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站樁功(タントウ功、立禅)について。やり方、効果。ピンク筋系のトレーニング?【気功的瞑想】

 今回は「気功的瞑想」として站樁功(たんとうこう、立禅、站椿功)について触れます。
以前紹介した足芯呼吸法とも相性が良いと思います。

私は森林浴フィトンチッド)効果のために公園など外での瞑想する時には站樁功を行うようにしています。↓ ↓

站樁功とは

站樁功(タントウ功)とは簡単に言うと、杭のようにしっかりと立って行う瞑想です。立禅とも呼ばれます。
英語では Standing Meditation Zhan Zhuang などで検索するといろいろと出てきます。

站椿功は中国武術や気功においては、基本功にして重要な修練法だと紹介されることが多いです。

(站樁功は )“ 身体を強くし、真気を発動し、体力を増進させるなどのあきらかな効果がある。これは気功鍛錬方法の一種であるばかりでなく、武術の最上の功夫を獲得するためには、重要な方法である。
 古人は「要把骨髄洗、先従站樁起(骨髄をとりて洗うをもとむに、先ず站樁より起こす)」といっている。站樁功は、老齢者、虚弱者、病人に適しているだけでなく ” (健康な人の鍛錬にも適している。)

引用:『気功の真髄 丹道・峨眉気功の扉を開く』(張 明亮 著 KADOKAWA/角川学芸出版)p.47

以前私が習っていた内丹の流れをくむ気功でも、站樁功が重視されていて「必ずするように」と指導されました。

太極拳や意拳、八極拳、少林寺系の武術・気功(少林内勁一指禅など)においても站樁功が重視されています。

站樁功(タントウ功)のやり方、基本

站樁功の参考動画


站樁功のやり方

両足は肩幅くらいに開いて平行に。体重は両足均等に。
少し膝を緩めます。膝はつま先より前には出さないようにします。膝を痛めないためです。

また膝とつま先は同じ方向を向くようにして下さい。これも膝を痛めないためです。

手、腕の位置は下丹田や胸、肩くらいの高さなど様々です。私は下丹田くらいの高さのことが多いです。
上の動画のように両腕でボールを抱えるような形にします。

脇は締めず、肩などにも無理な力はいれず全身リラックスです。
背すじも無理なく自然に伸ばします。軽く顎を引くと自然に首筋も伸びます。

まぶたは少し閉じて、かすかに光が入る程度が良いとされます。視線は力まず下方に。

舌先は上の歯茎の近くにつけると良いとされます。

脚部も身体を支えるために自然に力が入る以外には、余計に力まずにリラックスして立ち、上半身をちょこんと乗っけるイメージです。

重心は、人体の構造上、足裏かかと寄りに重心がくるのは自然なことです。
ただ、かかとに偏り過ぎず、つま先に偏り過ぎずです。

かかと と地面に一枚の紙が入る隙間があるイメージで、少しつま先側にも重心をという指導をする人もいます。
しかし何であれ、無理をしない、膝を痛めない自然な方法で立つようにして下さい。

站樁功のコツはリラックスと瞑想状態です。
私は足芯呼吸の後にこれをすることが多いです。

下丹田に軽く意識を置いて、無理のない自然な呼吸を続けます。

中国武術の鍛錬や「少林内勁一指禅」という有名な気功においては、膝をもっと曲げて身を低くし負荷をかけることがあるのですが、瞑想として行う場合にはその必要はありません。

軽く曲げる程度で良いです。
しかしそれでも、しばらく立っていると脚がプルプル震えてきますが、できるだけ我慢した方が良いとされます。
我慢出来なくなったら膝を伸ばして続けても構いません。

少なくとも20分くらいは出来るようにしたら良いとされます。

止める時は、気功においては「収功」といって終了する際の動作が重視されます。

気功の状態から通常の状態へと問題なく移行するためです。これは気功以外の瞑想でも心がけた方が良いと思います。
特に瞑想で意識が深く入った場合には、いきなり動き出したりはせずに、ゆっくりと通常の心身の状態に移行していくべきです。

収功の動作はいろいろとあります。細かくはどーでも良いです。
腕を上げつつ息を吸い、下げつつ息を吐くでも、ただゆっくりと深呼吸を何回かするだけでも、身体をさすったりすることでも良いです。

站椿功の場合には、膝を軽く曲げた状態でしばらくジッとしていたわけですが、いきなり勢いよく膝を伸ばしたりはしないで下さい
場合によってはその動作で膝を痛めることがあります

ゆっくりと膝を伸ばすようにします。

以上が基本的なやり方です。


実践では無理は禁物です。
これで膝が痛くなる人や、もともと膝が悪い人には向かないことがあります。

これに関して、中国の武術や気功の言葉で「功成って、足壊れる」なんていうのがあります。
站樁功に熟練したけれども、その結果として足が悪くなったという意味です。

特に負荷をかけて長時間したり、膝に無理な力がかかるような姿勢でやると脚を悪くします。

細かいこと ―― 站樁功の姿勢、「気」に関して

站椿功は中国武術・気功において重視されているためか、ネットで調べても手脚の位置、視線、重心など姿勢に関して細かいことを言う人がいます。

特に太極拳や意拳など中国武術系の中には、小うるさいことを言う人がいるようです。

しかし瞑想としてする場合には、そういう細かいことは無視で良いです。無理をしない、膝や腰を痛めないような姿勢でリラックスすることの方が重要です。


また「」に関しても、特に興味がないならば、こだわる必要もありません。

人体において「気の活動」ともいえるような体験をすることがあるのですが、こういったことは、かなり真面目にやり込まないと生じないです。

手のひらに独特な感覚が生じるなどの「気」の感覚、「気感」程度のことは誰でもあります。
しかしこういったものは、実際に「気」を感じているというよりかは、リラックスして血流が良くなり、毛細血管が開くなどして生じる感覚なのではないでしょうか?


まぁ 総じて、中国武術であれ「気」であれ、実践性の全く無い精神論を語って悦に入るような人が多いジャンルであり、真面目に聞くだけ時間の無駄な話が多いです。

瞑想として站樁功を行う場合には、脚膝を痛めずにリラックスと良質な瞑想状態を得ることを最重視すべきです。

站樁功の効果――站樁功 最強説

「座って行う気功の中で静坐(つまり瞑想)に勝るものは無く、立って行う気功の中で站樁功に勝るものは無い」と私は考えています。
まぁ、要は私は瞑想(気功では静功ともいう)重視ということです。

そういった意味での站樁功 最強説です。

ちなみに動いて行う気功(動功)では、足芯呼吸法は優れた「気功?」だと思います。
足芯呼吸について ↓ ↓


站樁功はずっと立っているだけで、動いてはいないのに身体が温かくなってきます。

昔の人は、この現象を「気の活動」だと考えたのだと思います。

站樁功によって身体が温まるのは、「気」を持ち出すまでもなく、これは筋肉の運動が関わっている生理的な現象です。
筋肉の運動によって熱が生み出されているのだと思われます。


筋トレ、スクワットなどしなくても、少しでも膝を曲げてじっとしているだけでも脚(太もも)に負荷がかかり続けます。
これはアイソメトリック運動に分類されます。

まぁ、自体重スロートレーニングの動かない版みたいなものです。

站椿功で主に活動するのは赤筋(遅筋)だという主張も見られます。
大きな負荷の無い自体重だけの長時間の負荷なので、白筋(速筋)ではなく、持久力に富む赤筋が主体だという主張です。

この主張は間違っているように考えられます。

赤筋(遅筋)ももちろん活動するでしょうが、しかし白筋(速筋)、特にピンク筋も動員されると思われます。站樁功はピンク筋系のトレーニングになると思います。
大きな負荷をかけない自体重のスロートレーニングでも白筋が動員され、それが鍛えられるのと同じシステムです。

私は站樁功においては、赤筋が主体というよりも、白筋 特にピンク筋も重要なのではないかと考えています。

赤筋、白筋、ピンク筋とは?↓↓

さらに持久系トレーニングの要素もあるので、ミトコンドリアのトレーニングにもなるとも思います。
ミトコンドリアはアンチエイジングにも関わるとされます。

站樁功によって脚部の筋肉に負荷がかかり続けて、アイソメトリック運動のトレーニングになり、かつ、その時にはミトコンドリアも頑張ってエネルギーを産生しようとし、その結果として身体が温かくなってくるのだと思われます。
もちろん血流も良くなっていると思います。ゴースト血管の改善にも良いかもしれません

筋肉ホルモン(マイオカイン)などの生理活性物質も分泌されると思われます。

站樁功の効果まとめ

・瞑想として行えばリラクゼーション、自律神経調整などの瞑想と同じような効果。樹木の多いところで行えば、森林浴・フィトンチッドの効果と相乗。

・ジッと立っているだけでも、脚部の筋肉に負荷がかかり、アイソメトリック運動になりエクササイズと同じような効果も得られる。
強壮、血流促進、ゴースト血管の改善、筋肉ホルモン(マイオカイン)などの生理活性物質の分泌、ミトコンドリア系のトレーニング、、、などなど。

・呼吸もリラックスして自然な腹式呼吸なので、内臓器官のマッサージなど、呼吸法としての効果もさらに加わる。

・つまり「瞑想+運動+呼吸法=站樁功」です。総じて健康・アンチエイジングの効果です。
站樁功 最強説です。

まぁ気功以外にも目を向けると站樁功よりも効率的なエクササイズはあるでしょうが、笑。

站樁功を重視する気功 ―― 少林内勁一指禅

気功はいろいろとありますが、この站樁功を真面目に実践していると「気感」が強く出ることがあります。
こういったことに興味があるのなら、気功を習うなどしても良いかもしれません。

站樁功を重視するもので、最も有名なのは少林内勁一指禅系の気功です。主に少林内勁一指禅、空勁気功、十六尊羅漢気功が知られています。

一指禅系の気功は「気功師になるための気功」などと宣伝されることもあるようです。

通信教育もあるようです。
ただ、この系統全般は、かなり真面目で地道な站樁功の実践を要求されます。
5分、10分程度だとまったく、全然話にならないです。

この気功には指導者の系譜によって、若干の違いがあるようです。

小周天についてのnoteで紹介した廖 赤虹、廖 赤陽の両氏は一指禅を教えているようですが、さらに気功においては奥深い分野である内丹に関する理解もあるようです。


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寒冷刺激の健康法の一環としても

特に寒い時期の屋外での站樁功は寒冷刺激訓練としても良くて、そういった面での効果を狙うのもありかもしれません。

寒冷刺激訓練として有名なのはヴィム・ホフです。

ヴィム・ホフ・メソッドによる耐寒能力向上には、人体のミトコンドリア、非ふるえ熱産生の機能が関わっているだろうと私は考えています。

非ふるえ熱産生には褐色脂肪細胞(やベージュ脂肪細胞)だけでなく筋肉も重要であるとする知見があります。

寒冷刺激訓練で有名なヴィム・ホフ・メソッド関連のnote ↓ ↓

前述したように、站樁功にはピンク筋系のトレーニングやミトコンドリア系のトレーニングといった要素があると思われます。

寒い時期の屋外での站樁功は、ヴィム・ホフ・メソッドの一環としても良いかもしれません。


站椿功を寒冷刺激訓練としてもするなら、ショウガ湯を飲んでから寒い屋外に出てするという方法もアリかもしれません。

生姜に含まれる成分には、熱産生を促し身体を温めるものが含まれているようです。

站樁功のコツ(私の体験から) ―― 筋肉プルプルは耐えるべし。でも無理は禁物

私の体験による站樁功のコツです。
リラックスして瞑想状態になることも重要ですが、筋肉の震えにもしばらくは耐えた方が良いと考えています。

しばらく立っていると脚部、太ももの筋肉が張ってきて、やがてはプルプル震えてきます。
震えてきたからといって、すぐに止めてしまうと効果がその分だけ減ってしまうように考えています。

プルプル震えているときには、ミトコンドリアはなんとか筋肉を動かすエネルギーを産生しようとフル活動をしているのでしょう。
この機能の鍛錬にもなるだろうわけです。

こういった状況で分泌される生理活性物質の中には、ひょっとしたら非ふるえ熱産生にも関わるとされるアドレナリンも含まれるかもしれません。

私の体験上は、筋肉プルプルする前と後を比べると、後の方が体温の上昇が明確な印象があります。
私は寒い時期の屋外での站樁功では、特にそのような体温の上昇が感じられます。

寒い時期では、プルプルする前では手先指先が冷たくて つらいわけですが、プルプルしてくるあたりから、手先、手のひらも明確に温かくなり、さらにプルプル我慢で背中、肩、首、顔まで温かくなって汗ばんでくるようです。

そうなると真冬でも腕まくりまでして続けます。
面白いです。寒い中ジッと立っているだけなのに身体が温かくなって汗ばみ、腕まくりまでするようになるのですから。

でもまぁ、筋肉の震える状況だと身体的な つらさがあるわけで、瞑想状態の質は低下しがちですが。
これも訓練の一環として、なんとか瞑想しようとしています。笑

站樁功はこの筋肉プルプルが辛くて苦手に思う人も多いですが、私は「早くプルプル来ないかな」で、来たら「よっし。限界まで耐えて見せる」の心意気でやってます。笑(長時間はやってませんが)

しかし無理は禁物です。無理な站樁功で脚・膝を悪くする人もいます。気を付けましょう。

站樁功と瞑想(静坐)

私は瞑想への切り替え、導入部分として、短めの足芯呼吸と站樁功を繰り返して身体をほぐしながら、徐々に瞑想状態に移行していくようにしていました。
それから座って瞑想(静坐)してました。

いまは、2、3回足芯呼吸をしてから、もっと站樁功を丁寧にするようにしています。
特に寒い時期に屋外で(公園などで)瞑想するときは、笑、站椿功の方が座っての瞑想よりも身体が温まって良いです。

初めの内は、数分立ってジッとしているだけで脚が疲れてきて、しんどくなるのですが、慣れてくるともっと長く平静でいられるようになります。
脚がプルプル震えるのにも慣れてきます。

そうなると、身体が温かくなるなど「気感」が明確になってきます。
以前に習っていた内丹の流れをくむ気功や、少林内勁一指禅といった非常に高名な気功において重視されていることもあり、気功的な関心が強まり、站樁功を丁寧にするようになりました。

しかし座っての瞑想(静坐)の方が、やはり瞑想状態の意識の質が良いと感じています。
立った状態で筋肉に負荷がかかる分、深い瞑想状態には入りづらいと感じています。

なので瞑想訓練の一環として続けていますが、長時間することには興味がないです。座っての瞑想重視です。

習っていた内丹系の気功では、初級段階ではとても重視されていて「必ずするように」と指導されていたのですが、私は「なんでわざわざ立ったまま瞑想をしなきゃならないんだ?座った方が集中できる」として、サボっていました、笑。

站樁功を見直して丁寧にするようになったのは最近のことです。

関連note:ヨガ、気功、呼吸法について ↓ ↓