されないので、人に語る、文章に書く、といったことばを使う方法で認識を変え、解決に導くことは難しいということも知った。
過去にアクセスするのはいとも簡単です。なぜならトリガーがあれば、すぐにでもできるからです。トラウマサバイバーにとって難しいのは、今、ここにいることなのです。回復のために必要なステップは、自分が過去にいるのではなく、今、ここにいることを身体に覚えさせることであると考えてください。
今ここにいる自分の身体が、「今ここにいていい」「大丈夫」と感じられる体験を積み重ねること。それによって身体の記録を、トラウマ一辺倒ではなくて、もっと豊かに、濃やかに、厚くしてゆくこと。自分の身体に細心の注意を向けること。小さいこどもを育むように、少しでも安全で安心な環境に置くよう努める。食事と運動を使って、より健康に近づける方向に導く。太極拳やヨガ、漢方による体質改善をそのためのよきツールとすること。
どのような治療アプローチやスキル、介入も、感情をそのまま消し去ることはできませんし、摂食障がいやアディクション、自己破壊行為もいずれはその即効性を失います。私たちに残されたのは「10%の解決策」だけです。つまり5%、10%、15%程度の確率で役立つこと、あるいはそれをやっている間の数分間だけ役立つものです。健康的な対処法のほとんどは10%の解決策なのです。たとえば、呼吸を整える、気分が良くなることに集中する、読書、テレビを見る、ワークシートを埋める、散歩、編み物、かぎ針編み、クロスワードパズル、だーでにんぐ、お風呂、静寂への祈り、ペットと遊ぶ、子どもと遊ぶ、などです。心理療法も10%の解決策であり、ほとんどの精神科医療による薬やスキルも同様です。すぐに、完全な効果が出る対処法などは、ないと言っていいでしょう。悪い時に気分を良くするには、わずかな安らぎを感じられるまでに5個や10個の解決策を使わなければならないかもしれません。
ちょうどこの文章を転記したところで、実践してみようと思い、椅子から立ち上がって太陽礼拝を試してみた。背中が伸びて気持ちがいい、でもかなりふらつく。頭を下に向けると額(副鼻腔)のあたりに痛みを感じる。新型コロナで一週間寝込んでいた影響はまだ大きいか。
自分を追い詰めたり頑張りすぎたりしてはいけませんが、あきらめてもいけません。
ぼちぼちやりましょう。