
それでも私が"誠実さ"を選び続ける理由
はじめに
私は常に誠実でありたいと思っています。この想いは、ある苦い経験がきっかけでした。今振り返ると、その経験は私の価値観や生き方を大きく変えることになりました。
期待に満ちた出発点
数年前、私は大きなプロジェクトを任されました。当時の上司から「このプロジェクトで成果を出せば、昇格と昇給を約束する」と言われたのです。その言葉に、私は大きな期待と希望を抱きました。上司は公平で誠実な方だと信頼していましたし、この機会を通じてキャリアを次のステップに進められると確信していたからです。
全力での取り組み
私は全力でプロジェクトに取り組みました。夜遅くまで残業し、休日返上で業務に打ち込みました。チームメンバーとも綿密に連携を取り、時には困難な局面もありましたが、粘り強く課題を解決していきました。そして、半年以上の努力の末、目標としていた成果を上げることができました。
裏切られた約束
しかし、約束されていた昇格も昇給も実現することはありませんでした。プロジェクト完了から数ヶ月が経過しても、状況に変化はありません。「約束通りにしていただけませんか」と、何度も上司に申し出ましたが、その度に曖昧な返事や、「来年度を検討しよう」といった先送りの回答ばかりでした。
深まる失望
最初は理解を示そうと努めました。会社の経営状況や人事制度の制約もあるだろうと。しかし、時が経つにつれ、約束が守られない現実に深い失望を感じるようになりました。当時の私にとって、その上司は信頼できる存在でした。だからこそ、約束が守られなかったことは大きな心の傷となり、人を信じることが怖くなりました。同僚との会話も表面的になり、仕事への情熱も徐々に失われていきました。
気付きと決意
しかし、時間が経つにつれ、この苦い経験を別の角度から見られるようになりました。この出来事は、私に「誠実さ」の本当の価値を教えてくれたのです。そして、強く決意しました。「自分は絶対に、他の人にこのような思いをさせない」と。約束は必ず守り、誠実に行動する人間になろうと。
現在の仕事での実践
今、私はチームリーダーとして複数のプロジェクトを担当しています。部下との1on1では、期待することや評価基準を明確に伝え、約束したことは必ず実行するよう心がけています。時には厳しい話をしなければならないこともありますが、誠実に向き合うことで、チームメンバーとの信頼関係は着実に深まっています。プロジェクトの成果も以前より向上し、メンバーの成長も実感できています。
現代ビジネスと誠実さ
デジタル化が進み、リモートワークが普及した現代のビジネス環境では、対面でのコミュニケーションの機会が減少しています。だからこそ、誠実さがより一層重要になっていると感じます。約束を守る、嘘をつかない、言葉に責任を持つ—これらの価値観は、組織の信頼関係を築く上で欠かせない要素です。短期的な利益や効率だけを追求するのではなく、誠実さを基盤とした持続可能なビジネスの構築が、今まさに求められているのではないでしょうか。
結びに
この経験は確かに辛いものでしたが、今では私の人生における重要な転機だったと感じています。誠実さを単なる理想や建前ではなく、日々の行動の指針として深く心に刻むことができたからです。そして、この価値観は、現代のビジネス環境においても、間違いなく正しい選択だと確信しています。これからも、この決意を胸に、一歩一歩前に進んでいきたいと思います。