ボードゲーム「バリバリわんわん!」 のルール上の悩みを「ニカイドウレンジのゲームデザイン相談室」で聞いてみたら1発で解決してスゲー!ってなった話
はじめに
2024年春のゲームマーケットでデビュー作「バリバリわんわん!」を発表した際、ルールについて長らく悩んでいたことがありました。そこで思い切って、『ニカイドウレンジのゲームデザイン相談室』に相談してみることにしました。
正直なところ、自分の中ではほぼ解決策が見えており、
「これ以上の改善策は出ないだろう」
と思っていました。
しかし、相談すること自体が宣伝にもなるだろうと考えたのです。
私はボードゲーム業界ではまだ駆け出しですが、この5年間で500以上のボードゲームを経験しており、一般的にはかなり詳しい方だと思います。
一方で、ニカイドウレンジ氏はデジタルゲームを専門としており、noteでも「ボードゲームはあまり得意ではない」と明言されています。
この問題については、自分や他のボードゲーム制作者とも既に何度も相談し、時間をかけて考えてきました。そのため、ニカイドウ氏がいくら「面白さが視える」能力を持っているとはいえ、ボードゲームに関しては門外漢の彼から、より良い解決策が出てくるとは正直思っていませんでした。
ところが、驚くべきことに、たった1、2日触れただけで、ニカイドウ氏から「相談可能な状態になった」
と連絡を受けました。
「本当に?そんなことがあり得るの?」
と半信半疑でしたが、いざ相談の日を迎えてみると、驚愕の解決策が提示されたのです。
「たったそれだけ?それだけの変更でここまで変わるの?」
と、感嘆せずにはいられませんでした。
バリバリわんわん!とは
ゲムマ春2024デビュー作
当日に100部完売!(つよつよな方のプッシュが大きいですが)、
その後も通販で数百部販売済み
ほらボド「勝手にランキング」1位!(1時間6分12秒辺りから)
かんたんルールで奥深く、
ルールからは想像もできない面白さです!
ゲムマ 「バリバリわんわん!」詳細ページ
実際のプレイ風景と駆け引きは
この動画を観ればわかると思います。
ニカイドウ氏に相談した内容
①上の方に宝を置く問題
これが最大の悩みですが、既に解決案も検討済みです。
のざくに流動場振り返り その2 「上の方に宝を置いて興醒め問題」はどうすればよかったのか? 改善ルール案等
上記noteの「追加ルール案A」を更に改良したルールとして、
追加ルール案A改:
・ほりほりした順に左から並べる
・ポイ捨てはスコアカードの下ではなく裏向きのまま並べる
・5枚目に表向けたカードは×2の得点(うんこなら-2点)
これらの是非について
②2ラウンド合計得点の是非
元々、SKULLというボドゲ同様、2本先取(トップが1本)の予定だった。
3R目でお腹いっぱいになって打ち切りを提案するプレイヤーが多かった。
2R強制にして合計点は0~4点の範囲にしかならないようにした。
これはマイナス点を無くして点差を抑え、逆転可能性を上げる為。
これらの是非について(こっちはそれほど悩んでいません)
ご提案頂いた解決策
①上の方に宝を置く問題
驚愕の提案:「5枚埋めて4枚掘る」
ニカイドウレンジ氏から提示された解決策は、実にシンプルで驚くべきものでした。
提案の内容は、
「5枚埋めて5枚掘る」→「5枚埋めて4枚掘る」
に変更するというものです。
掘る枚数を1枚減らしただけで、私がnoteに書いていたB案と組み合わせることで、後で掘るほど得点倍率が上がるルールと相まって、多くの問題が解決しました。
微調整の効果
「この微調整の提案が、本当に解決策なのか?」
と疑いましたが、結果的には以下の問題点を解消しました。
・消化試合感の解消
このゲームでは、掘ったカードを公開することが前提なので(「ポイ捨て」を除く)、カウンティングが簡単にできてしまい、宝物がすべて公開されると、ゲームがただの消化試合になりがちでした。掘る枚数を4枚に減らすことで、未公開のカードが残り、完全なカウンティングができなくなり、緊張感が続くようになります。
・うめうめフェイズ戦略性の深化
掘る枚数が減ったことで、「掘り尽くせない可能性」が生まれました。これにより、宝物を深く埋めるリスクが増し、逆にあまりにも積極的に掘りに行くと、宝物の場所がバレるリスクも生まれます。この駆け引きが、ゲームの戦略性を一層深めました。
・掘り起こす方向性による駆け引きの発生
元々、このゲームでは「どこに宝物があるのか?」をめぐる心理戦を「掘ろうとしている箇所」で推理する駆け引きを意図していましたが、
それが実際のプレイではうまく機能していませんでした。
結局、最終的には全部掘り尽くしてしまうので、その読みの意味が薄かったのです。
しかし、この新しいルールにより、掘り尽くせない可能性と積極的に掘りに行く動機が生まれ、プレイヤー同士が宝物を探り合う駆け引きが自然と生まれるようになりました。
・ゲームスピードの向上
掘る枚数が減ったことで、1ターン分が短縮され、ゲーム全体のスピードが上がります。これにより、終盤の消化試合感を避け、最後まで楽しめるゲーム展開を実現しました。
このように、たった一つのルール変更が、ゲーム全体に大きな影響を与え、より深い戦略性と楽しさを生み出す結果となりました。
②2ラウンド合計得点の是非
手札の数をラウンドごとに変化させる新ルール
このアイデアは、相談室で話しながら私が思いついたものです。ラウンドごとに手札の数を変え(宝、ウンコ、空っぽの3種必須)、次のようにゲームを進行させます。
1ラウンド目: 3枚埋め、2枚掘り
2ラウンド目: 4枚埋め、3枚掘り
3ラウンド目: 5枚埋め、4枚掘り
合計得点を3ラウンド分のスコアで競い、合計得点は0未満にならないようにします。このルールの意図は以下の通りです。
チュートリアル効果: 最初のラウンドを短めに設定することで、プレイヤーにゲームの勝ち方や考え方を理解してもらう。
逆転のチャンスを増やす: ラウンドが進むごとに手札枚数が増え、高得点を狙えるチャンスが広がる。
例えば、1ラウンド目でゲームに不慣れなプレイヤーが失敗しても、マイナス点にはなりません。最大でも1×1 + 1×2 = 3点と低く抑えられます。2ラウンド目以降は得点の獲得率が上がる一方で、減点のリスクも増し、逆転の可能性が高まります。
既存のスコアカードではこの新ルールに対応しきれないかもしれませんが、その場合はゲームコインを用意するか、紙に記録して対応すれば問題は解決できます。
新ルール案(暫定)
一旦、新ルールをまとめます。
ラウンドごとに手札の数を変更(宝、ウンコ、空っぽの3種は必須)
掘り掘りするカードは「そのラウンドの手札枚数-1枚」
1ラウンド目: 3枚埋め、2枚掘り
2ラウンド目: 4枚埋め、3枚掘り
3ラウンド目: 5枚埋め、4枚掘り
掘り掘りしたカードは左詰めで取った順に並べる
「ポイ捨て」はスコアカードの下ではなく裏向きのまま同様に並べる
左から×1点、×2点、×3点、×4点と得点が上がる(ウンコのマイナスも)
3ラウンドの合計得点の高いプレイヤーの勝ち
※(ほりほりフェイズで改めてスタPを決め直す)(要検討)
1番負けているひと(複数居ればジャンケン)が次ラウンドのスタPを指名
※ほりほりフェイズで改めてスタPを決め直す案について
うめうめフェイズがガチゲー過ぎる(特に2人対戦)ので、それを緩和する方法としてご提案頂きました。ただ、相談後にテストプレイ(4,5人対戦)をしてみたらメリットよりも面倒くささのデメリットの方が勝ったので、導入を保留中です。
終わりに
ニカイドウレンジさんは、ボードゲームに限らず「面白さ」に関する相談ならピカイチです。ぜひオススメします。
そもそも
もうリリースしてしまったので、この新ルール案を発表するのは微妙です。
(リリース済み作品の修正ルールをわざわざ調べて遊ぶプレイヤーは居ない)
今後、リニューアルして再パッケージして販売するなら或いは……
余談
今作っている新作ゲーム「バリバリぶんぶん!(仮称)」(デジタル)
は、頭がどうにかなりそうなほど面白い対戦ゲームです。
プレイ中の盛り上がりがすごすぎて、隣の部屋からクレームが入るほどの驚異的な面白さを誇ります。
「バリバリわんわん!」の10倍(当社比)盛り上がる神ゲーです。
このゲームは、10月26日に開催予定の「神戸ゲームラビリンス」でお披露目できるかもしれません。
なお、このゲームについても軽く相談しましたが、詳しくは別の記事でお伝えします。
追記
この後のニカイドウ氏や自分のポストをtogetterにまとめました。
ボードゲーム「バリバリわんわん!」のルール上の悩みを「 ニカイドウレンジのゲームデザイン相談室」で聞いてみたら1発で解決してスゲーってなった話まとめ