『泣く大人』−大人になってわかること−
はじめに 10代から20代始めにかけて、私は江國香織さんの作品をむさぼるように読んでいた。個人的に江國さんの代表作だと思っている『冷静と情熱のあいだ rosso』は、内容を空で言えるくらいだし、映画も何度も観たし、なんだったら小説の舞台であるイタリアにも行った。映画のサントラを聴きながらフィレンツェの街を歩き回った経験があるくらい筋金入りのファンだ。
でも今日紹介するのは、江國さんの小説ではなくてエッセイ。私は江國さんの小説もエッセイも同じくらいすきだ。特にエッセイは書き手