【小話】異星人・給水タンクの旅
マンションの屋上にある給水タンクはですね。じつは異星人です。
給水タンクたちの産まれ故郷の星には水がとても少ないので、ある程度ひとりで生きられる歳になると、地球へ旅立つのです。
孤独な長旅の末に地球に辿り着き、先住タンクがいないマンションを見つけると、給水タンクは「ごごごごご……」と屋上に着地していきます。
マンションの住人たちは外に出て「おお、遂にうちにも来たか……」と見守ります。
それから給水タンクは、水の流れを存分に楽しむ祝福された人生をゆったり送るのでした。