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1,080円の贅沢

「食」は体験だと改めて感じる出来事がありました。

それはあるお休みの日のこと。
半蔵門に行く用事があると言った恋人が「帰り、食べたがってた海苔弁買ってこようか?」と声を掛けてくれました。

そうなんです。ハライチの岩井さんが、ジェーン・スーさんのラジオ『生活は踊る』にゲスト出演していた際に紹介していた『いちのや』の海苔弁をわたしは食べてみたかったのです。

正直、普段から海苔弁を好んでいる訳ではありません。むしろ自分では作らないし、そもそもお弁当屋さんで買うこともほとんど無いです。海苔弁のイメージといえば、お弁当屋さんで大抵いちばん安いお弁当だということ。ほっともっとで330円、オリジン弁当で320円。海苔弁+ペットボトルの飲み物を買ってもワンコイン出してお釣りがきます。

一方『いちのや』は海苔弁専門店。タイトルにも書いてある通り、スタンダードなもので1080円します。海苔弁界からしたら高価ですよね。だって他のお弁当屋さんで海苔弁が3つも買えちゃうお値段なんですから。

買ってきてくれるということで、その日のわたしの頭の中は海苔弁で埋め尽くされていました。「今夜はいちのやが食べられる!」とルンルンです。

ガチャリ。鍵の開く音がして玄関まで飛んで行きます。
彼の手にはもちろん、いちのやの海苔弁!

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待ってました!よく来たね!いらっしゃい!
思いつく限りの歓迎の言葉を海苔弁に、恋人へは感謝を伝え、いざ開封。

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わ〜〜〜〜〜〜〜!!!
え、なに、芸術?視界から飛び込んでくる数々の「美味しそう」に思わず目を細めてしまいます。ラジオでも聴いていた通り、開けた蓋の内側にお品書きが書いてあるのが格好良い。お米に「忘れられない余韻」なんて書いてあるよ。素敵。

右から4番目に「玉子」と書いてあります。底から海苔→ご飯→鰹節→海苔、と海苔サンド状態になっているのですが、中央・お魚の下あたり、海苔とご飯の間に味玉が隠されているんです。ラジオを聴いて知っていたものの、食べ進めて味玉を見つけた時の「出会った感」はたまりませんでした。大興奮です。

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ほとんど海苔が見えない海苔弁。おかずのひとつひとつが美味しくて、一口食べるたびに「美味しい」と呟きながら食べました。濃いめの味付けの味噌だれで焼かれた鳥もも肉はご飯が進むし、きんぴら牛蒡の歯応えに身体が冴え渡るし、野沢菜はホッと安心できるし、お魚はふっくら幸せを感じるし。

そして何よりちくわの磯辺揚げ!わたしの大好物のひとつです。お弁当の横幅いっぱいに入った磯辺揚げが本当に美味しい。「海が際立つ」って書いてありますが、こんなにも海苔の風味豊かな磯辺揚げは初めて食べました。噛み締めるとじゅわりと風味が口の中に広がるのです。ああ、思い返してまた食べたくなってきちゃった。


食べたいなあ、いつ食べよう、からワクワクして。
実際に食べられることが決まった段階から嬉しくて。
食べて、身体も心もすうっと元気になって。

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お箸袋に書かれていた言葉は本当にその通りだなと思います。
元気がなくなるとすぐ食欲に影響が出ちゃうんですが、だからこそ食べたいものを美味しく食べる毎日を大事にしていきたいものです。

1,080円のちょっとした贅沢でご機嫌になれるんだもの。お買い得だなあと思います。

さて、次は何を食べようかしら。

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大麦こむぎ
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