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2023/01/13

 大学進学に関わる大きなテストが終わり、学校の通常授業が始まる。一時間目は先生がお休みで休講。二時間目は古文と始まり、三四時間目ははまさかの体育。サッカーだったのだけれど、何故か「制裁」の二文字がずっと頭の中にあった。何者による、何者への?
 
 その後昼休みを挟み現代文。好きな映画を各自言う時間だった。結構みんなスタンダードな映画が好きなんだな。ハリーポッターとか真面目に観たことない、というか集中して観たことがない。好き嫌いでなく、性質として、これからも観れないと思う。観れるようになっても、これからも観れなくてもおもしろい。
 次からは黒沢清の映画を見るらしい(僕はウォンカ―ウェイの『恋する惑星』と『花様年華』を挙げた。あの画質が、人間の底に流れる温度を思い起こさせる)。
 六時間目は一時間目と同じ先生の授業なので、休講。それで近くのギャラリーへ。残念ながら木曜金曜休廊で、シャッターが半分開いていて作品がちらちら見えているのに入れない。テストがあっての四日間通っているけれど、一度も入れていない。縁がないな。月曜日に再挑戦します。

 時間があったので丸の内の丸善にガラスペンを見に行く。

 東京駅の北口を出て、オアゾの四階。もっと大々的なイベントかと思っていたが、一つのブースで小ぢんまりとやっていた。どちらかというと常設のインクの方が広い範囲で。
 ガラスペンの作家さんがいらしていて、木の持ち手、書くところはガラス、と僕の好みにストレートヒットのガラスペンを制作している方だった。その方のガラスペンと、念願のラメ入りのインクも購入して(翡翠色のインクに金の粒子が混ざっている)大満足。最高。

 夜は母の友人宅で夕食。母の友人は家庭科の教師で、何気ない料理が全ておいしい。今日は餃子や白菜の炒飯、白菜のスープを様々の香辛料でいただく。もうすでにどんな話をしたか忘れるくらい喋り倒す。
 菊菜ブレンドのほうじ茶にチーズパイをデザートにしている頃には疲れて瞼が重かった。体力がないことはもう母と家庭科の先生には知られているので、特に気を遣われもしない。そのことが心地よかった。この状態を、「知り合っている」という語彙で補完したい。

 家に帰る。以下見つけたいい動画。

 大好きなloeweのアートプロモーション。安藤サクラさんには万引家族で否応なく惹きつけられてしまっているので、頽廃的かつ受容的な表情、歩き姿にため息がでる。
 それにしてもloeweのクリエイティビティには容赦がない。ドレスは正面に淫靡なプリントが施され、背の側は豊かな放物線状にカットされている。全部と背中側は一続きの布でないので、服というより布、という感じに風を孕み、それでも服として成立している。
 それにサムネイルのパンプス!バルーンのシリーズに籠められたユーモアに、発表されたときは打ちのめされた。こんなこと考える人がいるんだ、って。
 ジョナサン・アンダーソンになりたい。

 最近はずうっとこの音を聴いている。電子音楽なんだけど、その特有の体を改造してくる感じがなくて、気持ちいい。人の温度を感じるジャケット、動画内で展開される幾何学的模様も、音楽家の精神世界を映し出していながら独りよがりではない。そして媚びてもいない。こんな表現ができたら!憧れです。
 NPRの Lindsay Zoladz は、このアルバムについて「愛、死、信仰、欲望、場所、国、黙示録、復活など、彼が 20 年間のキャリアの中で探求してきた壮大なテーマのほぼすべてを再訪する 80 分間の瞑想」と評している。聴いていると心の中にある湖のさざ波が一度平穏となる、それを瞑想と呼ぶのかは分からないが、自分が透明になる、という感覚、目を閉じていても周りの景色が視える、実際には正座しているが、胡坐で空を上っていくような。
 この感覚はもっと、次の創作へ生かせそうだ。

 あと、母の友人宅に向かうために母と合流したカフェでできた一首。

音楽の途切れたことに気付かないあなたの羽は誰の掌

 あんまりピンとは来ない。仕方ないけれど、続けていくしかない。

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