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Photo by
soeji
蹴り上げる女。
ある日また彼は知人と飲みに行くから仕事終わりに来てと言ってきた。
日曜日の仕事終わりは美容師にとって最も疲労の溜まった時間である。
しかし、私は彼にいい顔をさせてあげないとと思い、陽キャを演じるためビールを3杯引っ掛けて行った。
彼と彼の周りの人は昼から飲んでてすでに仕上がっていた。
私は少しイライラした。
だが仕事で鍛えたスキルが私にはある。
おもしろくなくても笑うし、すごくなくてもすごいと言った。
そして帰りだ。
彼ととぼとぼ歩いている時、彼は少しむすっとしていた。
おそらく酔った私が嫌いだからなんだろうが呼んだのはこいつだ。
毎回毎回、呼んでは小間使いみたいな事をさせるのにお礼すら言わない。
そして傲慢だ。
だんだんお酒と共に私もイライラが回ってた。
そんな酔うなら飲むなよ。
その一言にプツンときた。
その瞬間
私は歩く彼を蹴りとばした。
彼はまさか私が蹴り飛ばすなんて思わなかっただろう。
蹴るのやめてぇぇ!!
さっきまで知人の前で偉そうにしていた男の情けない台詞である。
そう。薄々勘づいていたが、彼は人前では大きく自分を見せているが、裏を返せばただのプライドの塊の陰キャだ。
突発的な台詞ほど人柄がでる。
私の統計学上、飲食店の男とは大概プライドが高い。
しかもプライドだけが一丁前で、収入、行動、言動が伴わないパターンが多い。
彼もまたその1人だ。
今思えば、パティシエの勉強の為フランスに留学してたとか、今の焼肉屋という人生に全く繋がってない。
過去に縋ることほど愚かなことはない。
私が絶対にしない事の一つだ。
私は被りまくっていた皮をぶち破りまくった。