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夢は叶わないかもしれないから夢なんだ
「夢」とは叶えるための道のりが遠く険しいほど、それは「夢」なのだと思う。少しの努力や辛抱で達成できることならば、それは夢ではなく「目標」と呼ぶべきものだろう。
だが夢を叶えるために長い時間が必要なものや体力が必要な事は、若者にとっては「目標」であっても同じことが老人にとっては夢となる。
私が今の年齢で叶えたいことは、遅ればせながら70歳目前で挑戦をはじめたエンデュランス乗馬競技に関する事だ。競技への挑戦と言っても、ようやく馬に乗れるようになった初心者にちょっと毛が生えたようなレベルだから、正式な競技にエントリーできるようになるだけでもかなり高度な「目標」になってしまう。
乗馬のエンデュランス競技とは、一言で言えば、馬と共に完走を目指す長距離マラソンのようなものだ。馬に走ってもらうのだから、人が走るマラソンより楽なイメージを抱くかもしれないが、実は乗り手もかなり体力を消耗するスポーツなのである。
20kmレベルのトライアルに完走できるようになるだけでも、自分の年齢や経験と体力を考えたら、夢に近いのかもしれない。その先には、40kmクラス、80kmクラスと上のレベルの競技がある。そして最高峰のクラスは160kmのレースである。
その最高峰のレースの中でカリフォルニアで開催される"Western States 100 miles One Day Ride"(別名Tevis cup)の24時間以内の完走は、私の年齢を考えたら、世界最高峰であるエベレストの登頂に挑むようなものだ。
もし、このクラスのレース完走に本気で挑戦するなら、エンデュランスに適した種類の馬(アラブ種)の所有も必要になるし、サポートしてくれる経験値の高いチームも必要になる。更に世界レベルの160キロレースに挑戦するなら、技術的にも体力的にも少なくとも50歳台の水準までに体力を戻す必要があるだろう。
このレベルのレースへの挑戦となれば、私のような高齢者ライダーにとっては「叶えたい夢」ではなく、「叶わぬ夢」なのである。
乗馬を始めたスタートが遅かったことは、もう取り戻すことはできないので仕方ないが、せめて現在の体力が続く限り、少しでも長い距離のレースの完走に挑戦してみたいと「目標」を立てている。
そしていつか叶えたい「夢」は、いつかはカリフォルニアで行われるTevis cupの開催地に赴き、観戦と応援をすることだ。その空気感や情熱を若い世代のライダー達に伝え、このレースの完走に挑戦する若者の夢を応援できるようになりたいと思うのである。
仕事をリタイアしてから始めた乗馬だけど、エンデュランスレースへの挑戦を始めてから面白くなってきた気がする。無謀な夢かもしれないが、「人生100年」て数えたら、まだあと10年や20年はあるじゃないか?
夢ぐらい見たってバチは当たらないよね。
だって叶わないものに挑戦するのが夢でしょ?
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