読書感想文『日本のフェミニズム 性の戦い編』
『日本のフェミニズム 性の戦い編』
日本フェミニズムの歴史が知りたいと思い手に取った本。
読む人は選ぶはず。冒頭で心折れる人は少なからずいるはずで、わたしは難易度の高い本だと思う。誰にも勧める本ではない。
7人の論考、4人のコラム、2人のエッセイ、ブックガイド。そして1人のインタビューで構成されている。
谷口真由美氏のリプロ運動の項、金子文子のことばを引用した大橋由香子氏のコラムなど、読むべきところは多く非常に勉強になる。
特に刑法212条、中絶に懲役刑が科せられる「堕胎罪」がまだ存在している事実に驚いた。わたし自身が当事者なわけだが知らなかった。これは優生保護法により特例的に刑事罰を回避しているだけで、1972年の改定案により日本も中絶が刑事罰になる可能性があったが、ウーマンリブ運動や「青い芝の会」の反対運動があったことも知った。(現在は「母体保護法」という名称)
自身の事なのに知らないことが多く、その意味で非常にためになった。主張の異なる著作者をアサインし、日本フェミニズムの歴史を多面的に見ることのできる貴重な読書体験だったと思う。