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ジャズミュージシャンになれば食べていけるのか?
僕は今まで何人かのプロジャズミュージシャンの方…人数的にはそれほど多くはありませんが、あんまり名の知られていない方から、かなり有名な方まで幅広くご一緒させて頂きました。
そこで今回のテーマは"ジャズミュージシャンになれば食べていけるのか?"にします。ですがその前にジャズとは何なのか?…いやそれじゃ話が大き過ぎるので、ジャズのイメージとはどんなもんか?ジャズファンとはどんな人たちか?について考察してみたいと思います。
ジャズのイメージについて。
僕も身を置いている訳じゃないので、そんなに詳しくありませんが、「ジャズ」という言葉が音楽の一ジャンルを指すという事は、特別興味の無い一般の方でもほぼ全ての人が認識していると思います。そしてジャズという言葉から視覚的に連想されるものも大体同じであろうかと思います。お洒落なスーツ、サックスやトランペット、ウッドベースなどの楽器、大人な雰囲気のBar、ウイスキー…といった感じです。でも実際のジャズシーンでは、高級でフォーマルな場所以外ではラフな普段着の場合が多く、それを咎める雰囲気もあまりありません。
更にジャズファンの間では常識と思われる代表的な楽曲達…「枯葉」や「酒バラ」など所謂スタンダード楽曲は”スタンダード”って謳われているのに一般にはほとんど知られていません。
つまりジャズのイメージとは一般の方達にとっては、楽曲そのものよりその雰囲気を示していると言えるのではないでしょうか?
ジャズファンについて。
ジャズファンは次の3つに分別出来ると僕は考えています。
一つ目は、最も一般的な洋楽ファンの近くに位置しているライトユーザーの方。この層はノラ・ジョーンズさんや、ダイアナ・クラールさん等現代的な解釈としてのジャズをR&Bやポップスの延長として聴いている。そこから更に深化してビリー・ホリデイさんやヘレン・メリルさん、エラ・フィッツジェラルドさんに行く可能性も無くは無いですが、それは稀なケースと思われます。ジャズファンとしては比較的若い女性が多いと思います。
二つ目は、50〜60年代の所謂モダンジャズをリアルタイムで体験した世代の方。この方達は筋金入りのジャズファンが多く、それこそ学生時代にジャズ喫茶に通い詰めていた口です。もちろん常に新しいジャズをチェックしている方もおられるとは思いますが、多くの方はチャーリー・パーカーさん等のバップからマイルズ・デイヴィスさんや、ハービー・ハンコックさんらが電子化する前あたりを好み、団塊の世代に属する男性の方が多いと思われます。
三つ目は、ご自身も楽器を演奏される方です。この中でもロック出身かクラシック出身かに別れますが、いずれにせよ聴く事より弾く事に熱心なので、お洒落してジャズの大人な雰囲気を楽しみたいというよりは、セッションに参加する為にその手のお店に出向く事の方が多い印象です。男女比は半々くらいで、意外にも20代前半の若い方も多く見受けられます。
さて前置きが長過ぎましたが、本題に戻ります。
ジャズミュージシャンになれば食べていけるのか?
どんなジャンルの音楽でも食べていくにはファン(リスナー)の存在が不可欠です。自身にファンが付けばそれに越した事ないですが、少なくとも自身が演奏しているジャンルのファンがいなければ話になりません。
ジャズファンの中では三つ目にカテゴライズされたご自身も楽器を演奏される方が今回のテーマの主役となる訳ですが…食べていくとなるとノラ・ジョーンズさんや、ダイアナ・クラールさんみたいにジャンルを超えた存在として売れれば勿論安泰ですが、そんな人は極々少数…と言うかほぼ存在しないと思います。ヴォーカルじゃないと…いや少なくともヴォーカルもとらないとまず無理でしょう。持って生まれたスター性も必要ですし。
ジャズミュージシャンといえば一般的にはピアノやギター、管楽器などを演奏する人が殆どなので、その人達にフォーカスして考えてみましょう。
食べていけるのか?
結論から言うと、それは人によります。食べていける人もいるし、いけない人もいる。それは当然ですが、理由をもう少し掘り下げると…。
1、技術の差だけではない。
もちろん技術はあった方が良いし、もし足りなければジャズという音楽を演奏するにあっってはとても大きなハンデになるでしょう。しかしながら技術さえ高ければそれだけでOKかというと残念ながらそうではない。高い技術はあって当たり前なのです。(僕の技術が高いと言っているわけではもちろん有りません)
2、人脈の有無。
これはとてもとてもとてもとても大切です。どの世界でも人脈を形成するにあたっては、そのコアとなるべきものがあると有利です。例えば同級生とか、同僚とか、先輩後輩とか。逆に僕みたいにコアが全く存在せず完全にゼロの場合、人脈作りは相当のハンデを抱える事になります。人付き合いが上手な人ならまだ大丈夫かも知れませんが僕は苦手なので…。
3、幸運不運(めぐり合わせ)
運って自分ではどうしようもない事ですけど、大事ですよね。例えばジャズを本格的に演奏し始めた時期と、世の中にジャズブームが起きている時期とが重なっているとか、友人の父親がジャズクラブのオーナーだったとか(これも人脈ですね)
まだまだあると思うんですけど、長くなるのでこの辺にします。つまりは音楽に関する事だけではダメだって事ですね。
最後にあくまでも僕の場合ですけど、今までの少ない経験値からどんなお仕事があり、どのくらいの収入を得たのか?を、ある程度お話したいと思います。
1、イベント出演。
これはブッキングライブではありません。というか会場はライブハウスやジャズクラブですらありません。商業施設やホテルラウンジなどです。コロナ禍以前はこの手のご依頼がありました。一晩(60分から90分程度)演奏して数万円です。演奏曲目は自分達で決められる場合が殆どですが、雰囲気に合う事という条件がつくのが一般的です。
2、BGM演奏。
これは主にレストランです。これも一晩(60分から90分程度)演奏して数万円です。安い場合だと1万円以下という事もあり得ました。条件的にはイベント出演とほぼ変わりません。ちなみにどちらもドレスコードは厳しいです。女性がドレス、男性はスーツが基本です。
3、レッスン講師。
これは某カルチャースクールからの依頼でやった事もありますし、僕は妻と教室も運営しています。1回レッスン(45分)して数千円ですね。
大まかにいうと大体こんな感じになります。
1と2はコロナの影響がまだまだあり、以前の状態にはなかなか戻っていけないですね。
そろそろ全体の結論を書きますか。
"ジャズミュージシャンになれば食べていけるのか?"
成功出来る可能性はゼロではないが、限りなくゼロに近いと思って良いと思います。あとは本当人脈です。環境は人それぞれ。有利な人も不利な人もいるでしょう。アンフェアで残念ですがそれが現実です。僕も全くこれっぽっちも成功していないし、惨めなもんです。人脈なんて皆無に近いです。
それでもジャズが好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きでどうしょうもない!
という人はある種の覚悟を持って頑張ってみるのも良いかも知れませんが、くれぐれも自己責任でお願いします。
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