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記事一覧
【現代短歌】向上心はないけど、生きてるから褒めて
時間っていつもいじわる幸せと感じる時だけ加速するから
鬼に怒られるときだけ地球儀を回して時をスキップさせたい
不適切にもほどがある父親を不適切にも尊敬してる
好きっていう気持ちいつまでも角が曲がれないわたしたちでいようよ
どんぐりコロコロどんぐり子沼男にハマって、ハマって、さあ大変
一歳の息子のもらってきた風邪がうつってこれも家族なんだな
今日もまた出逢ってしまったこの世界は天才バカり
【現代短歌】ローファイでいきましょ
冬は好き、夏は嫌いで秋も嫌い、春は好きだが見たことがない
さみしさを紛らわすために磨いたさみしさでできた顔と身体よ
生まれ変わったらしまうまのお尻みたいに間抜けになりたい
『loveless』を聴いて雨に降られたから5月10日はマイブラ記念日
色彩を欠いた惣菜コーナーに魔法が貼られたから見てしまう
こんなことから始まるのね恋っていつも私の死角に潜んでる
採れたてのスイカみたいに思い切り
【現代短歌】スメルズ・ライク・ティーン・スピリット
革命を起こしてやると息巻いたダサい私はかっこよかった
朝明けのきりりと澄んだ聴覚にラジオ体操第一の声
口喧嘩最強トーナメント決勝観覧席で泣いた子の勝ち
押し寄せる波が返っていくたびに私の記憶を持ち去っていく
それぞれの愛の重さが計れたら小柄な私はヘビーウェイト級
君写す時に限って僕の瞳(め)は300万のライカに勝る
生き方の見本と思っていた人が死んでしまったから死のうかな
棄てられた
【現代短歌】Marlboro
食べさしのお皿を渡す直前のきみの目線が何より愛しい
ああごめん、今のことばは忘れてと言われた時からあなたは他人
下積みを耐えたからこそ今がある、言った親父は浮気をしました
賢くてセンスが良くて楽しくて...だけどわたしを愛してくれない
恋愛に向いていないと決めつける人間に向いていないだけの僕
かわいいと言われて怒っていたはずのわたしの顔は敗北寸前
今よりもかわいくなりたいと願う女子の気
【現代短歌】群れたち(会社人)
袋から溢れかえったゴミたちが捨てた者より生き生きしてる
お昼明け上司の機嫌が直ってる今日も大谷が打ったみたいだ
首傾げスマホを肩と頬で持ち両手は何を抱えているの
今日もまた通勤列車で見かけた顔馴染みの全く知らない男
高熱でうなされている時に遠くからカネコアヤノの音が聞こえる
触ってみなよ心もね脳みそみたいにとんがってるよ
さんぽみち工事現場の歪んだ音にロックンロールの産声を聞く
あの