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「ブスは採りません」は、アナウンサーに限らず・・・

露木さんまで叩かれ出した

フジテレビのアナウンス部長まで務めた露木茂さん。「ブスは採りません」とは、20年ほど前の法政大学の講義「編集学」にて同氏が発言したものだという。→日刊ゲンダイの元記事

記事によると、女子大生から「テレビ局にはコネ入社はあるのか?」という質問に対して、
「テレビ局だけでなく、どの企業にも多少なりともコネ入社があることは否定しません。ですが、アナウンサーだけは別です」と言ってから、表題の発言になったという。

公開ではない場で、かつ(おそらく)すでにフジテレビを辞めていた同氏が、あくまで現実を覚悟してくれ・・・との意図で発したものと思われるが、この期に及んでは、いくらでも悪い方に解釈されてしまう。いわゆる「切り取り」の類だ。

アナウンサーに憎まれ役や冷たい役は要らない

最近のラジオ番組(2024年)での露木氏による話を、私なりに要約すると以下の通りだ。
『顔立ちだけを見ているわけではない。話す魅力をみているわけで、視聴者が和んだり嬉しくなってくれれば一番。女優の妹さんで美しい方が受験してきたが落としたことがある。芝居ならいろんな役が出来るのというのもあるが、アナウンサーには憎まれ役や冷たい役はいらない。暖かくて親しみがあって、願わくば説得力があって、そういう人を探している。』

このラジオはネット上で聞けるから、ご興味のある方は確認して欲しい。
私の切り取りなんかに左右されたくない方も是非お聞きいただきたい。1980年代前後におけるアナウンサー採用の様子も語られている。
長野智子のテレビなラジオ (要約した発言は10分35秒ぐらいから)

同番組の別のところで、アナウンサーは「職人」であるとも話されていて、好感をもったものだ。どんな出来事であれ、話し伝える職人という。露木氏自身も、日航機墜落事件で生存者が確認された際、用意された原稿を捨て、変わりゆく現場映像を見ての実況を続けた伝説の職人である。
ただし、今回の騒動に露木氏が全くの無関係かと言われればそうでもないだろう。2002年にフジテレビを離れてはいるが、元アナウンス部長かつ役員待遇だったわけで、良くも悪しくも、同社の体質に何らかの影響を残しているはずだ。

そりゃ営業部員はアナウンサーに期待するでしょう。

テレビ局にはスポット広告という、他社との比較材料がない難しい売り物がある。どの番組でCMを出すかを決めずに売る枠のことで、強いて言えば全日視聴率が比較材料になるかもしれないが、どの時間帯で流すを特定しない契約である以上、意味がない。
テレビ局からすれば、特定のコンテンツと紐づけない、つまり経費が発生しない売上げだから純利益となるわけで、売れれば売れるほど嬉しい。

そういう仕組みだから、接待合戦になりやすいという。
かつて準キー局でスポット広告部長をお務めだった方によると、○○大学ラグビー部出身などの社員が役に立ったとのお話だ。高学歴者ほど学閥に弱く、後輩の押しに弱かったりする。
とはいえ、学閥を気にするのは、旧帝大とか関東関西の有名私学ぐらいだろう。常に信頼できるのは、話す「職人」であるアナウンサーだ。営業畑としては是非とも応援してほしいはずだ。

元フジテレビアナウンサーの長谷川豊氏の投稿でも、接待の応援に出たことに触れていたはずだが、さすがに削除したか・・(おそらく、悪意の切り取りへの対策だろう
他の投稿も参考になるので、一読されるといいかもです。(彼は、たまたま私の後輩である・・・うーん)

中居正広事件がさらに悲しいのは、営業の接待ではないこと

前段のスポット広告なら、自分を含む全社員の食い扶持を確保するためにも~と、アナウンサーたちが進んで応援に出る姿は想像しやすい。
だが、中居正広氏はテレビ局から報酬をもらう側であって、本来は営業を受ける側ではない。
ありえるとすれば、キャスティングの確保のための接待だろう。『だったらネットの番組に出る』『ファンクラブの収入で十分』と言われかねない現状も重ねてみると、よほどテレビ業界も弱ってしまったのだろう。

いまやテレビ広告費は、ネット広告費の半分程度。
2010年ぐらいまでのテレビ局なら資金も権威も豊富で、タレント相手に接待などしなくて済んだはずだ。今回の事件は、企業間接待でなくなったリスクが露骨に出たのだろう。2023 日本の広告費(電通)

タレントそれも中居正広ほどの大物になると、組織に制約される恐れは少ないから、接待に出てきた相手を無理な行為に巻き込みやすい。個人の道徳観で動いてしまう。
逆に接待するのは、アナウンサーであろうがサラリーマンでしかない。会社が守らねば、ただの弱い存在だ。なにより、上司の命令を断る覚悟のあるサラリーマンがどれだけいるだろうか。

結局は上司、最終的には経営者の責任である。長らくフジテレビ、フジメディアHDの頂点にある日枝久氏に目が及ぶのは当然の成り行きだ。日枝氏は中居正広と比べ物にならない大物。是非とも相当の応報があってほしい。

公務員でも?

どことは言わないが、政令指定都市の職員には、性別を問わず顔立ちの整った方が多いように思う。あくまで私個人の判断にすぎないが、この印象は何年経っても揺るがない。
容姿まで考慮できるほどに、志願者が多いと考えられる。
政令市は、都道府県と同じような権限でやれる業務が多いのに、都道府県とは違って「基礎自治体」の扱いだから、市民直接の現場仕事もできる。中核市や一般市、町村にくらべて予算の規模も都市の規模も大きいという点でやりがいが出る。なにより、いわゆる国家公務員キャリアのような激務もなく、収入も安定している・・・

となれば政令市は、キー局のアナウンサー同様に人気の就職先であるから、能力やその他の印象に差が無ければ、容姿で選んでしまうケースは多々あっただろうと、想像がつく。
それも、20~30年前から、国家公務員のキャリア採用国家公務員Ⅰ種(現・総合職)に受かっていても、政令市を選ぶケースが出てきていた。ある省(いや全ての省庁)では法律(いや憲法)上逃れられない徹夜に及ぶ激務があったり、ある省では残業は月に20時間まで、部署によっては出張手当は年1回までとも聞く。
国家キャリアよりも政令市。私が知っているだけで、それも同世代で2例もあるぐらいだから、他にも結構いるのではないだろうか。新聞・テレビよりもネット業界に行きます!と同様に・・・(私の場合は、前者の採用試験にことごとく落ちただけですが・汗)

あくまで推測でしかないが、政令市に限らず人気の就職先の多くは、容姿も採用基準に入ってしまうケースはあるだろう。明文化されずとも、どちらかで悩んだ時に、「話しやすさ」「地元出身」と同じように「容姿」も考慮に入れてしまうことを、止めろとは言い難い。
ただし、容姿だけで選んでいるような企業や団体は、早々に滅びゆくだろうから、いわゆる「ブス」を採っていなさそうな所と取引するなら、よくよく検討を重ねたほうが良い。

ある程度は正直に、時代に合わせた表現で

最近になってからも、容姿も採用の考慮に入れていたと明言している露木さんは、実に清々しい。ただ隠すだけに終始しているよりいい。先述のラジオ番組では、表現を穏健にしつつも当時の考え方をそのまま話されている印象を受けた。

題名にした「ブスは採りません」は、就職難の当時のことだから「(採用時点から理不尽な面もあるから)無理にテレビ業界なんか目指すなよ」的な意味も込めていたかもしれない。それを20年を経た現在の価値観で切って捨てるのはどうかと思う。
なにより、露木氏は2002年にフジテレビを後にしている。以降も当時の考え方を引きずっているというなら、その後も同社にいた経営者や従業者の問題の方が大きい。日枝久氏のように、1988年の社長就任以来30年以上も実権を握り続け、今も持株会社の取締役相談役というなら、強く責められてしかるべしだが・・・

時代背景は常に変わっている、結局は今どうするかでしかない。
フジテレビに限らずTBSや他の放送業界も、そして私を含む全ての人々が、変わりゆく人々の感情に対応し続ける必要があり、言動の変容に迫られている。

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SDGs的なことを書いていると思いきや、情報社会関連、大学でも教えているボランティア活動などを書き連ねます。斜め視点な政治経済文化評論も書…

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