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"カフェ" という媒体。メディアとしての活路。

僕は、カフェを飲食店という枠組みで捉えていない。

カフェとは一つの媒体であり、言うなればメディアである。

抽象化すれば、Webメディアや雑誌、新聞、書籍、テレビ、ラジオ、YouTube、ブログ、SNSと同じ枠組みに入ると思う。

飲食店の苦しみとは、言うまでもなく薄利多売である。

安いものをたくさん売るのが飲食店であり、固定費もバカ高ければ、仕入れロスも出るため、利益が残らないなんてことはザラである。

当然、スタッフの人件費もバカにはならない。

これは、雑誌や新聞、書籍も同じである。

紙代がかかり、印刷代がかかり、人件費がかかるため、雑誌や新聞、書籍単体での利益構造は飲食店と同じで、薄利多売となる。

Webメディアやテレビ、ラジオ、YouTube、ブログ、SNSはもっと悲惨で、コンテンツが見られても一切売上にはならない。

WOWOWやディズニー・チャンネルなどのサブスクリプションモデルは別として、コンテンツ自体にお金は支払われない。

YouTubeやブログなどの会員向け有料コンテンツもその一種だが、YouTubeやブログ記事は、基本的に閲覧無料である。

では、これらのWebメディアやテレビ、ラジオ、YouTube、ブログ、SNSがどうやって利益を上げているかというと、基本的には広告料だ。

コンテンツの合間に広告を流すことで、広告企業から売上を得ている。

「YouTubeの広告がうざい。」

と嘆く人々がいるが、それがあるから無料で高クオリティのコンテンツを享受できていることを忘れてはならない。

とはいえ、感情としては分かる。

うざいものはうざい。

だから、YouTubeプレミアムという広告なしのサブスクリプションモデルが用意されているわけで、ここからも広告収益によってYouTubeが成り立っていることがわかる。

広告を流させてくれないなら、その分直接課金しろというわけである。

基本的に、メディアの構造とはこのようになっている。

雑誌や新聞、書籍に関しても同じで、やはりそれ単体での売上というよりは、広告料によって成り立っている部分が大きい。

"文春砲" という言葉が一般化し、耳馴染みのある人も多いと思うが、文春の売上は雑誌ではなく、ほとんどを広告収入に頼っている。

文春の記事が多く読まれ、誌面・Webに限らず差し込まれた広告が多くの人の目に触れることで売上を得ているというモデルだ。

文春を例に出してしまったからなんだか印象が悪くなるが、雑誌というのはほとんどがこのモデルで売上を上げている。

Casa BRUTUSも、& Premiumも、Vogueも、FUDGEも、大人のおしゃれ手帖も、non・noも。

雑誌単体というよりは、広告掲載により収益を得ているのだ。

だからこそ、あのお洒落な雑誌が私たちが手に取りやすい価格で買えるというわけだ。

そういう裏面がある。

話を元に戻すと、カフェというのはかなりこれらと似通っている。

雑誌の記事を売物になるコンテンツとするなら、カフェのスイーツもまた売物になるコンテンツだ。

しかし、だいたいのカフェはスイーツ単体で利益を上げようとしていない。

というか、できない。

なぜなら、スイーツは原価が高くほとんど利益が出ないからだ。

だから、コーヒーや紅茶といったドリンクをセットにすることで、トータルで利益が出るようにコーディネートしている。

話が逸れるが、なのでカフェに行ったらぜひスイーツだけでなく、ドリンクも注文してあげて欲しい。

あなたが大好きなカフェならなおさら。

それによって、カフェは美味しくてお洒落なスイーツを手頃な価格で出すことができる。

話を元に戻すと、スイーツは雑誌にとっての記事みたいなもので、それ単体ではほとんど利益にはならない。

そしてさらにいえば、最近は全体的な原価の高騰で、コーヒーや紅茶といったドリンクも利益が圧迫されている。

簡単にいえば、例えば減価率が50%だとして500円のコーヒーを10杯売ったとしても、利益は2500円にしかならない。

世知辛い世の中である。

だからそもそもの話だが、カフェを飲食店として捉えていると、利益モデルとして結構破綻していると言える。

高級レストランでもない限り、まともに利益を得るのは難しい。

だから僕はカフェを雑誌や新聞、ラジオと同じメディアとして捉えることで、地域経済を循環させることを根本的な発想として持っている。

広告料のようなバックをもらっているわけではないが、本質的には地域メディアなどと同じ構造である。

例えば、うちでコーヒーを飲んだとして、そのコーヒーがとてもおいしかったという体験をする。

そうすると、この豆を焙煎した珈琲屋はどこなんだ?となって、その市内の自家焙煎珈琲屋に赴いてみる。

そうすると、そのお客さんは「あそこのお店でお宅のコーヒーを飲んでおいしかったから来ました」と自家焙煎珈琲屋のマスターに話す。

そうすると、マスターは「なるほど、あそこのカフェがウチを紹介してくれたのか、ありがたい」となる。

そうすると、マスター自身がカフェに来てくれたり、お客さんを紹介してくれたりする。

こうして地域に経済的な循環が生まれる。

これが広告料として直接もらっているわけではないが、メディア的な媒体として捉えているという所以である。

今のところ直接的な広告料をもらっているケースはないが、本質的にはそうなのだから、そのような展開は考えられる。

例えば高額商材の部類に入るツアーや宿泊などのへの誘客によって、成果報酬型で1成約につきいくらという枠組みでやってもいいし。

シンプルに広告設置でいくらという形でもいい。

カフェはその地域の窓口になり得る(駅についたらまずカフェに入るなどの動線)から、その窓口に観光系の案内があるのはいい。

お客さんへの付加価値にもなる。

そしてさらにいえば、そのカフェのスタッフがその地域に愛着があったり詳しかったりすると、より観光客への安心感につながる。

その一環として、僕たちは「糸魚川ジオパーク プロ観光ガイド養成講座」を受講するなど地域理解に努めている。

さらにさらにいえば、スタッフが英語に堪能だったり、異文化に寛容だったりするととても良い。

インバウンド観光客への対応力が上がるという表面的な理由だけでなく、根っこの部分で安心感を持ってもらえると思う。

そういったわけで、書き殴りだが今考えているカフェのメディアとしての活路をまとめてみた。

何か意見やアイデアを頂けても僕としてはとても嬉しい。


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今野直倫
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