『ケマル・アタテュルク』設樂國廣
トルコ国民の父としてトルコ人から敬愛される、ムスタファ・ケマル・アタテュルク(1881-1938)の生涯をまとめた小冊子です。
オスマン帝国の崩壊と言う大変な時代に、非常に強い信念をもって、自身の思う方向に国を導いた人であることが分かりました。彼が率いたトルコ革命が成し遂げたものは、あまりにも大きいです。ただ、彼のやり方はかなり強権的であり、意に沿わない人物や思想を徹底的に排除することを繰り返していたことも、否めない事実のようです。しかし、この位のやり方をしなければ、オスマン朝の長い歳月で固着した国の仕組みを変えることは出来なかったのでしょう。
トルコを訪れてみて、イスラム圏でありながら馴染みやすく感じられたのは、この強引なまでに推し進められた国家近代化の成果なのだと、改めて思いました。
本としては、ひたすら時系列に出来事を並べているところも、枠外に辞書的な注釈を並べているところも、良くも悪くもいかにも教科書的ではありました。
[2024/09/01 #読書 #ケマルアタテュルク #設樂國廣 #山川出版社 ]