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心理機能は類型を論じるのには使えない
MBTIにおいて、心理機能(タイプ・ダイナミクス)の理解こそが各タイプの把握に役立つというのはちょっとした誤解ではないか?と、考えるようになったのでまとめてみました。
タイプ・ダイナミクスについての違和感
通常のアルファベットで表される特徴(4軸)の解説では各タイプの特徴として理解しやすい事が、心理機能を絡めた説明をされるといまいちピンと来ないという場合がある。違和感の要因は大きく3つあると見ている。
①心理機能は心の動きを8種類に分けて捉えているのに、各タイプ毎に1番目から4番目までの4つしか言及されていない。理解をシンプルにするためなのか、影響が小さいと言われる残りの4つについての説明は省略されている。あえて言及する場合はシャドウプロセスとも呼ばれ、やはりタイプ毎に優先順位は決まってはいるが、研究が進んでいないのかどうにも実感が乏しくこじつけ感が拭えない。
②タイプは一生に亘って不変とされているが、各種心理機能の発達具合や使用頻度は経験や状況で変化する。タイプが以前と比べて変化したと感じる人も少なくないようだが、それはシンプルにミスタイプだったのでなければ心理機能の発達によって心のバランスが変化したことによる自認の変遷ではないだろうか?MBTIの究極の目的として、全ての心理機能を使える成熟した人物を目指すというのが有ったりするらしいので、心理機能のバランスが度々変化するというのは間違いない。
③心理機能の診断結果がタイプのモデルと合致しないパターンが多すぎる。そもそも心理機能の診断テストが難解で、精度の問題も有りつつ、その定量や優先順位は個人差がとても大きい。テストを受けるときの気分やペルソナでも結果が変わるので一筋縄ではいかない。「どのモデルにも合わないので自分がどのタイプなのか判らない」という声も多く目にする。
話を進める上で、診断結果の傾向についての実例があった方が良いが、差し当たって提示の許可を貰える人が居ないので、不本意ながらも筆者の結果を出すことにする。
実例:ノクターナルの性格タイプ
診断結果はサイトによってバラツキがあるため、複数の診断結果を比べ、
最終的に定量化・平均化してグラフにまとめた。
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まとめ 各種診断結果の平均視覚化グラフ
![](https://assets.st-note.com/img/1728326974-lNq0HcDQo7I1ejGVsmvCKZxU.png?width=1200)
タイプはINTP。従ってダイナミクスは①Ti②Ne③Si④Feになるはずだが…
その4つの順番は確かに合っている中、第6機能であるはずのNiが主機能のTiを超えて発達している。更に第8機能のFiが、さながら補助機能のように働いている。これだけ見ればINTPはミスタイプで、1-3ループのINFJかINTJ、もしくはISTPあたりが妥当ではないかと思えてくる。
しかし、筆者の自認としては完全にINTPであって疑う段階ではない。
この際言い切ってしまっても良いが、診断のパターンをタイプ特定の基準にするアプローチは混乱を産むばかりであまり有効ではないのだ。
ともかく筆者は普段、上位の内向機能3つに頼っている実感は確かにある。
内向機能三銃士を連れてきたよ
内向思考(Ti)「これ、本当にそうか?」
内向直観(Ni)「だいたい わかった」
内向感情(Fi)「そっちは気に入らないなぁ…」
この流れでどうでもいい疑問を深掘りするのが筆者の日常である…
冗談はさておき、Neは働いているのでループでは無いし、社会生活の上でトラブルも起きていないので健全ではあるはず。外向機能のうち3つが低いのは、Neを介しての観察以外に外界と隔絶されている状態が好ましいと感じるエニアの△594(隠者)を反映しているという見方も可能かもしれない。
とはいえこれも設問に回答する時の心境によるもので、モードが切り替わる場面では低く出ている機能も使っているケースはあると思われる。例を挙げるとTeに関してはボードゲームをプレイする時にはかなり使っている自覚がある。仕事中でない事に関しては残念極まりないが、あとSiとSeが空気なのが超N型を物語っていそうなのとFeが壊滅してるのは思いやりが欠如してるとかそういうのじゃなくてどちらかというとある方だしただ行動に移すのが苦手だから得意な人に任せた方が間違いないと思いがちな事が多いだけというかいやコレはどのサイトも質問文が良くないから変な出方になっているだけだなこの部分だけはそうだな多分そう絶対
以上が筆者のパターンになる。
同じINTPの中でも似ている人も居れば全然違うという人も居るであろう。
というか全く同じ人は一人も居ないと思われる。
では、心理機能はどのように理解するのか?
心理機能は特性論
パーソナリティー心理学の考え方は大きく2つに分けられる。
・性格をいくつかの典型的なカテゴリーに分類する類型論
長所:全体像がイメージしやすい
短所:当てはまらない例外に言及できない
MBTIはこれ
・性格の要素を分けて、それぞれの定量を測る特性論
長所:個人の詳細に迫れる
短所:全体像がイメージしにくい
ビッグファイブが有名
ともすれば、心理機能の理論は特性論の方式だと言える。
MBTIは類型論を入り口としながら特性論の心理機能へ理解を進めるという構造になっている。イメージを掴んでから個人の詳細に迫るという、両方の短所を補う良いとこ取りの優れたメソッドなのだ。
心理機能は理屈だけ頭に入れても役には立たない。それは個人の詳細を見る時に有効になる。成熟した人格をゴールとして目指す場合において、その人の現在地点を知る事に相当する。したがって自分の特性を診断で把握することがスタートで、他人のそれは参考にならない。あくまでもn=1の場面で役に立つ考え方なのだ。
各タイプのダイナミクスについても、その並びは標準的なモデルケースに過ぎない。自分のパターンとの比較対象になる事が役割であって、これこそが各タイプの真相を表しているといった捉え方は誤りであろう。
特定のタイプやグループについて
・○○タイプと△△タイプに共通する心理機能は~
・主機能がコレ、代替機能がコレなこのタイプは~
・外向思考ユーザーである○○にとっては~
など、何かを言及する時に心理機能を用いると、当てはまらない人が多くなってしまう。空論とまでは言わないまでもかなり大雑把な事を述べた事にしかならない。心理機能の説明に対して、理解が曖昧になるのは個人差が大きすぎるからだと思われる。一方で、しっくり来た・腑に落ちたと感じる場合も、たまたま当てはまる事例と知識が合致した事による爽快感や確証バイアスではないかと疑っている。
結論
心理機能は類型を論じるのには使えない。それは特性論に基づく考え方であって個人の詳細に着目するための理論である。
全体やグループについて語る場合は、MBTIの基礎である4軸を用いれば十分である。逆の言い方をすれば、4軸で説明できない込み入った事例は、もはや類型で扱うべきではない。
今回はかなり独断的な内容になってしまった気がするので、異論・反論お持ちの方はご指摘いただけると幸いです。
と言った所で今日も夜が終わってしまうのでそろそろ寝ます。
それでは、おやすみなさい。