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町と生きることで癒える
ふと「町と生きることで癒えるなぁ」と思った。
2/21(金)定休日。
明日の仕込みや移店に関する事務・現地調査、SNSなどの更新の仕事はあれど、店に拘束されるわけではない。
比較的、休み的な一日。
不動産屋に行くのにバスに乗ったり、仕入れのついでに珈琲屋で一服したり、事務作業ついでにカレーを食べたり。
物件の見地調査は仕事ではあるが、町に生きているという感じがした。
町と生きる。
家に閉じこもってダラダラせずに、言い方を変えると横になって休息せずに、町に出る。
今、定休日の店に来てこうやって文章を書いているのだが、不思議と体は軽い。
家でソファに寝転がっているときよりも、幾分も心と体が休まっているのを感じる。
窓の外を見ると、雪がしんしんと降り続いている。
ちらちらと雪が舞っては羽毛布団のようなふかふかの雪に落ちていき、そして積もっていく。
そんな光景を眺めながら、キーボードを打っている。
これから家に帰ることを思うと疲れてくるし、家でだらだらと過ごしていることを想像するとこれまた疲れてくる。
家に帰ったとしても、机に座って暖色の灯の下で本でも捲りたい気分だ。
もっと言えば、カフェが開いているならカフェで過ごしたいし、本屋があるなら本屋で立ち読みをしたい。
僕は町と生きたい。
たぶん、町と生きることで僕は町の一部なのだと実感できるからだと思う。
町の一部であるこの体は、この心は、僕自身のものではあるが、町のものでもある。
だから、この体の疲れは町の疲れだし、この心の悩みは町の悩みだ。
そう思うと、疲れや悩みが町のこの降り積もり、そして舞い散る雪景色の中にすーっと吸い込まれて溶け込んでいく感じがする。
だから疲れ癒えるのだろうか。
そうなのだろうか。
ちょっと妄想が過ぎるかもしれない。
ただ事実として家にいると疲れるし、町にいると疲れが癒える。
行動を制限されるのが息苦しく、窮屈に感じるというのもある。
家にいると四方の壁と床と天井に囲まれて、どうにも羽が伸ばせない感じがある。
中国の纏足(てんそく)みたいなもので、箱に閉じ込められると心も体もそのサイズに収まってしまうような気がする。
体の行動が制限されるのと同時に、発想もスケールが小さくなってしまう気がする。
疲れも発散して行かないような気がする。
僕は自由でいたい。
誰にも何にも縛られず、外の世界を駆け回り、大空を羽ばたきたい。
町と生きていると自由を感じる。
この商店街の道はどこまでも続いているような気がするし(実際どこまでも続いているし)、海はどこまでも広がってその先には陸地が繋がっていて、その先にはまた海が続いている。
どこまでも世界は広がっている。
その物理的な広がりとともに、僕の心も広がっていく。
発想がどこまでも広がっていく。
もはや僕の心と体は町の一部というよりも、世界の一部となる。
あまりそこまで漠然としてくると明瞭なイメージができないから、やっぱり町くらいの感じが一番しっくりくる。
僕は町と生きたい。
今日の一日を通して、家に閉じこもって体を休めることは、かえって疲労感を増幅させるのだということを体感した。
とはいえ、だ。
町と生きるのには、お金がかかる。
カレーを食べるのにも、バスに乗るのにも、カフェで過ごすにも、どうしてもお金はかかってしまう。
一つの考え方としては、町にお金を使うことで、回り回って自分のところにお金は戻ってくるということがある。
これは本当にそう思う。
経済の循環。
むしろ、お金は使わなければ入ってこない。
しかし、だ。
しかし、手元にお金がなくなって困窮してしまっては元も子もない。
僕はお金をかけ過ぎずに町と生きる方法を模索しなければいけない。
一つは図書館などの公的な機関を利用することだ。
図書館はとてもいい。
本が読み放題だし、電源やWi-Fiはあるし、部屋は暖かい。
しかしながら公的な機関の弱点は、比較的、民間の施設より早く閉まってしまうということだ。
図書館は19時には閉館する。
夜を過ごすことはできない。
夜カフェやファミレスは開いてはいるが、お金がかかる。
どうしたものか。
散歩という手がある。
しかし、今日みたいな寒風吹き荒ぶ雪の日には、お世辞にも散歩をしたいとは言えない。
寒いのだ。
寒くて寒くて心と体を癒すどころではない。
僕はどうすればいいのか。
そうか、寒いのが問題なら寒くないように完全防寒して、寒空の中を外に繰り出せばいいのか。
天才ではないか。
そうと決まれば、まずは長靴を買おう。
そして、暖は足元から取るとも言うので(言うっけ?)、防寒用のあったか靴下も買うことにしよう。
そして、ズボンは二枚重ね。
下着はヒートテックに裏起毛のあったかトレーナー、ジャケットに風を凌ぐ厚手のコートを羽織って、ネックウォーマーで鼻まで覆ってしまおう。
散歩はいい。
何より健康にもいい。
家で入れたコーヒーなどをタンブラーに忍ばせて、飲みながら町を歩くと言うのも乙なものだ。
体も温まる。
そうと決まったら、さっそく実行だ。
僕はさらに町と生きて、さらに癒える。
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