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イタリア滞在記(13) 民間療法

3月末のシチリアというと一足先に春を迎え、パスクワが終わるころには花が咲き心地よい気候の日々が過ごせると思い、防寒対策の服はあまり持って行かなかった。ところが、いつまでたっても朝は吐く息が白くなるほど寒く、ダウンジャケットにブーツの人が珍しくない。そして雨もよく降る。
海は写真のようにどんよりした空のもと、波が高く荒れている。
地元の人は、「Marzo Pazzo(3月の気まぐれ)だからね。いつものこと」
と言っていた。侮っていたと反省。そして4月になっても春は一体いつ訪れるのかと思うような薄ら寒い日々。「Aprile Pazzo(4月の気まぐれ)だし~」と言う。ああぁぁ… じゃあシチリアはずーっと気まぐれということなのか。一体いつになればシチリアらしい陽射しがふりそそぐ日々が訪れるのだろうと思いながら、小雨降るどんよりした街中を通学する日々が続いていた。

旅先で体調不良に陥ることは一番避けたい。だから、食べたいものはいっぱいあっても腹八分目と節制を心がけ、寒さを避けるためには何枚も手持ちの服を重ね着したり現地調達もして注意していたにもかかわらず、突然ひどい寒気に襲われた。自分でもはっきりわかるほどの高熱。充分注意していたのになぁ。アパートに帰り着いたときには38.5度の発熱。持参していたロキソニンを飲んで寝るしかない。やれやれ… 熱は翌朝にはほぼ下がったけれど、次はお腹に来てベッドとバスルームの往復を余儀なくされて休まらない。

クラスメートが心配して、「何か買って行こうか?」と連絡をくれたけれど、「ありがとう。何も食べたくないからいいよ。」と辞退。それでもその優しさは心から嬉しくて、おかげで異国の地で一人臥せっていてもそれほど心細さを感じずにすんだ。

少し状態が落ち着いた頃、近所の食料品店に水を買いに出かけたところ、クラスメートに出会った。経過を諸々話していたら、
「お腹の不調にはコーラと塩味のプレッツェルが効くのよ!」
と言う。えっ!?( ゚Д゚) またまた~ 冗談好きのHelenaのこと、いつものように真面目な顔して冗談か?と一瞬思ったけれど、一緒にいるドイツ人の友人も「そうそう!」と頷いている。ドイツでは昔からそうやってお腹の不調を直してきたという。

改めてWEBサイトを見てみると、コーラはまるで万能薬か!?と思うほど色々な症状に効果ありと書かれているサイトをいくつも発見!是非常備薬のメンバーに加えたい。

それにしても、今回初めて旅先で体調を崩して寝込むという経験をした。体調管理には細心の注意を払い、スケジュールも時間を持て余すほどゆったりと組んだのに、このありさま。お年頃なのかしらと少々寂しくもあり…
海外一人旅いつまで続けられるかなぁと弱気になってしまう出来事だった。

とは言え、喉元過ぎればなんとやら… 今では、そんなこともあったなぁ~とまるで忘却の彼方。まぁそういうこともあるさ!とあくまでも前向きに。
頼れるのは自分だけの一人旅。準備するに越したことはなく、あらゆる場合を想定して、常備薬の種類が増えてスーツケースのスペースを占領してしまうのは仕方がないことではある。


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