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『英語の発音と綴り』大名力

英語の綴りと発音のメカニズムについて解き明かしてくれる一冊です。英単語の綴りと発音は統一性がなくバラバラなものだと私はずっと思い込んでいましたが、実はその中に歴とした原理が存在すると言うことに非常に驚かされました。

前半は発音の話です。記号と音声の仕組みから、まず日本語の発音の仕組みへと展開するので面食らいますが、これはあくまでも後に続く英語の発音の説明への前提知識になっています。英語の発音では、音節と言う音の強弱と長さのまとまりが重要であることが説明され、閉音節・開音節と言う重要な原則が出て来ます。何となく万能だと思っていた国際発音記号が、この音節を表現出来ず、英語でさえ全てを表現できる訳ではない、と言うのは意外でした。

後半では、前半の議論を受けての、英語の綴りの仕組みへと進んで行きます。単純ならざる母音の組み合わせや変化の原理について、英語の歴史的な変遷の経緯も含めて、詳述されます。英語的に好まれる・避けられる綴りや発音、それを埋め合わせるための子音の重複や埋め合わせの黙字の存在など、要素はなかなか多いです。例外も多くあるものの、それでも一定のルールに従って発音や綴りの変化が決まっていると言う事実は、自分にはかなり衝撃的でした。

日本語との対比で例示していることや、平易な単語による具体例を多く挙げることにより、かなり専門的な議論を一般人に少しでも分かり易くしようと努めていることは伝わります。一読した位で頭に入るような単純なものではないとは言え、それでも一定の規則性が存在する、それを知ったこと自体が、私には抜群に面白かったです。

[2024/01/18 #読書 #英語の発音と綴り #大名力 #中央公論新社 ]

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