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サンタの居場所
『サンタなんかおらへんで』
『サンタは絶対おるよ!』
小学生の高学年ぐらいになると、いる派といない派に分かれた時にこう言った会話が交わされることがいつの時代もあるかと思います。
かく言う私も、このような会話をした子供の1人でした。
では当時小学生だった私はどちらかと言うと…
いない派でした。
ませていますか?
いやいや、それは違います。
私のところには本当にサンタが来たことがなかったからです。
私の家は特にとても貧乏という訳では無かったのですが、多分父は若干子供に興味がなく、そして多分母は若干イベントゴトに興味がなかったのだと思います。
だからといって勿論クリスマスプレゼントが無かった訳ではありませんでした。
クリスマスはいつも母がオルゴールをプレゼントしてくれました。毎年可愛いオルゴールを貰えるのがとても楽しみだった事を今でも良く覚えています。
ですので、サンタが来ないことに少し寂しさを覚えながらも、幼少期はクリスマスをそれなりに楽しんでいた記憶があります。
そして、小学4.5年生の頃です。その日はクリスマスイブでした。
丁度友人とクリスマスの話題になったところで、先程と同じ会話をしたことがありました。
友人は毎年サンタさんに貰ったプレゼントを嬉しくて自慢したんですね。
『私、毎年サンタさんからちゃんとプレゼント届くねん』
『え?サンタはおらんよ』
『えっ!サンタは絶対おるよ!』
『おらんよ、サンタは親やで』
『何言うてるん!サンタは親違う!ちゃんとおるもん!!』
と、こう言う会話になりました。
小学生らしい会話ですね。ここで普通は仲違いして終わりなんですけど、実はこの会話にはまだ続きがありました。
『いや、親やって。うちに来たことないし』
『親違うわ!サンタさんは絶対おるねんて!今までサンタさんがくれたプレゼントの包み紙、私全部大事に持ってるし!それに、サンタさんがくれた手紙も大事に持ってるもん!』
と、友人が自分が手に入れた物証を持ち出して、サンタ実在説をゴリ押してきたのです。
実は私はその時、友人のその言葉を聞いてとてもショックを受けました。
何がショックかというと、親が子供にサンタをしっかり信じさせるために手紙まで書いてあげていたことがショックだったのです。
いやいや、親がそんな手紙を書くはずはない。(うちの親は絶対やらん)
て、手紙って…この剣幕は実はやはりサンタは本当におるのか?
と私は素直に思った次第でした。
まぁ小学生ですから。
私は一言『そうかぁ』と気の抜けたような返事を友人にしてこの会話を終わらせました。
そして、鼻息も荒く勝った!と勝利を確信した友人にさよならをして早々に家に帰宅しました。
さて、時はクリスマスイブです。
サンタが手紙をくれる?
まさかな…。
でも、本当は私が今までサンタに手紙を書いて出さなかったからサンタは来なかったんやろうか?
悶々とした気持ちで、私はサンタに手紙をしたためました。来るはずはないと99.9%予想していました。ですが0.1%の可能性に賭けてみたくなったのです。
『サンタさんへ。いい子にしてました。私にもプレゼントください。お願いします。』
このような内容の手紙を書いたと思います。
ワクワクして寝ました。いないと思っていたサンタがいるかもしれないって嬉しいですよね。
そして、ドキドキして迎えたクリスマス当日の朝です。
結果はお見通しだと思いますが、本当にもう笑ってしまうぐらいサンタは来ませんでした。
枕元にプレゼントもなく、勿論手紙の返事もなく、そして手紙を持ち帰った形勢さえありませんでした。
サンタがいるかもしれない0.1%の奇跡は起きなかったのです。
そこにはただ、朝日に照らされた私の手紙が誰にも読まれることもなく寝る前と同じ場所に置かれていました。
私はその光景を見て、ポツリと呟きました。
『ほらな…やっぱりサンタはおらんやん』
そして、今でもあの日の友人との会話からその出来事までの事を忘れたことがありません。
そして、今私は親になって毎年クリスマスを迎えます。
長男のはじめてのクリスマス。
私は長男に実在しないサンタという架空の人物を信じさせるか、信じさせまいか…。
とても迷いました。長男がサンタを信じ込んで、実はいなかった時の落胆ぶりを見たくなかったからです。
でも、小学生の時のあの友人との一連の会話や出来事を思い出し、私は結局我が家にサンタを呼びました。
息子はサンタがいない事、一度は落胆しても、きっと将来サンタがいてくれたことを素直にいい思い出にしてくれるよな。と思うからです。
サンタはいい子にしていて、サンタを信じている子にやってくるんだよ。
と、大人は簡単に言いますが、肝心の大人の心の中にサンタがいないと、いくら子供が信じていても当たり前ですがサンタがやってくる訳がありませんよね。
サンタは大人と子供の両方の心の中にいて、初めて成立する希少な人物なんですね。
私は息子にサンタとしてプレゼントを枕元に置くたびに、あの日の幼かった私にもプレゼントを置いてあげている気持ちになります。
さて、気が早いかもしれませんが、もう少ししたらクリスマスですね。
貴方の心の中にサンタはいますか?
勿論、サンタがいるかいないかは個人の自由です。
サンタがいてもいなくても、皆さま今年も楽しいクリスマスを!
追記
私は人の愛情のかけ方は色々あると思っています。この話を読み絶対サンタが必要であるや、絶対サンタは必要ではない。という考え方は基本一人一人の価値観の問題にすぎない思っています。
サンタがいないことを親子で分かっていて、そのままプレゼントを渡すのもいい思い出だと思います。
ですので、私のサンタを話を読んだところで『ふーん、そんな考え方の人もいるのか』程度に考えて下さい。所詮は一人の小さな子供だった私の狭い考えですので。