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【婚活回想記】この世の終わりと最悪な婚活のはじまり②

前回のお話

「彼女が妊娠したから結婚することになった」

その言葉を向けられたときに
目の前が本当に真っ白になるとか
一瞬何が起こったか理解出来ないとか
正直そういう事は起こらなかった。

おそらく私の中のどこかかすかに、この予感があったからだ。

「いつわかったの」

「2週間前くらい」

「そうなんだ」

「でも、ホントに俺の子かわかんない」

ああ、ドラマで見たことある。
マジでクズみたいなこと言うんだな。男って。

どうしようもない気持ちが抑えきれず。
涙がボロボロとこぼれる。


私はもうこの場所には居られなくなった。

「そう、でも結婚するって決めたんでしょ」

「…うん」

「もう少し」

「…」

「もう少しだけ一緒に居たかった。幸せになってね」

そう告げて、私はその場を離れた。
時刻はもう朝の4時を過ぎていた。

薄く青白く明けた空がひんやりと私を包み込んでいく。

一番恐れていた結末が現実に起こった日。

私は、自分で自分が惨めで情けなくて
永遠に涙が止まらない。

彼がどうとかよりも
こんなにもリスクを感じていたのに
なぜこの愚かな恋を辞められなかったんだろう。

あの時、かっこつけずに彼女と別れて欲しいと
ちゃんと伝えられていたら?

あの時、自分の気持ちを素直に伝えて
誠実に付き合って欲しいと言えていたら?

今こんなに惨めに泣きはらした女が、
白んだ朝にフラフラと家路に着くことは無かったんだろうか。

私は結婚適齢期という大事な時期の自分を
自分でちゃんと守れなかったんだ。

そして何事もなかったように彼だけは
彼女と未来に向かって歩いていく。

ずっと一緒に居たいから、このままの関係でいて欲しい
という呪いをかけられた私は置き去りに。

ー続くー



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