優しさに触れると
子どものころは寂しくて泣いた
大人になると
じっと黙って
あるいはほほえんで
悲しみも寂しさも
静かに見つめるようになった
子どもの頃は
やさしくされると大喜び
なのになぜ
大人になると
優しさにこそ涙がこぼれて
あたたかさに触れると
胸がふるえるのだろう
いつから
そんな大人になったのだろう
ありがとうのことばに
すこし戸惑ってしまうのは
ありがとうと
言おうと思っていたから
ああ
ほかになにがあるだろう
おだやかなる時
いつくしみの時
ふわりと触れる更紗のように
紅茶が繊細に香る
やさしい時間はこわれやすいから
そっと丁寧に包み込まないと
大人になると
やさしさにこそ涙がこぼれる
それは慈しみの雨となって
私の心に
そっとしみわたる
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