孤独Ⅰ 俺を生かすもの(詩)
酔っていようがいまいが 本音だろうが建て前だろうが 誰も俺に興味などないのだから 自分のことなど語らないのが一番で 語ろうなどとすれば 案外面白くて頭の切れるやつだとか 意外にイケてる充実ぶりだとか どう見てもらいたいかの言葉が知らぬ間に溢れ出し 自分プロデュースの自分に心の中で赤面する 他人の評価など関係ない 自分がわかっていればそれでいい みんな違ってみんないい なんて いつも深く頷いてメモまでとっていた思想などきれいに飛んでいる
俺は幸せだ 俺には才能がある 俺は愛されるに値する
ただそう強く感じたくて あふれ出す あふれ出す あふれ出す
己を擁護する言葉 よく見せる言葉 数少ない自慢話を盛った言葉
さりげなく 面白く ちょっと落として笑いに変えながらも
こう見てほしいと思う己の姿が上手いこと描かれるように
そして結局さらに孤独になる 孤独になる 孤独になる
笑える話だ 自分をどう見せるかに必死で 誰のことも
ちゃんと見ることができない俺が 誰かにわかってもらおうなんて
みなと別れ一人酔ってぼやけた頭で家路を辿りながら
あーまたやってもうたと後悔しても遅い
でも救いはある そう救いはある
だって何も変わっていないのだから
最初から一人で 今も ただ一人だということ! (笑)(笑)(笑)
かっこ笑い かっこ笑い かっこ笑い
そんな痛くて面倒くさいやつを アホやなと言う顔で迎えてくれる
茶色の柔らかな毛並みを撫でつつ
みんなこんなもんやろ とぽつりつぶやけば
どうでもええやろ みんななんてと
呆れ顔で顔を洗い うみゃっと鳴き ざらっとした舌で俺を舐める
俺になど全く興味のないおまえが 今日も俺を生かす