木漏れ日の中の“バイカオウレン”
高知に移住して2年と少し。まだ自然の中で群生しているバイカオウレンを見たことがなかったので、開花時期に合わせて佐川町の牧野公園へ。
佐川町は古い街並みと住民の方々の植物愛が伝わってくる素敵なまち。なにより、まち全体を植物園に見立てて住民自らが植物の管理をされているのが素敵です。お休みの日にゆっくり散歩がしてみたくなるまちなのです。さすが牧野博士の出身地。(佐川町/まちまるごと植物園)
まずはバイカオウレンのおさらい。
ということなのですが。高知のバイカオウレンは標高の高くない100メートル位のところに自生していますし、花期も1月下旬〜3月上旬、花の形も少し違います。自生地によって個性が変わるのか、四国のバイカオウレンは厳密には『シコクバイカオウレン』というのだそうです。どちらも綺麗なので、そこら辺はまぁヨシとしましょう。(笑)
苔とヒノキの枯葉の腐葉土の林床。小さな花たちがとても居心地良さそうに群生しています。まだ寒い立春の時期(撮影時:1月21日)に、木漏れ日の中に咲く雪の結晶のようです。日差しとのコントラストがなんとも美しい!
佐川町出身の植物学者、牧野富太郎博士が生涯で一番愛した花ということもあり、葉っぱの形が 『牧野植物園』のシンボルマークにもなっています。
白く花弁(はなびら)のように見えるのは萼片(がくへん)で、黄色の小さなお椀状のものが蜜腺に退化した花弁です。(アジサイとかと同じですね。)
葉(5出複葉/ごしゅつふくよう)は5枚に分かれていて、その一枚一枚の小葉(3浅裂/さんれつよう)には3つの切れ込みが入っています。「この花には、この葉っぱしかない!」という美しいバランスです。(笑)
撮影中にアリが黄色のお椀で食事してたので、バイカオウレンは虫媒花(ちゅうばいか)だと思いますが、他にどんな昆虫が受粉の手伝いをしているのでしょうか。開花時期がまだ寒い立春なので、きっと種類は限られますね。
スプリングエフェメラルという言葉をご存知ですか。エフェメラルには、つかの間の、はかない、短命などの意味があり、一般的に『スプリングエフェメラル=春の妖精』と呼ばれ、春先に花を咲かせ、夏までの間に光合成を行い、地中の栄養器官に栄養を蓄え、地上から姿を消し、次の年の春まで地下茎や球根の姿で過ごす…という生活史を持つ植物(カタクリ、フクジュソウ、イチリンソウなど)のことをそう呼びます。
バイカオウレンは常緑の葉を持っていますが、やはり、小さな花が木漏れ日の中で群生しているイメージ、限られた時期にしか見れないこの景色は『春の妖精』スプリングエフェメラルと呼ぶに相応しい植物でした。
皆さんも是非この景色を直に体験してみてください!😊🌿
ちなみに、群生している景色が見られるのは、高知では、佐川町の『牧野公園』か『加茂地区』になります。集落活動センター「加茂の里」にお問い合わせください。