ベトナム帰国RTA
「とりあえず生で」
のノリで何も考えず、ハノイに来た。
「自分も生で」とスッと手を挙げる人よりもノープランである。
明日の宿も予定も決まっていない。
決まっているのは、とりあえず南に向かうことと年内には日本に帰ることだけ。
ってな文章を初日の宿で書く予定だったのに
爆速で財布すられて、爆速で帰国することになりました。
空港に着いてからのお話
15時頃に入国審査を終え、1万円分のベトナムドンとSIMを手に入れ空港を出る。
空港を出ると、わんさかタクシーの勧誘がいる。おばちゃんが横にピッタリくっ付いてきて「taxi? taxi? ホニャホニャ...」と途切れなく話しかけてきた。
僕は、「はいはい。タクシー乗っけて紹介料もらいたいんだなー 残念ながらバスの乗り方を調べて来たのさ 現地の金銭感覚で生きてやるのさ ふふふん」なんて調子乗ったことを考えながら、適当に英語で返した。
「bus」という単語が聞こえたおばちゃんは「まじバスはやめとけって 汚ねぇから」みたいな顔で首を横に振る。僕はおばちゃんの元を去り、バス停へ向かった。
財布からお金を取り、バス代を払い財布をポケットに入れ、バスの一番後ろの席に乗る。
隣の男のスマホから流れる爆音のtiktokをBGMにハノイ市街に向かった。バス停なんて調べてなかった僕は、とりあえずマップで宿の位置を確認しながらバスに揺られていた。
次々と人が降り、最後には乗客は3人になっていた。結局最終目的地が一番宿に近くそこで降りた。
バスの扉が開き、おっさんたち5人が詰め寄って来た。grab(ウーバー的な存在)の緑の服を纏ったおっさんが、バイクに乗れ乗れと言ってくる。
僕はまた、「はいはい。 バイタクは乗りませんよー 歩いて行くんで」と話しかけてくるおっさんズをあしらいながら、マップで方向を確認。どうやらうじゃうじゃバイクが通る道路の反対側に行かないといけないらしい。
ベトナムは歩いている人が少なく、現地の人に倣って一緒に渡る術が使えなかったので、どうしたもんかねと首を傾げながらポケットに手を突っ込んだ。
財布がなくなっていた。
異国に到着しものの2,3時間。僕は無一文になってしまった。
財布の中には、さっき両替したベトナムドンの残り約7000円分、日本円3万円弱、キャッシングと保険用のクレカ3枚。
無一文の僕は当然泊まる所も、移動手段もない。異国の地で野垂れ死ぬ可能性がぐんぐんと伸びてくる。
SIMをケチって電話がかけられないヤツにしていたので、母に「大使館に電話してくれ」と伝えた。
僕は、まだ近くにいるバイタクのおっさんズ(容疑者)に「財布無くしたんだ。頼むからポケットの中を見せてくれ」と書いたGoogle翻訳の画面を見せた。明らかにポケットが膨らんでいたおじさんは、呆れた顔でポケットに手を入れたが、でてきたのは僕の財布ではなかった。
おっさんズメンバー5人のうち2人はいなくなっており、仮に残っているおっさんが持っていても渡す気はさらさらないだろう。
乗って来たバスの中も確認して戻ったので、すられたのは確実だ。容疑者はバイタクのおっさんず5人と爆音tiktok男(確実に前者)である。
グルなのか単独犯なのかは分からない。
僕は諦めて、在ベトナム日本大使館に向かった。異国の地でキャリーケースを引っ張りながら1時間程の道のりを歩かなければならない。
悪い方向に考える事を避ける為、僕は親や友人と連絡をとりながら道中進む。
歩き始めて30分後には、僕が歩いて向かっている旨を大使館に伝えたと母から連絡が来た。
やっとのことで日本大使館に着いた。
その後は、大使館の方々にお金を借り、宿を取ってもらい、現在に至る。親に送金をしてもらい、月曜には帰る予定だ。(事件が金曜、土曜に執筆中。)
2ヶ月間アジアを一人で周遊するんだい なんて言っときながら、結果は4日間の滞在になる。
笑い話にしてはオチが早すぎる。起承転結の承が見当たらない。
もし歩いて行ける距離に大使館がなかったら?
休日で大使館がやってなかったら?
親が用事ですぐに連絡がつかなかったら?
空港でSIMを変えていなかったら?
携帯、パスポートまで取られていたら?
僕はどうなっていたのだろうか
十分に下調べをし、宿をとっていたら?
おばちゃんに勧誘されたタクシーで直接ホテルに行っていたら?
日本にいるうちに、現金や財布を分けてバックに入れていたら?
今も楽しく旅をしていただろうか
この旅は、行き当たりばったりを求めた旅だった。
就活と研究に嫌気がさし、何もかもどうでもいいと感じ休学した僕はただただ不確定要素を求めていた。
それがこのザマだ。親、大使館の方々に多大な迷惑をかけてどうにかこうにか今がある。
自分はどうなってもいいと思っていたのに、結局は他人に助けられて生きている。
とまぁとりあえず反省反省。
明後日まではハノイにいるので楽しんできます。
ハノイ旅行のまとめ