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30代からは「役に立たないこと」を勉強する
私が中高生の頃、数学や日本史あたりの科目は「学校を出たら役に立たない」とよく言われていた。今も学生世代の周りはそうなのだろうか。少なくとも当時、周りの大人たちもそう言っていたし、私自身も、数学と日本史は好きな科目の上位だったが、「確かに将来的には役に立たなさそう」と思っていた。この「役に立たない」は仕事をする上でのスキルや必要な知識に直結しないという意味だ。私は20代の間、ずっと、この理屈を信じていて、「勉強するなら仕事の役に立つものを」という考えにこだわっていた気がする。
それが、30代になって変わった。「役に立たない」と当時思っていた、なんでもない雑学や知識の破片が、美術館で、読書で、ドラマや映画鑑賞で、さらには仕事で出会った人々との会話で、どんどん役立つようになった。様々な場面で、おそらく知らなければ知らないなりに乗り切るけれども、知っていたから楽しめた、知らなかったら一生この感動が味わえなかった、という場面がたくさん出てきた。たとえば、昨年の大河ドラマ『光る君へ』では、小中学生の頃、よくわからないままに読んでうろ覚えだった「春はあけぼの」のフレーズの背景がドラマで描写され、感動したという感想を多く見たが、これは同じような事だと思う。これまで「教養」と呼ばれてきたものとはこれか、と思った。
「光る君へ」で初めて大河を1話も逃さず見ました!特に27話が好き♡
— ヘリンボ* (@herringbo2020) December 14, 2024
子供の頃に覚えさせられた枕草子「春はあけぼの」こんな背景があったのかとしみじみ。吉高さんと柄本さんも素敵。岸谷五朗さんもやっぱり好きだなと。ありがとう😭#光る君へ#大河ドラマ#Yahooニュースhttps://t.co/EKtVbGx2lW
「春はあけぼの」「いづれの御時にか」「望月」でここまでエキサイティングす日々が来るなんて思わなかったよ ありがとうね光る君へ
— 畳 (@40seams) November 10, 2024
役に立たないと思っていたことが、役に立つとされてきた学問よりも、日々を豊かにする上で遥かに役に立つ。それに気づいて、いわゆる「役に立たない」色々なことを飽きるまで勉強してみたいと思うようになった。
一方で、仕事に育児、家事まである30代の最近の日々。母が昔、「大人になって、好きなことを勉強したいと思っても、なかなか時間がないことも多いんだよ」と言っていた意味を、今痛感している。
だから、私が今叶えたい夢は、「役に立たない」とされることを、興味を持ったらひとつずつ、好きなように勉強すること。「春はあけぼの」のように、フレーズを知っていただけで感動が増えたものと同様、さらに深く知っておくことで、より感動が増えるものがきっとある。30代からの人生は、それをもっと増やしていければ、もっと日々が楽しくなると思う。
そんなことを昨年から考え始め、面白そうだと思ったことについて、書籍を探して読んだり、関連の情報をこれまでよりも積極的にインプットするようになった。
今年は、この延長で、毎月一つテーマを決めて、学んで行ってみようと思う。こういうのはきっかけが大事だから、1月は今年の大河ドラマにもなっている「蔦屋重三郎」や「吉原」の歴史について。その後は、昨年興味を持った和歌から、「小倉百人一首」「紫式部集」の現代語訳や歌の背景なども学んでみたい。自分が昔から歴史を好きなので、歴史入り口が多いが、大学の頃に入門講座を受講しただけで学びきれなかったシェイクスピアなども、もっと書籍を読んでみたい。思っているだけではなかなか踏み出せないので、月毎のテーマにしてみようと思った次第である。
果たして12テーマ、ちゃんと決めて進められるのだろうか。2025年は始まったばかり……。