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保護犬まりんとの出会い②

我が家の保護犬まりんとの出会いをエッセイ風に書いてみました。1匹でも多くの犬が良い里親さんと出会えますように。

▼前編はコチラ▼

保護犬エレンとの出会い

翌日、カフェの開店時間に合わせて奥さんがエレンに会いに行った。ブログに情報が挙がっていたエレンはまだカフェデビューしておらずクレートの中にいた。店に着くとスタッフさんがバックヤードに案内してくれてエレンと対面した。

はじめましてエレン

クレートから出てきたエレンは嬉しいんだか怖いんだかよく分からないような、ほふく前進のような歩き方で外に出てきた。頭を下げて姿勢低く歩きながら尻尾をブンブン振っていた。

保護された子は一旦鶴橋に来て獣医さんの健康診断を受けているようだった。エレンは歯と後ろ足が少し悪かった。

元々は繁殖犬だったらしい。ちゃんとお世話されていたのか、カフェで綺麗にしてもらったか分からないが毛がとてもキレイだった。そして人が好きだった。

奥さんは女の子を希望していた。私は4歳までの若く健康な子がよかった。エレンはそんな子に思えた。

パピヨンという犬種については私達はそれほど詳しく無かったが、頭が良く活発なイメージがあった。エレンは想像していたパピヨン像とは少し違う感じだった。おっとりさんに見えた。

エレンと会った奥さんは、お昼休みの私に連絡して来た。可愛くていい子だよ、どうする?

そして里親になる

カフェでは家庭に入ってのトライアル期間というのが無いので、カフェでの触れ合いでどうするか決める必要があった。エレンはまだカフェデビューしていないが、したらきっとすぐに飼い主が見つかる子だと思われた。

だとすれば自分じゃ無くても良いんじゃないか?と考えられる程、私は出来た人間ではなかった。
会いに行きたいし、娘にも会わせたい。

迎えるつもりでいるので、今日の夜、私と娘に会わせてもらえませんか?とカフェにお願いした。カフェも快く待ってくれた。

仕事を終えた私は慌てて家に帰り、家族全員でカフェに向かった。閉店まであと1時間も無かったが到着しエレンと対面した。穏やかで優しそうな本当に綺麗な子で、娘も嬉しそうに抱っこしていた。

抱っこしようとすると身をキューっと固める。怖いのかな?

この子の里親になるんだ…、責任は重いぞ、と自分に言い聞かせた。覚悟を決めるんだ。

エレン、うちの子にしたいです。カフェに申し出た。勿論カフェもすぐOKとしてくれる訳ではなく、そこから審査が始まった。

住んでいる家や家族構成、収入や自分達に何かあった時のバックアップ体制、去勢、避妊手術を必ず受けさせる事など…、その他いろいろ。

無事審査を通り、エレンを我が家に迎える事になった。これまでの生体管理費と寄付金を納めた。いよいよ犬との暮らしが始まる…、身が引き締まる思いとはこの事か…。

もう閉店の時間は回っていたが、スタッフさんが色々話をしてくれた。慌ただしくなるといけないので、実際のお迎えは翌日にする事になった。

カフェへ向かう時は高速道路で行ったが、帰りは下道にした。少しゆっくり帰りたかった。車の中で、エレンの話をした。名前はどうする?そのままにする?住むとこ整えないと、散歩はちゃんと連れて行かないといけないよ、などなど。

皆んな静かに高揚していた。

ラーメンでも食べて帰ろうか、これからは外食もしにくくなるからね…、とか言ったりなんかしながら…。

名前はまりん

お迎えの日は土曜日だった。
朝から部屋を作った。ケージにトイレにベッドに。連れて帰る時のクレートやリードとハーネス、ドッグフードはカフェで販売している物を購入していた。

名前は変える事にした。フィギュアスケートの本田真凜ちゃんから名前をもらって、『真凜(まりん)』にした。後に三姉妹になる事は、この時はまだ考えていなかった。

カフェに真凜を迎えに行った。
これからしばらくは家での様子をカフェに伝える事になった。確認の電話ももらえる様だった。

家族とまりんで記念写真を撮った。娘に抱っこされているまりんはブルブル震えていた。隣で見ていた常連さんっぽい男性が、震えとるやないか…とつぶやいた。

確かに時間をかけてお互いの信頼関係を築いた上で引き取った訳では無かったが、軽い気持ちで衝動的に行動していない事は自分で分かっていた。

ちゃんと幸せにします、と心に誓った。

我が家の犬のいる暮らしが始まった。
娘の誕生日はまだ数ヶ月先の5月の事だった。

あとがき

テレビ等で見る保護犬を迎える時のイメージと、我が家のケースは少し違っているかも知れません。

私は、保護活動される方々の様に本当に行き場のない子を助けた訳ではありません。きっと一瞬で里親さんが見つかる子を引き取っただけです。

にもかかわらず保護犬の里親になった自分を誇らしく思う気持ちを持っていたりします。この子は保護犬なんですって言いたかったりします。
少しは自分も、世の中の役に立ってるよな、って思いたかったりします。

少し恥ずかしいですが、これもひとつのリアルじゃないかなと思います。

保護犬の中には、まりんの様に里親がすぐに見つかる様な、若く健康な犬達も沢山います。

その子達の里親になる事で、また1匹新しい子が保護されると考える事も出来ます。

出来るだけたくさんの子が、いい里親さんと巡り合います様に。

私自身できる事は小さいですが、まずは出会った子をちゃんと幸せに出来る様に頑張ろうと思います。

おわり

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