【全身周天や大周天】仙道の階梯。ヨガや瞑想の視点
仙道(内丹)の話。
高藤聡一郎氏の仙道などの情報が錯綜としています。
密教的なヨガの観点も加えて、基本的なものをまとめてみました。
関連note:【仙道・気功】リンク集
気功や仙道の階梯
気功では実践の階梯(段階)があります。
仏家の流派などでは違ったりしますが、特に道家(内丹や医家も含む)の流れをくんでいる場合は、おおよそ以下のようなものです。
築基 →→ 練精化気 →→ 練気化神 →→ 練神還虚 (→→ 還虚合道)
仙道(内丹)は、練精化気 以降のものを扱った体系です。
世間で健康目的として行われている気功は、仙道の体系では築基や初期の練精化気の段階とされます。
仙道(内丹)の細かい階梯については、いろんな流派のいろんな指導者が、いろんなことを言っています。
高藤聡一郎氏の仙道だと、、、
小周天 →→ 全身周天 →→ 大周天 →→ 採薬 →→ 養胎 →→ 出神 →→ 還虚
、、、のような感じだったと思われます。
このうちで特に大周天、採薬(小薬、大薬、丹)など、小周天以上の段階については、仙道の流派、指導者の間では諸説紛々としています。
たとえば大周天については、これは「奇経八脈を含めた全ての経絡に気が通ることだ」「ヨガのクンダリーニ覚醒のことだ」「非常に高い精神的境地を含むものだ」などといろんなことが言われています。
関連note:奇経八脈(任脈、督脈、衝脈...)について。経絡と気功、瞑想
私が以前に短期間通っていた内丹の流れをくむ医家気功の教室では、その中国人指導者は、大周天を相当に高い段階のものとしていたように記憶しています。
気の活動の体験だけではなくて、深い精神的な体験を含むものとしていたようです。
このnoteでは、大周天やその他の言葉の定義は避けるつもりです。
小周天に関しては、一般的な定義にあるように「打通任督二脈」とその周辺の体験だと考えています。
さらに、これはヨーガではアパーナ気の逆流・上昇の体験に対応すると考えています。
チベット密教ではツンモ(ツモ、トゥモ、tummo、gtum-mo)、チャンダーリーの火のヨーガの初期の段階に対応すると考えています。
小周天以降、全身周天などについて
高藤聡一郎氏の仙道本で、私がまともに読んだことがあるのは、『秘法!超能力仙道入門』(学研ムーブックス)くらいです。
なので私の認識不足なだけかもしれませんが、高藤氏の仙道解説では、小周天以降のことが結構曖昧でかつ神秘的なものだったように感じられます。
高藤式仙道の実践者の間でも混乱が見られたようです。
私の思うところでは、小周天以降は信頼に足る情報がかなり少ないようです。
なので密教的なヨガの情報を参考にした方が良いと思ってます。
密教的なヨガの観点から
密教的なヨガの段階についても、困ったことに、これも諸説紛々としてます。
この瞑想する人noteでは、かなり単純に整理してます。
それは、、、、
・ツンモ(ヨーガの火、下丹田の火、霊的な火)の段階
・生命エネルギーがスシュムナーに流入する段階
、、、、です。
関連note:【ヨガの分類②】クンダリーニ系ハタ・ヨーガ。瞑想やムドラーを重視する密教のヨーガ
とりあえずは、「気」(生命エネルギー)の実践としては、生命エネルギーがスシュムナー(中央気道)に流入する段階を目指せばいいわけです。
そしてこの中央気道に流入する段階に達した以降は、もう、生命エネルギーをどーのこーのの段階ではなくて、「光明」「意識」に取り組むべき段階だと思われます。
仙道の陽気、小周天は、密教の基礎的な段階です。
この基礎が達成できたら、中央気道の段階を視野に入れるべきと思われます。
内丹でも「小周天の次は中丹田の段階、その次が上丹田」「道家は黄庭、命門で丹を練る」などの様々な情報が錯綜としているのですが、これらは枝葉的なものだと思われます。
前述の、私が以前に通っていた内丹派医家気功の中国人指導者も、中脈(内丹に言う中央気道)の段階を重視していました。
ちなみに仙道・内丹で「還精補脳」という言葉があります。
これは中国版の「性的ヨーガ」である「房中術」でも頻繁に登場する言葉です。
この還精補脳は何をさしているのかについては諸説あります。
段階もあるのかもしれません。
ヨガでいうアパーナ気の上昇や小周天周辺の段階をさすこともあれば、高度な段階の還精補脳は中央気道に関連するのかもしれません。
黄河逆流 ―― 黄流(黄河)は逆流して海に注がず 浩々として崑崙に朝す ―― という表現もあって、こういった大げさな表現の場合には、中央気道の段階を示すのかもしれません。
全身周天?
高藤式仙道では、小周天の次は全身周天の実践とされます。
意念を用いて気を全身に巡らせるものです。修練が進むと、自然に巡るようになるとされるようです。
これは、大周天の段階で急激な体験があると危険だから、それ以前の経絡経穴の準備としても重視されるようです。
大周天の段階ではゴーピ・クリシュナのクンダリーニ体験(※)のような激しいものがあるという意見があります。
ゴーピ・クリシュナの体験は、段階を経ない唐突すぎる例外的なものだと思われますが。
また樹木など自然との気の交流の訓練などもされるようです。
これらの実践については、意念や特殊な呼吸法を用いて短期的に強引にでも行おうとする場合には必要なのかもしれません。
そうでなければ、意念を用いた全身周天や、自然との気の交流のための特別な方法というのは、仙道を進めることにおいては、それほど細かく注意を払うようなものではないと私は思っています。
好きならやれば?という感じです。
もちろん自然豊かなところで気功や瞑想、ヨガをすることに関しては、とても良いことだと思います。
・森林浴(フィトンチッド)と瞑想。森林浴の効果を得る方法
小周天より進んだ段階は、「神」を重視すべきだと思われます。
つまり瞑想を重視すべきだと考えます。
以前に通っていた内丹派医家気功の中国人指導者は「内丹は内功(瞑想)を重視する」と指導していました。
(内功をサボる生徒が多すぎると嘆いていましたが、、)
※ ゴーピ・クリシュナのクンダリーニ体験
書籍『クンダリニー』(平河出版社)より。
ゴーピ・クリシュナはこの体験の後にクンダリニー症候群と思われるような心身の混乱に見舞われます。
風元素? ―― 五大元素。明晰夢やリトリートの修行
全身の経絡に気が周回する全身周天は、おそらくは、ヨーガで言うところの「風」の段階に相当するのではと考えています。
ヨーガでは「地」「水」「火」「風」「空(アーカーシャ)」の五大元素があるとする思想があります。
(思想流派によっては四大元素だったり、「意識」を加えて六大だったりするようですが)
この思想がヨーガの実践体系にもあてはめられます。
たとえばチャクラでムーラダーラが地元素、スワディスターナが水元素、マニプーラが火元素に対応するなどです。
仙道の陽火や小周天はマニプーラの段階で火元素の段階に対応すると考えるのが妥当だと思われます。
高藤式仙道の全身周天は火元素の次の風元素の段階、もしくは火から風への移行の段階だと思われます。
この風では、意念を用いて全身の経絡に気を巡らせるなど枝葉末節の方法ではなくて、瞑想、内的状態を重視すべきとされます。
この風元素の段階以降に、生命エネルギーの中央気道への本格的な流入や真気発動、頭頂開、大周天といったような体験があるとしたほうがいいと思われます。
地 →→ 水 →→ 火 →→ 風、、、と粗雑なものから精妙なものへと移行していくという考えなわけですが、これは内丹(仙道)の「後天を先天に返す」「順は人を生み、逆は仙になる(丹を成す)」というものにも通じるものだと思われます。
あと、直感的に思うところでは、この風元素の段階以降は、たとえば「夢(明晰夢)のヨーガ」「睡眠のヨーガ」といったものを、それ以前の段階に比べて、習得しやすくなるかもしれません。
・明晰夢でヨガをする。チベット密教「夢のヨーガ」
他には断食を組み込むような本格的なリトリートも、この風元素の段階以降に、より適したものになるかもしれません。
関連note:いつかリトリートで瞑想してみたい。イエス・キリストの『荒野の誘惑』はリトリート?
まぁ なんであれ、霊性を求めることを忘れずに。