フロム流、抑圧しない子育て☆〜エーリッヒ・フロム『自由からの逃走』を読んで〜
アドラー子育て、というものがあります。アルフレッド・アドラー(1870-1937)というオーストリアの心理学者の知見を子育てに応用するというもので、私はアドラー子育ての本は読んだことないですが、『嫌われる勇気』は読んだことがあります。
で、アドラー子育てがあるならフロム子育てもありなんじゃない?と思って、今回はもしフロム子育てというものがあったら、どんな感じかな〜?を考えてみました☆
エーリッヒ・フロムとは
エーリッヒ・フロム(1900-1980)はドイツの社会心理学。代表作は『自由からの逃走』『愛するということ』など。『自由からの逃走』を読んだ感想はこちらの記事に書きました。
『自由からの逃走』を読んでて、親として耳が痛い話がちょくちょくあったのでその話を中心に、子育てノウハウ的に勝手に落とし込んでみます。
題して、『フロム流、抑圧しない子育て☆』!
『自由からの逃走』の主題は、自由を欲する現代人が、なんらかの理由でその自由を抑圧された時、自らの自由を放棄し、権威に従属してしまう心理学的メカニズムと、その心理が巻き起こした社会的な現象(ナチズム)です。
この抑圧は、社会の有り様によって起こることもあるけれど、家庭という子供にとって始めての社会で親によってもたらされることもある、とのことです。ぎくっ。
家庭において親から子供になされる抑圧の例として、2つ「あぁ…これは気をつけないとな…」と思ったものがあったので、自戒を込めて紹介します。
子供の「好き」を伸ばそう☆
キラキラ風に表現するとこんな感じ。『自由からの逃走』221ページにある医学生の例が印象的です。
その医学生は自分の仕事に興味もあり、とくに不幸という認識はない。しかし、彼は医学書の内容をなかなか覚えることができず、成績も良くない。他の学課ではよい成績をおさめることができているのに。
ある日、見た夢をきっかけに、彼は、子供のころはずっと積み木が好きで、17歳の時に建築家になろうと父親に話したところ、次のように言われ、建築家になることを諦めたことを思います。
わざわざ引用したのは、父親の意見が思った以上に強制的ではないのが印象的だったから(医学生の記憶を元にした発言ではあるけれど)。これくらいのアドバイス…というか自分の意見は、うっかり行ってしまいそうです。
うちの子たちは、上の子はコアラに、下の子はネコになると言ってるので、当面は大丈夫(?)だと思いますが、今後の進路選択の折に、余計なことを言ってしまわないように肝に命じようと思います。
いやでも、もし電車好きの息子が「車掌さんになる」、と言い出したらどうしよう。将来、運転が自動化されて、面倒な乗客の対応が車掌さんの主務になったら、あんまり勧めたくはないよなぁ…。
いや、子供たちの方が、若くて柔軟な分、ちゃんと時流を読んで正しく判断できるはず、と思って押し黙ることが大切ですね!
というわけでフロム流子育て奥義その1!
子供の選んだ進路に何も言わない☆
意見もアドバイスも余計なことは言わない☆
(うぅ、自信ない…)
子供の「嫌」も認めてあげようね☆
子供の「好き」の感情は見ていて微笑ましいけれど、「嫌」という感情は心がザワつきますよね。『自由からの逃走』268ページから始まる子供の感情を抑圧してしまう例は、思い当たる節が多くて心がザワツキます。
要約すると、子供は成長に伴い自由を希求するようになると周りとの摩擦を感じる。それは否定的な感情を引き起こすが、子供ゆえにその理由は説明することができない。「理由のない」負の感情は大人によって、簡単に抑圧され、すぐに正しい人間と悪い人間を見分ける能力を失ってしまう。
一方で、子供は教育の過程で、他人を好きになること、無批判的に親しそうにすることといった、自分の感情でない感情を持つことを強要されてしまう。
うわー!!!
覚えありすぎ(涙)!!!
強要…したつもりはないけれど、子供の言う「◯◯さん嫌」という発言に、理由を求めたり、理由を聞いても「◯◯さんにも事情があるんだよ〜」とか、なぜか◯◯さんの肩を持ってしまったり…これは子供たちの感情の抑圧だったのでは!?
というわけでフロム流子育て奥義その2!
子供の「嫌い」に過剰反応しない!
そこで、この間、娘が「◯◯さん嫌い、いじわるしてくる」というので、いつもは「◯◯さんも本当は一緒に遊んで欲しいんじゃない?」みたいなことを言ってしまうところを
「それはムカつくね。もう殴っちゃえば?お母さん、小学校のころ、ムカつく男子に椅子投げてやったことあるよ☆先生にはめっちゃ怒られたけど(テヘペロ)!」(実話です)
と言ったところ、
「…うん、嫌だったら先生に言うよ…」
と娘にガチで引かれちゃいました(ガーン)。
フロム子育て、難しいですね!