読んだ本『私たちはどんな世界を生きているか』/西谷修/講談社現代新書

現代フランス思想を主とした哲学者による現代世界の記述。

特にこの200年ぐらいの流れの中で今の世界の流れを記述する。

なんか読んでいると絶望感も強くて暗くなっちゃう感じもしただけど、事実として二つの世界大戦を通して人類が獲得した自立、民主、平等という普遍的な価値、そしてその上に整備された法体系などが今後退しているということ。

それはテクノロジー経済の自律的な発展の中で政治が解体のような方向に進み、個々人は分断されて市場の「自由」に飲み込まれているということ。

その時に重要になるのが「自由というものを考え直すこと」という西谷さんの指摘はとてもしみた。

個々人の切り離された自由なんて存在しなくて、僕たちは僕たちの身体や他者や国家や歴史や様々な形で制約された新しい自由を考えなくてはいけない。

多くの人が民主主義に飽きてきちゃったような、政治のことに構ってもいられないようなそんな諦めのような空気が生まれている中でこうして粘りつよく考えることはせめて続けていきたいよね。

だって本当に当たり前の話だけど世界を構成しているのは僕たち個々人なんだから。

なんか右翼も左翼も保守もリベラルも攻撃的に発言するという意味では一緒で、それは現代社会のみんなの痛みの表現の一種なんだと思う。

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