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放課後、魔法少女V

第一話「笑顔が一番!」

私、マキ!髪が紫なのがちょっとコンプレックスだけど、その他は特に特徴のない普通の女の子。ある日、不思議な夢を見たの。それは、なんと私が魔法少女になってる夢。まぁただの夢かな?って思ってたら、なんとなんやかんやあって本当に魔法少女になっちゃったの!?正体を隠しながら、悪の魔法使いに操れた町の人を助けて回る日々。大変だけど、頑張ってます!そんな私に、最近仲間が出来たんだ。ほづみに、ウメコさん。今日は、そんな忙しい魔法少女の日常をちょこっと見せちゃいます!


「マキ、お疲れ様!!」
この子は、ほづみ。元気で明るくて、スポーツ万能。いろんなクラブに出入りしているスポーツ少女。思ったことをハッキリ言って、トラブルを起こしちゃうのがたまにキズなんだ。勉強も出来ちゃうんだよ!すごいよね!
「・・マキ、このあとは予定あるのかしら?」
こっちのちょっと大人ぽくて、クールな女の子はウメコさん。私達(マキ、ほづみ)より一つ年上なんだ。クールで頭が切れてどんな状況でも落ち着いているんだ。背も高くて、スタイルも良くて学校中のマドンナ。私も憧れてるんだ。
「いえ、ないですけど?」
「なら、決まりだな!」
「・・そうね、行きましょうか」
正直、私二人に比べたら全然普通でちょっと申し訳ない気分。魔法少女としては、頑張らなきゃって思ってるんだけど・・。なかなかうまくいかない日々。そんな時に二人からのお誘い。もしかして、私クビにされちゃうのかな?心配だなぁ。


心配しながら、楽しそうに歩く二人について行くとそこは、薔薇の花が、香る花園だった。
「うわ~、きれい~」
「ふふっ、いい場所でしょ。ここ」
「はい、なんかとってもメルヘンって感じで、まるで童話の世界みたいです」
「気に入ってもらえてよかったわ」
ウメコさんが、ふふっと笑う。周りの薔薇のせいか、まるでお姫様みたいに見える。
「顔、赤いぞ。大丈夫か?」
ちょっとうっとりしてしまっていたみたいで、ほづみにからかわれてしまった。
「だ、だ、大丈夫!!そ、それよりここは?勝手に入っていいの?」
「大丈夫!なぜなら、俺のバラ園だからな!!」
俺の?うん?ウメコさんの薔薇園じゃないの?
「あら、勘違いさせてしまったかしら?ここ、ほづみのバラ園なのよ」
「あんま、周りには言ってなかったんだけどな。実は、俺。お嬢様なんだ・・・」
「お、お嬢様!?」
元気で明るくて、いつもスポーティーなほづみのドレス姿?あんまり、思い浮かばないなぁ。
「似合わないから、みんなには秘密な」
「う、うん」
なにか他にあるような、とにかく絶対誰にも言って欲しくないような、契約書に判子を押させられたような気分になってしまった。まぁ、秘密ならたくさん抱えているから一つ増えたって大丈夫だよね。それよりも、ますます私普通過ぎて二人に釣りあっているのか、心配になってきたよ。
「お嬢様、お茶とお菓子のご用意が出来ました。」
三人で、しばらくバラ園を歩いていると奥から初老の執事ぽい男性がやって来た。ほんと、絵本の世界にいるみたい。
「ありがとう、後は任せてくれないか?」
「かしこまりました。では、ごゆっくり」
執事さんは、一礼して入口の方へと歩いて行った。
「はぁ~。あんな、執事って執事さんいるんだね」
思わず、声に出してしまった。どうしよう、二人に変に思われたかな?
「そうね、素敵よね」
「そうか?いかにもな執事って感じでつまんなくないか?」
大丈夫だったみたい。よかった。奥からは、甘い香りと暖かな空気が流れてきた。本当に、絵本の世界みたいでちょっと酔ってしまいそう。三人で、クッキーと紅茶の置いてあるテーブルを囲む。ほづみも似合わないなんて言ってたけど、やっぱり本物のお嬢様だからか、とっても絵になっていた。もしかしたら、今この場にもっとも合わないのは私かもしれない。
「マキ?そんな緊張しなくてもいいんだぜ。俺らの他に誰もいないんだからさ」
「う、うん・・・」
魔法少女になってる私が言うのも、変だけどなんかこのバラ園すべてが絵本の世界みたいで、なんだか頭が追い付かないよ!!
「あら、失敗しちゃったかしら?」
ウメコさんは、そう言うと私の顔に自分の顔を近づけてじっと見た。周りの薔薇なんか霞むほどの圧倒的な美が、目の前にあって思わず口をぽかんと空けてしまっていた。
「うふふ、えい!」
「もがっ!!」
口にクッキーを入れられた。
「ぷはは、マキやられたな!」
「もふぅ、ウフェコさん!」
「うふふ、やっと笑ってくれたわね」
そういえば、私最近みんなに追いつくのに精一杯で笑ってなかったかも。もしかして、恐い顔になってた?
「やっぱり、あなたには笑顔が一番よ、マキ」
ウメコさんが、自分のほっぺを摘まんで笑顔をつくる。
「あの、私・・・」
「マキは気にしすぎなんだよ。俺ら仲間なんだからさ、足りないところはお互い補っていこうぜ!」
「そうよ、このバラ園の薔薇と同じ。同じように見えて色んな薔薇が支えあって生きている。もしかしたら、マキからは私は完璧に見えているかもしれないけど、そんな事はないわ」
そういえば、私周りの雰囲気に流されてちゃんと薔薇を見ていなかった。確かに、赤、黄色、ピンク。様々な色の薔薇が咲き誇っていた。
「だな!俺なんかしょっちゅうお嬢様らしくしなさい!って怒られてんぞ」
「私も、よく遅刻して怒られているわ」
「ほづみ、ウメコさん・・・」
私、全然周りが見えていなかった。二人だって完璧じゃない、誰だって完璧にはなれない。この薔薇達のように、支えあってみんなで完璧になればいいじゃないか。
「と、言うわけで。今日は、苦手暴露大会な!」
「えー、やだよー」
「私は、もうないから降りるわね」
「いや、ウメコはなー」
ちゃんとお礼は言わなかったけど、やっぱり私達。なんだかんだで、いいチームなのかもしれないって思えた。ありがとう、ほづみ、ウメコさん!

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